「今の日本女性は本当におしゃれになったけれど、あとひとつ、ジュエリーがあれば、もっと素敵になれる」。これは、ジュエリーブランドのPR担当やファッション誌の編集者、さらにスタイリングを担当したモデルや女優たちから、絶大な信頼を寄せられているジュエリーディレクター、スタイリストの「そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら」(伊藤美佐季著 ダイヤモンド社)の一節だ。
20代の頃、ジュエリーの広報機関でPRの仕事をしていた著者は、初めての海外出張で訪れたイタリアで目にした、ミラノの女性たちの美しくも巧みなジュエリー使いに大きな衝撃を受ける。ジュエリーを学ぶために30代でイタリアに遊学し、帰国後に始めたスタイリストの仕事を通して、さらにたくさんの上質なジュエリーに触れた。自身のスタイルを見つけ、日本人に似合うジュエリーの選び方、着け方を会得した著者だからこそ可能な、センスの良い的確なアドバイスやノウハウが、この一冊に詰まっている。


「そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら」伊藤美佐季著より。上から バロックパールのピアス(白蝶真珠約13mm×YG)130,000円/ボン マジック、パールのピアス3点(白蝶真珠約10~10.5mm)407,000円 (アコヤ真珠約8.5mm×WG)274,000円 (アコヤ真珠約7mm×WG)54,000円/以上ミキモト
「ジュエリーは毎日同じものをしてもいい。むしろそのほうが素敵」、「あえて、見えないように着けるネックレス」といった目から鱗の新鮮なノウハウ、そして「毎日つける結婚指輪の後悔しない選び方」、「ジュエリーは、自分が自信の持てる体の部位につける」、といった実用的なアドバイスを、イメージを掴みやすい美しいビジュアルとともに紹介。その中でも特に注目したいのは日本人にもっとも身近で、だからこそ固定観念に捕らわれがちでもある、パールジュエリーを巡るアドバイスだ。
パールピアスは、「まず手に入れたい基本の7アイテム」のひとつとしてリストアップされている。著者によれば、基本にしたいのはアコヤ真珠。サイズは8mmくらいが大きすぎず小さすぎずベスト。パールの一粒ピアスは冠婚葬祭っぽいイメージがあるが、実はきちんとしたフォーマルな装いよりも、カジュアルな装いとの相性がいい。デニムやざっくりとしたニット、スニーカーといったカジュアルな装いのときこそ「あえてのパール」を是非試して欲しいという。また、顔の大きさや年齢によって似合う珠の大きさが変わるので、若くても顔の大きい人は8mm以上を選ぶ、40代からは存在感のあるバロックパールも素敵、などの具体的なアドバイスもある。


上からチョーカーレングスのパールネックレス(約40cm/アコヤ真珠約7mm×WG)430,000円、マチネーレングスのパールネックレス(約60cm /アコヤ真珠約7mm×WG)645,000円、オペラレングスのパールネックレス(約80cm /アコヤ真珠約7mm×WG)860,000円/すべてミキモト トップス、パンツ/スタイリスト私物
基本の7アイテムとして紹介されているもう一つのパールジュエリーはネックレス(ちなみにパールピアス、パールネックレスの他、フープピアス、チェーンブレスレット、ゴールドバングル、エタニティリング、ダイヤモンドピアスが7つの基本アイテムとされている)。美しい真円のアコヤ真珠のネックレス、中でも60cmのマチネーレングスが著者のおすすめではあるが、チョーカーレングス(40cm)、オペラレングス(80cm)をファッションやライフスタイルに合わせて選ぶことや、糸替えといったアフターケアについても触れている。
「ジュエリーは着ける人とともに成熟していくもの」、「ジュエリーを着けるのは自分のためでもあり、他人のためでもある」といった著者のジュエリーに対するフィロソフィーから、今は亡き憧れの女性の言葉である「どんなに辛い時にも、朝起きたらまずピアスをひとつ着けましょう」というエピソードまで。選び方や着けこなし方といった実用を超え、ジュエリーが実は女性にとって共に生きる“人生の伴走者”でもあることを読み取れるエッセイも心に残る。
◆「そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら」 伊藤美佐季著 ダイヤモンド社 1,500円(税別)


Photography by Masami Naruo
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