外国から訪れる要人をもてなすため、国を代表する施設として1890年(明治23年)に開業した帝国ホテル 東京は、日本の西洋化と共に歩んできた。洋式ホテルとしての建築やサービスだけではなく、料理においてもしかり。日本における西洋料理の歴史は、帝国ホテルと共に作られてきたと言っても過言ではない。
帝国ホテル 東京の料理長ともなれば、ホテル内に複数あるレストランのシェフ、その下で働く料理人たち数百名を統率するリーダーであり、食通に愛されたホテル伝統の味を守り続ける責務を担う。2019年4月1日から新たに東京料理長に就いたのは38歳の若き料理人だ。
1980年生まれの杉本 雄は、1999年に帝国ホテルへ入社し、料理人としてのキャリアをスタートさせた。2004年に渡仏後は、13年間にわたってフランス各地のビストロやホテルで料理人としての技術や知識を深め、時にはホールで接客の経験も積んだ。
中でも、パリの老舗ホテル「ル・ムーリス」では、2つの三つ星レストランを持つヤニック・アレノ、史上最年少で三つ星を獲得したアラン・デュカスという名料理人の下でシェフを務めた。


メインの肉料理は「国産鴨ムネ肉とモモ肉のコンフィ ピノ・ノワールソースで」
杉本の就任に際し、帝国ホテル 東京のトラディショナルダイニング「ラ・ブラスリー」では、5月31日までアミューズ・オードヴル・魚料理または肉料理の3皿による特別メニューを提供している。
春らしさを感じるモダンなアレンジが秀逸な「現代風に仕上げたアスピック ライム香るオマール海老とグリーンピースのヴルーテ」など、ランチ・ディナーともに供されるこの3皿で、まずは杉本料理長のフランスでの経験や帝国ホテルへの想いを感じたい。今後は特別企画やウエディングで、若き感性を発揮していくという。
杉本は、就任後すぐに前・総料理長の田中健一郎、メインダイニングのシェフであるティエリー・ヴォワザンと3人で手掛けたガラディナーを成功させ、「伝統の味をしっかり継承しつつ、時代に即した表現をしていきたい」と語っている。新しい時代を迎えた今、開業から130年を数える老舗ホテルが新たな挑戦として迎え入れた若き料理長は、伝統の味をどのように作り上げていくのか。その1皿1皿に注目が集まりそうだ。(敬称略)
2019年5月31日(金)まで
トラディショナルダイニング 「ラ ブラスリー」
東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテルタワー 地下1階
ランチ・ディナーとも¥10,800(税込・サービス料別)
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