会津木綿を使ったトートバッグ(小)2,800円(大)6,800円、ポーチ(大)2,500円、(小)1,500円。すべて会津木綿 青㐂製織所の商品

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千石あやが挑む「工芸を元気にする」こと

2020.2.27

4.100年前の織機を復活。新ブランド「会津木綿 青㐂製織所」の魅力

会津木綿を使ったトートバッグ(小)2,800円(大)6,800円、ポーチ(大)2,500円、(小)1,500円。すべて会津木綿 青㐂製織所の商品

約400年前に誕生した、福島県西部に伝わる「会津木綿」。厚地で丈夫なため、古くから野良着として着用されてきた伝統工芸だ。全盛期は30軒ほどあった機屋は、最近では2軒にまで減少して衰退の一途を辿っていた。そんな中、地元出身のIIE(イー)代表取締役・谷津拓郎たちは、壊れた織機を偶然見つけた。「これが失われるのは文化的に大きな損失だ」と感じた谷津は、持ち主を探し出して譲り受けた。共に働く取締役・千葉崇は織機を整備することを決意。時を遡るかのように、古いパーツと失われつつある技術を探し歩き、織機を復活させることができた。自らの手で会津木綿の生産を始めた株式会社IIEの取り組みに、中川政七商店の十四代千石あやも、期待を寄せる。

 

談:谷津拓郎

私たちにとって大きな転機となったのは、会津坂下町青木地区への事務所移転でした。

この地域はかつて会津木綿がさかんで、「会津青木木綿」と呼ばれるほどの一大産業の地であった。近くを流れる阿賀川の氾濫が多かったことから、水害に強い作物として藍が育てられ、染屋が現れ、会津木綿が織られるようになっていったという歴史が、その背景にあるようです。

写真中央の建物はIIE本社。美しい自然に囲まれた環境の中、新たなデザインを生み出している。 写真中央の建物はIIE本社。美しい自然に囲まれた環境の中、新たなデザインを生み出している。

写真中央の建物はIIE本社。美しい自然に囲まれた環境の中、新たなデザインを生み出している。

しかし、時代とともに織物業は衰退し、最盛期には30軒ほどあった工場が2軒にまで激減。地域の方からのお話を聞いていく中で、青木地区に廃工場跡が残っていることがわかりました。そこには時代から取り残され、約30年前から止まったままの使われてない古い織機が眠っていました。会津は、雪国です。廃工場の屋根が雪の重みで崩れてしまいました。私たちが向かった時には、すでに解体業者さんによって染め場は取り壊されていました。それを見たときに、せめて織機だけでも救わないと文化的な損失が大きいのではないかと感じました。

 

それまで、私たちが展開していた「IIE Lab.(イー・ラボ)」というブランドでは、他の織元さんに織っていただいた生地を使ったストールなどの商品を展開していました。しかし、古い織機と出会ったことで「会津青木木綿」の復活に向けた取り組みを始めました。千葉がこの地域に長い間眠っていた織機を復活させてくれたことで、私たちの会津木綿づくりがスタートしました。

廃校になった幼稚園を借り受け、現代のライフスタイルに合わせた会津木綿の商品を提案する研究所「IIE Lab.(イーラボ)」。ここには織機のある工房と縫製を行うミシンルーム、直営店がある。 廃校になった幼稚園を借り受け、現代のライフスタイルに合わせた会津木綿の商品を提案する研究所「IIE Lab.(イーラボ)」。ここには織機のある工房と縫製を行うミシンルーム、直営店がある。

廃校になった幼稚園を借り受け、現代のライフスタイルに合わせた会津木綿の商品を提案する研究所「IIE Lab.(イーラボ)」。ここには織機のある工房と縫製を行うミシンルーム、直営店がある。


まずは、古い織機の持ち主を探し出してお譲りいただき、地域の方に手伝ってもらって織機を運び出すところから始めました。そして、最終的には千葉が織りを復活させ、2019年にやっと立ち上げたブランドが「会津木綿 青㐂製織所(あおきせいしょくしょ)」です。

