第十六候 穀雨 初候「葭始生」

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2020.4.21

葭始生(あしはじめてしょうず)
大地を潤す優しい晩春の雨が
穀物を成長させる頃

日本の季節は春・夏・秋・冬の四つだけではなく、初春の立春から始まり、晩冬の大寒に終わる二十四節気、さらに二十四節気をそれぞれ三つに分けて一年を72等分した、七十二候という細分化された繊細な季節がある。

 

「今=ここ」にある季節を、コンテンポラリーに切り取ったビジュアル、そして季寄せ―――

季節の気配・花鳥風月・草木などの折々の自然に眼差しを向ける感性豊かな暦・歳時記を意識した日常ほど、贅沢なものはない。

二十四節気 / 穀雨 二十四節気 / 穀雨

2020年4月19日〜5月4日
二十四節気 / 穀雨

二十四節気の中で穀雨(こくう)とは、夏を目前に大地を潤すように雨が降り続く、優しい雨の季節。種まきの好期でもあり、稲作が農業の中心である日本では、発芽したばかりの稲を育てる雨の時季とされてきた。菜の花が咲く頃に降ることから、この頃の長雨は「菜種梅雨(なたねづゆ)」と呼ばれる。

 

七十二候では、穀雨は第十六候(初候)葭始生(あしはじめてしょうず)4/19〜4/24(2020)、第十七候(次候)霜止出苗(しもやみてなえいずる)4/25〜4/29 (2020)、第十八候(末候)牡丹華(ぼたんはなさく)4/30〜5/4(2020)の三つの季節に分けられる。

 

屋根やすだれ、紙などに用いられ「葦原の国」と呼ばれていたほど、日本の生活に欠かさない植物である葦。雨を受けて大地が輝きを増す晩春に、水辺の葦も芽吹き始める。春も深まり気温が安定して暖かくなると、夜間も冷え込まず霜が降りることはない。田植えの準備に用意される苗代は順調に育ち、緑の絨毯となる。日本では花といえば桜。しかし中国では百花の頂点にあるのは牡丹。日本でも女性の美しさを「立てば芍薬、座れば牡丹」という例えに用いる。様々な春の花の中でも一際豪華な美しさを誇る牡丹の花咲く季節だ。


葭始生(あしはじめてしょうず) 葭始生(あしはじめてしょうず)

第十六候(初候)
葭始生(あしはじめてしょうず)

夏も近づく季節のはざまに
音もなく、しとしとと。
降り続く雨は水たまりの表面に
彫刻刀の跡のような水紋を描く。
枯れ草のような葦の脇にも
新しい芽が吹き始めた。
煙るように空を包む春の終わりの雨は、
濡れても、もう冷たくない。
春惜しむ、春の果、暮の春――
行く春の呼び方はどこか名残惜しくて。

穀雨の歳時記・季寄せ 穀雨の歳時記・季寄せ

穀雨の歳時記・季寄せ

二十四節気 / 穀雨
七十二候 /
第十六候(初候)葭始生(あしはじめてしょうず)4/19〜4/24(2020)
第十七候(次候)霜止出苗(しもやみてなえいずる)4/25〜4/29 (2020)
第十八候(末候)牡丹華(ぼたんはなさく)4/30〜5/4(2020)

 

気配:茶摘み   花:躑躅(つつじ) 牡丹 茶花:木苺の花 一輪草
襲(かさね)の色目:躑躅(表-蘇芳 裏-萌黄)
行事:田植え 八十八夜  装い:袷
料理:ほたるいかと菜の花の酢味噌和え 菓子:桜餅 若緑
魚貝:ほたるいか やりいか 野菜:こごみ 春キャベツ 鳥:こあじさし
星座:しし座 季語:穀雨 行く春
俳句:まっすぐに草立ち上がる穀雨かな(岬 雪夫)

穀雨 穀雨
Photography by Mai Kise

 

参考文献:『季語・歳時』『二十四節気と暦』国立天文台 暦計算室 貴重資料展示室、『合本俳句歳時記第五版』角川書店、『かさねの色目-平安の配彩美』青幻舎、『四季の暮らし美しい朝夕巻一四季の着物春・夏』講談社、『美しい季語の花』誠文堂新光社

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