多くの寺社建築や仏教美術の宝庫である京都を観光で訪れる人は年々増え続けている。昨年度は京都市だけで5500万人以上が訪れ、この土地ならではの歴史や文化、貴重な景観を愉しんだという。日本屈指の観光都市である京都の旅をサポートする京都市観光協会が、2019年7月から「第44回京の夏の旅 文化財特別公開」を開催中である。市内9つの歴史的な建築物、庭園など、普段は立ち入ることができない場所を特別に公開し、貴重な体験を提供している。


幕末から大正の時代を生きた歴史家の終の棲家となった旧湯本家住宅。


墨型を使った襖の引手や、浄瑠璃寺の古材を使った床柱など文人好みの座敷。
9月30日(月)まで開催されている「第44回京の夏の旅 文化財特別公開」では、“京の御大礼”や“祇園祭創始1150年”、“京町家・旧宅”などをテーマに普段は公開されていない文化財を含む9カ所を特別に公開してきた。注目は、この夏初公開となった、「旧湯本家住宅」と「藤野家住宅」の2軒の町家建築だ。この2軒の町家の特徴は、商家の建築とは異なり、高い塀に囲まれた一般的な住居の建築様式で“大塀造”といわれるものだ。大正時代の歴史家の住まい「旧湯本家住宅」は、文人が豊かな趣味と教養を活かして建築した小規模住宅。高い塀の内側に待合を備えて露地として使う前庭、玄関を兼ねた茶室などを設えた「藤野家住宅」は、限られた敷地に様々な意匠が盛り込まれた見どころの多い邸宅となっている。


通りに面して高い塀が続く「藤野家住宅」。


「藤野家住宅」の玄関アプローチは、門の内側に待合や雪隠を設け、露地としても使える風情ある佇まい。


「藤野家住宅」の内部は、平屋の表側棟と二階建ての居住棟を玄関棟でつなぐ構成。
京都の暑い夏や厳しい冬を快適に過ごすための工夫が随所に見られる町家建築を巡ることは、先人の知恵を垣間見ると共に、この土地ならではの習慣や文化をも知る貴重な体験をもたらしてくれる。9月30日までの限定公開となる2つの文化財を巡りに、夏の終わりの京都へぜひ足を運んでほしい。
◆第44回 京の夏の旅 文化財特別公開
2019年7月6日(土)〜9月30日(月)
10:00〜16:30 ※16:00受付終了
料金(旧湯本家住宅・藤野家住宅) 大人600円/小学生300円
京都市観光協会
https://ja.kyoto.travel/specialopening/summer/2019/
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