小雪イメージ 花梨の実

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2019.11.19

朔風払葉(さくふうはをはらう)
初冬に吹く冷たい北風が
木々の葉を払い落とす頃

日本の季節は春・夏・秋・冬の四つだけではなく、初春の立春から始まり、晩冬の大寒に終わる二十四節気、さらに二十四節気をそれぞれ三つに分けて一年を72等分した、七十二候という細分化された繊細な季節がある。

 

「今=ここ」にある季節を、コンテンポラリーに切り取ったビジュアル、そして季寄せ───
季節の気配・花鳥風月・草木などの折々の自然に眼差しを向ける感性豊かな暦・歳時記を意識した日常ほど、贅沢なものはない。

小雪イメージ 冬空 小雪イメージ 冬空

2019年11月22日〜12月6日
二十四節気 / 小雪

二十四節気の中で小雪(しょうせつ)とは、寒さが進み、冬本番が目前に迫る頃。「雪」の字が目をひく節気ではあるが、この時季に雪が降るのは北国や山沿いの地方のみ。まだ雪が少ない季節であることから小雪と言われる。平野部では移動性高気圧の影響で暖かくなることも多く、旧暦10月(新暦11月〜12月上旬)の異名には小春、陽月など春を思わせるものがあり、この頃の晴れた暖かい日の気候を「小春日和」と呼ぶ。国民の祝日である11月23日の勤労感謝の日は、もともと秋の収穫に感謝を捧げる新嘗祭(にいなめさい)と呼ばれる収穫祭だった。飛鳥時代から行われていたという説もあるほど古くからある行事で、現在でも全国の神社や宮中において、神様の恵みによって新穀を得たことを感謝する行事が催されている。新嘗祭のうち新天皇が即位して最初のものが大嘗祭(だいじょうさい)である。

 

七十二候では、小雪は第五十八候(初候)虹蔵不見(にじかくれてみえず)11/22〜11/26(2019)、第五十九候(次候)朔風払葉 (さくふうはをはらう)11/27〜12/1(2019)、第六十候(末候)橘始黄(たちばなはじめてきばむ)12/2〜12/6(2019)の三つの季節に分けられる。日差しが弱く、空気が乾燥してくるこの時季には、虹を見る機会がなくなってしまう。虹がかかる空を恋しく思う頃である。朔風とは北風を意味する。赤や黄色の鮮やかな色を誇っていた木の葉もいつの間にか色を失い、冷気を帯びた北風によって木の葉は吹き払われ、寒々しい冬木立の景色が広がり始める。そんな寂びた季節にあって、生き生きとした黄色に色づき始めるのが古来より「橘(たちばな)」の総称で呼ばれるミカンなどの柑橘類。その葉も、決して枯れることのない常緑樹であり、「いつも変わらない永遠を象徴するめでたいもの」として扱われてきた。古事記や日本書記においても「不老不死の実」として登場する。

小雪イメージ 落葉 小雪イメージ 落葉

第五十九候(次候)
朔風払葉 (さくふうはをはらう)

小春日和の暖かな日差しを受けて
輝く花梨の実がひとつ。
それでも乾いた冷たい冬空には、
なないろの虹がかかることはない。
いつの間にか色を失った木の葉は、
強い北風に払われるようにして
一瞬、宙に舞い上がり、
そして地上に吹き寄せられた。

小雪イメージ 落葉の吹き寄せ 小雪イメージ 落葉の吹き寄せ

小雪の歳時記・季寄せ

二十四節気 / 小雪
七十二候 /
第五十八候(初候)虹蔵不見(にじかくれてみえず)11/22〜11/26(2019)
第五十九候(次候)朔風払葉 (さくふうはをはらう)11/27〜12/1(2019)
第六十候(末候)橘始黄(たちばなはじめてきばむ)12/2〜12/6(2019)

 

気配:小春日和
花:八手の花
茶花:榛 冬桜
襲(かさね)の色目:氷(表-白 裏-白)
行事:お歳暮(12月) 納めの水天宮
鳥:おしどり かわせみ
装い:袷
料理:くわいの含め煮 金目鯛の煮付け
菓子:銀杏餅 山川
魚貝:金目鯛 こういか
野菜:れもん くわい れんこん
星座:カシオペア座
季語:小雪 吹寄
俳句:小雪や津軽の藍の小巾刺し(井上弘美)

小雪イメージ 空と針葉樹 小雪イメージ 空と針葉樹
Photography by Mai Kise

 

参考文献:『季語・歳時』『二十四節気と暦』国立天文台 暦計算室 貴重資料展示室、『合本俳句歳時記第五版』角川書店、『かさねの色目-平安の配彩美』青幻舎、『四季の暮らし美しい朝夕巻一四季の着物秋・冬』講談社、『美しい季語の花』誠文堂新光社、『日本の行事を楽しむ12カ月 くらしの歳時記』主婦の友社

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