“オーガニック”や“有機栽培”という言葉が注目されたのは、1990年代の初めごろから。自然に近い方法で育てられ、「安全で安心」な食材や食品を意味するキーワードとして一気に世の中に広まった。当初は基準があいまいだったが、その後、日本、アメリカなど各国で改正され、「一定の農場で3年以上無農薬、有機肥料で栽培した農作物でなければならない」といった厳しい基準が設定された。
日本酒の場合もしかり。原料および加工法について厳しい条件をクリアしなければ、“有機”を名乗ることができない。また、認証を継続するために「年に1回は実地調査を受けなければならない」ため、有機純米酒を名乗り続けるのは並大抵のことではない。


「禱と稔 フクノハナ」。化粧箱に刻まれた文字も皆川明氏によるもの
今年の4月、石川県金沢市で江戸時代から続く老舗の酒蔵である「福光屋」が、日本とアメリカ、EUの3種類の有機認証を取得し、有機純米酒ブランド「禱と稔(いのりとみのり)」を発売し話題となっている。
兵庫県多可郡で「山田錦」、兵庫県豊岡市で「フクノハナ」、長野県下高井郡で「金紋錦」という3種類の米の有機栽培化を実現し、これらを使った3種の有機玄米酒をラインナップしている。
「禱と稔 山田錦」は力強さや軽さがバランスよく調和した味わい、「禱と稔 金紋錦」はシャープで洗練された味わい、「禱と稔 フクノハナ」は豊満なコクが味わえるなど、それぞれ米の特徴を反映した個性的な仕上がりとなっている。食事と、また時には和菓子と合わせてみたりと、もっと広く、自由に日本酒を楽しむことを提案している。
「福光屋」が丹精こめて仕込んだ日本酒は、minä perhonen(ミナ ペルホネン)代表の皆川明氏デザインボトルにボトリングされている。原料であるお米1粒に表情を加え、3種類の作品を版画とドローイング、切り絵で表現した。ちょっととぼけたようなお米の表情は、このお酒が様々な人や食文化と出合い、お客様とフェイス・トゥ・フェイスでつながっていくように、という想いも込められているという。
「禱と稔」は、自然の中で培われてきた昔ながらの米作りと、創業から390年余りも続けられてきた「福光屋」の酒造りとが出合い、生み出された結晶のようなもの。有機という認証は、豊かな自然や作り手たちのたゆまぬ努力、確かな技術に与えられた勲章なのかもしれない。
◆「福光屋」「禱と稔(いのりとみのり)」
・「禱と稔 山田錦」酒造年度2015年
・「禱と稔 金紋錦」酒造年度2015年
・「禱と稔 フクノハナ」酒造年度2015年
価格:各720ml 化粧箱入り ¥4,104(税込)
福光屋オフィシャルサイト www.fukumitsuya.co.jp
福光屋オンラインショップ https://www.fukumitsuya.com/
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