第二十九候 夏至 次候「菖蒲華」01

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第二十九候 夏至 次候「菖蒲華」

2019.6.25

菖蒲華(あやめはなさく)
厚い雲に覆われた梅雨空のもと、
水辺に菖蒲の花が咲く頃

日本の季節は春・夏・秋・冬の四つだけではなく、初春の立春から始まり、晩冬の大寒に終わる二十四節気、さらに二十四節気をそれぞれ三つに分けて一年を72等分した、七十二候という細分化された繊細な季節がある。

 

「今=ここ」にある季節を、コンテンポラリーに切り取ったビジュアル、そして季寄せ―――
季節の気配・花鳥風月・草木などの折々の自然に眼差しを向ける感性豊かな暦・歳時記を意識した日常ほど、贅沢なものはない。

第二十九候 夏至 次候「菖蒲華」02 第二十九候 夏至 次候「菖蒲華」02

2019年6月22日〜7月6日
二十四節気 / 夏至

二十四節気の夏至とは、一年でもっとも昼が長く、もっとも夜が短くなる季節。夏季の真ん中にあたるものの、梅雨の盛りで長雨が続くことも多いため、日照時間は冬至の時季より短いこともある。6月最後の日、各地の神社では「夏越の祓(なつごしのはらえ)」が行われる。半年間のけがれを祓い、残りの半年間を無事に過ごせるようお祈りをする神事である。夏至の頃の短い夜は「短夜(たんや)」と呼ばれる。

 

七十二候では、夏至は第二十八候(初候)乃東枯(なつかれくさかれる)6/22〜6/26(2019)、第二十九候(次候)菖蒲華(あやめはなさく)6/27〜7/1(2019)、第三十候(末候)半夏生(はんげしょうず)7/2〜7/6(2019)の三つの季節に分けられる。

 

夏至の頃に枯れるうつぼ草は夏枯草と呼ばれ、季節の流れに逆らうように枯れていく姿が、いにしえより人々の目を惹いた。水辺では白から薄紫、そして濃紫のグラデーションの美しい花菖蒲が咲く頃。すらりと伸びた葉との対比も目に涼しい。夏至から数えて11日目の雑節(農業の大切な節目)を半夏と呼ぶ。この半夏の頃に花を咲かせるのが半夏生という植物。葉の半分が白くなって化粧をしているように見えることから「半化粧」の名前がついたとも言われる。

第二十九候(次候) 菖蒲華(あやめはなさく)03 第二十九候(次候) 菖蒲華(あやめはなさく)03

第二十九候(次候)
菖蒲華(あやめはなさく)

白、薄紫、濃紫。
さやさやと涼しげに揺れる葉の隙間から
気品ある大輪の花を誇る花菖蒲。
風に揺れる姿は、垂れ込める空に色をさす優雅な蝶々のよう。
白練、薄色、滅紫。
水に映る、色をなくした影絵のような輪郭にも、そこはかとない気品を薫らせて。

第二十九候(次候) 菖蒲華(あやめはなさく)04 第二十九候(次候) 菖蒲華(あやめはなさく)04

夏至の歳時記・季寄せ

七十二候 /
第二十八候(初候)乃東枯(なつかれくさかれる)6/22〜6/26(2019)
第二十九候(次候)菖蒲華(あやめはなさく)6/27〜7/1(2019)
第三十候(末候)半夏生(はんげしょうず)7/2〜7/6(2019)

 

気配:半夏雨 虹 花:菖蒲(あやめ) 花菖蒲(はなしょうぶ)
茶花:百合 夏椿 色:水色 藍色
襲(かさね)の色目:菖蒲(表-青 裏-濃紅梅)菖蒲重(表-菜種 裏-萌黄)
行事:夏越しの祓 祇園祭(京都)海開き 山開き
鳥:ほととぎす 虫:あげはちょう 装い:麻 生紬 木綿 絽
料理:牡丹鱧 菓子:夏衣 玉清水 魚貝:鱧 蛸
野菜:みょうが おくら 果物:さくらんぼ
星座:うしかい座 季語:青簾(あおすだれ)夏至 夏越 山開き
俳句:むらさきのさきまで濃からず花菖蒲(久保田万太郎)

第二十九候(次候) 菖蒲華(あやめはなさく)05 第二十九候(次候) 菖蒲華(あやめはなさく)05
第二十九候(次候) 菖蒲華(あやめはなさく)06 第二十九候(次候) 菖蒲華(あやめはなさく)06
Photography by Mai Kise

 

参考文献:『季語・歳時』『二十四節気と暦』国立天文台 暦計算室 貴重資料展示室、『合本俳句歳時記第五版』角川書店、『かさねの色目-平安の配彩美』青幻舎、『四季の暮らし美しい朝夕巻一四季の着物春・夏』講談社、『きもの歳時記』山下悦子

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