東京・蔵前はかねてより、職人の技や手仕事を活かした物作りが盛んなエリアとして知られていた。観光地の浅草と問屋街の浅草橋の間に位置し、近年は町工場や倉庫として使われていた場所に、こだわりのショップやカフェ、ギャラリーが点在するようになってきた。元々あった個人商店、工房などとよい具合に融合して、新しいものと古いものが混ざり合う独特の心地よさが漂う街として変化しつつあり、自分の感性に響く作品や味、技との出合いを求めて、週末ともなると多くの来街者でにぎわいをみせている。
そんな蔵前の街に2019年3月、「水犀(mizusai)」という名のギャラリー&ショップスペースがオープンした。 “陶とそれにまつわるもの”をコンセプトに、ギャラリーでは、植物、陶、ドローイング、アクセサリーといったキーワードによる企画展が開催されている。様々な場所で出会った才能をこの空間に集め、作家たちは独自の表現で自由に発表し、訪れる人は美しいものや心地よい時間を共有できる。ショップでは、様々なジャンルの常設作品を展示されており、購入することも可能だ。


陶作品を中心に展示されるギャラリーと常設作品のショップスペースからなる「水犀」
5月の企画展は、19日までが、奈良で創作活動を続ける佐古馨の、木の器やオブジェの企画展。そして25日から6月2日までは、沖縄の自然の中で自ら土を掘り、手作りの登り窯で作品を作り続ける、紺野乃芙子の陶展が開催される。沖縄の土や水、火と向き合って焼き上げられる器たちは、素朴で大胆でおおらか。どこか武骨な味もありながら、優しさを感じる作品だ。6月以降も、多彩な個性に出合える企画展が続々と予定されている。
「水犀」という屋号は、人々を聖なる場所へ案内すると言われる聖獣から名づけられた。この空間が、アートを愛するたくさんの人々と素敵な作品との出合いを取り持つ案内役となってくれることだろう。
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