日本の季節は春・夏・秋・冬の四つだけではなく、初春の立春から始まり、晩冬の大寒に終わる二十四節気、さらに二十四節気をそれぞれ三つに分けて一年を72等分した、七十二候という細分化された繊細な季節がある。
「今=ここ」にある季節を、コンテンポラリーに切り取ったビジュアル、そして季寄せ―――
季節の気配・花鳥風月・草木などの折々の自然に眼差しを向ける感性豊かな暦・歳時記を意識した日常ほど、贅沢なものはない。


2020年4月4日〜4月18日
二十四節気 / 清明
二十四節気の中で清明(せいめい)とは清らかでいきいきとした春の様子をあらわすもので、「清浄明潔」を略した言葉。すべてのものが明るく輝き始める、一年で最も華やかな時季をさす。様々な草木の花が咲きだし、桜前線も北陸地方や東北まで到達する。
七十二候では、清明は第十三候(初候)玄鳥至 (つばめきたる)4/4〜4/8(2020)、第十四候(次候)鴻雁北(がんきたへかえる)4/9〜4/13 (2020)、第十五候(末候)虹始見(にじはじめてあらわる)4/14〜4/18(2020)の三つの季節に分けられる。
長閑に晴れ渡る青空に、南方から到来する夏鳥、つばめが飛来する。つばめは古来、本格的な春の訪れで農耕の季節の始まりを象徴し、快活に飛び回る姿はいかにも軽やかで春らしい。つばめの到来と入れ替わるように北方へと帰っていくのは雁。群れをなし連なって北を目指す様子は、この季節を表す風物詩として数多くの詩歌に詠まれてきた。春まだ浅く不安定な空には雷をともなう春の嵐の後、不意に虹があらわれることがある。夏の虹とは違いこの季節の虹は淡く、すぐに消えてしまうが、その分心に残る印象深い景色となる。


第十四候(次候)
鴻雁北(がんきたへかえる)
芽吹き始めた木の葉の隙間から
輝く春の雫が漏れ落ちる。
地面に視線を落とせば、
花びらの甘い香りに誘われて
列をなす働き蟻。
草花が一斉に開花する季節に、
北の空へと帰るのは雁。
南の空から来るのは燕。


清明の歳時記・季寄せ
二十四節気 / 清明
七十二候 /
第十三候(初候)玄鳥至 (つばめきたる)4/4〜4/8(2020)
第十四候(次候)鴻雁北(がんきたへかえる)4/9〜4/13 (2020)
第十五候(末候)虹始見(にじはじめてあらわる)4/14〜4/18(2020)
気配:春しぐれ 花:海棠 木蓮 茶花:小手鞠 雪柳
襲(かさね)の色目:樺桜(表-蘇芳 裏-赤花)
行事:十三参り 灌仏会 装い:袷
料理:さざえのつぼ焼き かつおのたたき 菓子:よもぎ餅
魚貝:さざえ かつお 野菜:にら よもぎ 鳥:つばめ
星座:うみへび座 季語:清明 長閑
俳句:みちのくはわがふるさとよ帰る雁(山口青邨)


Video editing by Mei Tsukishiro(Park Sutherland)
Music by Yosuke Tsuchida
参考文献:『季語・歳時』『二十四節気と暦』国立天文台 暦計算室 貴重資料展示室、『合本俳句歳時記第五版』角川書店、『かさねの色目-平安の配彩美』青幻舎、『四季の暮らし美しい朝夕巻一四季の着物春・夏』講談社、『美しい季語の花』誠文堂新光社
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