細川亜衣とのコラボで作り出された「五椀三皿」。

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細川亜衣の五感に響く作り手たち

2019.5.14

5. 陶芸家 寒川義雄は「温故知新」を学び、毎日の暮らしにヒントを求める

つい使いたくなる器がある。それはサイズ感や手触り、そして口当たりのよさが理由だったりするだろう。
寒川義雄が生み出す器はちょうどよくて、しっくりくる……。そんな表現がぴったりのように思う。「究極の器が欲しくて、寒川さんと共働でこの「五碗三皿シリーズ」をつくった」と細川亜衣は語る。行きつくところは、これさえあれば他はいらない、そんな器との出会いだ。

 

文・寒川義雄

 

インスピレーションと聞いて思い浮かぶ言葉があります。
トーマス エジソンの「99パーセントの努力と1パーセントの閃(ひらめ)き」です。
僕はそんなに努力はしているとは思いませんが、僕の経験や好きな事から閃きを感じることがあります。


5つの碗が入れ子になった器。料理は野菜のゆで汁を使った、細川亜衣の緑野菜の湯だめうどん。 5つの碗が入れ子になった器。料理は野菜のゆで汁を使った、細川亜衣の緑野菜の湯だめうどん。

5つの碗が入れ子になった器。このシリーズはtaishojiからも購入可能。https://www.taishoji.com
お料理は野菜のゆで汁を使った、細川亜衣の緑野菜の湯だめうどん。


僕と陶芸との出逢いは、小石原焼で有名な九州の小石原村に移住したときのこと。
そこで僕は陶芸の基礎を学びました。
そんな時、福岡市内で陶芸家の鯉江良二さんの個展を見に行き「土でこんなに自由に表現してもいいんだ」と、ものすごい衝撃を覚えて鯉江氏に師事しました。そこで土による表現の仕方を学んだのです。

 

その後、最も原始的な薪の火による焼成方法をしたくて、妻の故郷である広島に移住して薪窯(まきがま)を築窯(ちくよう)しました。時を同じくして、目白にある古道具坂田の坂田さんとの出会いもありました。古い物を見る目や感じる事、学ぶ事、そして「温故知新」を今も学んでいます。

 

今の僕のインスピレーションは小石原村、良二さんの工房があった恵那、そして現在アトリエがある広島と、どこも豊かな自然に囲まれています。これらのたくさんの自然と、坂田さんから学んだ「温故知新」、この二つが大きな閃きの元だと思います。

そば猪口 そば猪口

お店の方やそのお客様に喜んでいただける物を作りたいという思いをいつも大切にしている。そば猪口¥3,500(税別)~。


話は少し変わりますが、僕の現在の趣味はトレイルランです。

 

山を走っていると土、石、草木、太陽、時には雨、そんな自然からの贈りものが閃きとなっていることに感謝しています。そして元気に山々を走れる身体をいただいた親に感謝し、沢山の美しい物を作られた名も無き方々、その美しい古物達、僕の周りの沢山の良い人々にも日々感謝しています。

 

今は僕の作品を見てくださる皆様に喜んでいただけるように一生懸命に努力して、1パーセントの閃きを神様からいただけるように精進していきたいと思っています。

 

1. 細川亜衣(料理家)

2. 渡辺薫子(パティシエ)

3. 宇都宮 檀(金工作家)

4. 坂村岳志(花人)

 

(敬称略)

Profile

寒川義雄 Yoshio Kangawa

陶芸家 

1963年山口県生まれ。小石原にて窯業を始めて、鯉江良二氏に師事。独立後、広島に穴窯を築窯、現在に至る。今後の個展予定:6月モリス(兵庫)、壺中楽(叢+寒川展・鹿児島)、8月R(東京)「窯キズ展」、9月小慢(台湾)、10月foodforthought(東京)、12月cite(広島)など。Foodforthought(東京)http://foodforthoughtshop.net/、本田(岐阜)、Cafe de hanse(広島)に常設がある。

 

Photography by Yoshikazu Shiraki(トップ画像・1枚目)

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