IIE Lab.内にあるショップ。中央には古い織機がディスプレイされている。 IIE Lab.内にあるショップ。中央には古い織機がディスプレイされている。

IIE Lab.内にあるショップ。中央には古い織機がディスプレイされている。

先人たちが受け継いできた地域の文化を、こうして皆でつなぎ止めながら織られた「会津木綿 青㐂製織所」の商品群は、きっと世代を超えて愛される価値があるのではないかと信じています。

 

「会津木綿 青㐂製織所」の特徴は、約100年前の織機で生まれる希少な布を使い、会津で愛されてきた自然由来の色合いを暮らしに取り入れやすく表現していることです。ゆっくりと耳まで丁寧に織る平織り生地は、本数を多く設定したタテ糸に、ヨコ糸をしっかり打ち込むことで密度が高く丈夫です。耳とは布の端のことです。より新しい機械で織ると布の端から糸が飛び出た状態になってしまうのですが、この織機では、手織りと同じような糸の流れで縫っているので、糸が飛び出ることがなく、切りっぱなしのような、スッキリしたデザインになります。

古い織機のため、たとえ故障しても新しい部品へ交換することはできない。そのためいまは使わなくなった織機の部品を使ったり、一から作るしかないとのこと。 古い織機のため、たとえ故障しても新しい部品へ交換することはできない。そのためいまは使わなくなった織機の部品を使ったり、一から作るしかないとのこと。

古い織機のため、たとえ故障しても新しい部品を手に入れることは難しい。そのため、いまは使わなくなった織機の部品を使ったりしています。


実は、この織機では、1日に12mほどしか織ることができません。昔の織機で織るため、生地幅は36〜37cmほどと非常に狭いのです。すごく手間がかかりますし、決して効率的とは言えません。だからこそ、生地を無駄にしないデザインで商品をつくっています。

 

ブランドの立ち上げに際しては、中川政七商店にコンサルティングをしていただきました。いろいろな人の時間と気持ちをいただいてスタートしましたから、なんとか形にしていきたいですね。そして、会津木綿をきっかけに、会津に興味を持っていただいて、観光に来てもらえたらいいですね。そのためにも、幅広い年齢層、特に若い方々にも日常的に使ってもらえるような商品を提供していけたらと考えています。

 

→次は、内田徹(漆琳堂 代表取締役社長)です。

 

(敬称略)

谷津拓郎 Tkuro Yazu 株式会社IIE 代表取締役 1986年福島県会津坂下町生まれ。新潟大学工学部建設学科、早稲田大学大学院環境エネルギー研究科を卒業。大学院在学中に、東日本大震災が発生し、震災後の一ヶ月間、炊き出しボランティアの運営に尽力。その後、特定非営利活動法人まちづくり喜多方にて、コミュニティカフェろくさい管理人を務める。2011年に個人事業として会津木綿の商品製作を開始、2013年に株式会社IIE創業。2019年から会津木綿 青㐂製織所をスタート。 谷津拓郎 Tkuro Yazu 株式会社IIE 代表取締役 1986年福島県会津坂下町生まれ。新潟大学工学部建設学科、早稲田大学大学院環境エネルギー研究科を卒業。大学院在学中に、東日本大震災が発生し、震災後の一ヶ月間、炊き出しボランティアの運営に尽力。その後、特定非営利活動法人まちづくり喜多方にて、コミュニティカフェろくさい管理人を務める。2011年に個人事業として会津木綿の商品製作を開始、2013年に株式会社IIE創業。2019年から会津木綿 青㐂製織所をスタート。

谷津拓郎 Takuro Yazu

株式会社IIE 代表取締役

1986年福島県会津坂下町生まれ。大学院を卒業後、地元会津にUターン 。2011年に個人事業として会津木綿の商品製作を開始、2013年に株式会社IIE創業。2019年から株式会社IIEの新ブランド「会津木綿 青㐂製織所」をスタート。

Text by Taisuke Segawa

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