日本の季節は春・夏・秋・冬の四つだけではなく、初春の立春から始まり、晩冬の大寒に終わる二十四節気、さらに二十四節気をそれぞれ三つに分けて一年を72等分した、七十二候という細分化された繊細な季節がある。
「今=ここ」にある季節を、コンテンポラリーに切り取ったビジュアル、そして季寄せ───
季節の気配・花鳥風月・草木などの折々の自然に眼差しを向ける感性豊かな暦・歳時記を意識した日常ほど、贅沢なものはない。


2019年12月22日〜1月4日
二十四節気 / 冬至
二十四節気の中で冬至(とうじ)とは、北半球ではもっとも昼が短く、夜が長い頃。この期間の最初の日を特に冬至と呼ぶ。太陽がこの日を境に徐々に力を取り戻し、昼の時間が伸び始めることから、次第に運が向いてくる「一陽来復」とも呼ばれている。小豆粥を食べて無病息災を祈る習慣や、なんきん(かぼちゃ)、にんじん、金柑、れんこん、銀杏、寒天、うどんの7種類の「ん」がつく食べ物を口にすると運が付くという言い伝えがある。また、冬至の風物詩といえば柚子湯。本来は強い香りを持つ柚子で邪気を払い、運を呼び込むために体を清めて厄祓いをするための禊(みそぎ)であったが、現在では風邪の予防をして寒い冬を健やかに乗り切るための行事となっている。
七十二候では、冬至は第六十四候(初候)乃東生(なつかれくさしょうず)12/22〜12/26(2019)、第六十五候(次候)麋角解 (しかのつのおつる)12/27〜12/31(2019)、第六十六候(末候)雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)1/2〜1/4(2020)の三つの季節に分けられる。
夏枯草(なつかれくさ)とは、他の植物が青々とした緑を誇る夏の間に、一足先に枯れてしまううつぼ草という植物のことだが、この時季、多くの草木が枯れていく中で、もう緑の芽を出し始めている。寒さに時間が止まったように思える真冬でも、確かに時は流れ、次の季節が近づいている兆候である。麋角(びかく)とは「なれしか」という中国に生息する大鹿の角のこと。自然の世界では植物だけではなく、動物たちも冬の装いに変化している。一面が雪で覆われている季節でも芽を出し始めるのは、秋に種を蒔いた麦。寒さに強い麦は冬の間もすくすくと育ち、6月には収穫することができる。多くの植物が地中や冬木立の枝先で、春に芽吹く力を育んでいる。


第六十四候(初候)
乃東生(なつかれくさしょうず)
野山が青々とした緑に包まれる頃、
季節に背を向けるように枯れていくうつぼ草。
他の植物たちが深く眠る頃、
この草は、はや芽吹き始める。
冷たい北風の季節の中で
同じように生命の息吹を見せるのは、
黄色く色づく柑橘類。
中でも、一際存在感を放つのは
ごつごつと大きな実をつける、香り高き柚子。
思いの外、背が高いその木から、
どうやって黄金の実を収穫しようか。


冬至の歳時記・季寄せ
二十四節気 / 冬至
七十二候 /
第六十四候(初候)乃東生(なつかれくさしょうず)12/22〜12/26(2019)
第六十五候(次候)麋角解 (しかのつのおつる)12/27〜12/31(2019)
第六十六候(末候)雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)1/2〜1/4(2020)
気配:北風 花:石蕗 茶花:初雁梅 冬至梅
襲(かさね)の色目:氷重(表-鳥ノ子色 裏-白)
行事:柚子湯 餅つき 初詣
鳥:おおわし こげら 装い:袷
料理:年越しそば お節 お雑煮 菓子:越の雪 花びら餅
魚貝:ふぐ ひらめ 野菜:かぼちゃ ねぎ ほうれん草
星座:おひつじ座 季語:冬至 千鳥 敷松葉
俳句:柚子湯して柚子とあそべる独りかな(及川 貞)


参考文献:『季語・歳時』『二十四節気と暦』国立天文台 暦計算室 貴重資料展示室、『合本俳句歳時記第五版』角川書店、『かさねの色目-平安の配彩美』青幻舎、『四季の暮らし美しい朝夕巻一四季の着物秋・冬』講談社、『美しい季語の花』誠文堂新光社、『日本の行事を楽しむ12カ月 くらしの歳時記』主婦の友社
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