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株式会社アマナ社長 進藤博信氏インタビュー 《後編》

2018.05.25
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なる『思い』を、ビジュアルで伝える

ここまで進藤さんが合理化、効率化に邁進するのには、深い理由があります。

「長年この仕事をして、気づいたんです。『伝える』と、『伝わる』は、まったく違うと。ビジュアル・コミュニケーション・コンテンツにおいて、『伝わる』とは、クライアントの思いを可視化させることです。しかし打合せではどうしても言葉が幅をきかす。日本語には一種、曖昧模糊とした難しい部分があります。言葉によるクライアントと制作側のイメージのギャップを減らしていくためには、どんどん仕組みを含めて変化していかねばならないのです」。日本語の向こうにある真なる『思い』をキャッチアップし、チームだからこその表現力を最大限活用して、クライアントやその先にいる消費者ら情報の受け手の五感に訴えかける。そのゴールに向けて、アマナは着々と策を立て、実行しているというわけです。

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感に訴えるという意味では、本社内に併設され一般にも開放されているギャラリーカフェ「IMA cafe」も、アマナらしいスペースです。カウンターには、NYのベンチャー企業の手によるコーヒーロボットが一台。これが、正社員で社内唯一のコーヒー専業スタッフ・中川亮太さんのハンドドリップ技術を忠実に再現し、雑味のない清々しい味わいのコーヒーを提供してくれます。「中川は、日本に300人ほどしかいないアドバンスド・コーヒーマイスター資格保持者。すべて数値化された彼の技はマンハッタンにあるサーバにインプットされ、ロボットに指示が飛んでくる仕組みです。中川のメイン業務は、コーヒー豆の選択や来店者とのコミュニケーション。『思い』を可視化し、五感で感じてもらうためには、シチュエーションが非常に重要だと考えています。ですからここは、アマナの『思い』を立体化させたコンテンツ、こだわりの象徴のひとつなんです」。

 

 

議室に掲げた「写真の原点」

またアマナでは、このようにビジュアル・コミュニケーションの可能性を押し広げていく一方で、「Living with photography」をコンセプトにアート写真を取り扱うIMA ギャラリーなど、スマホやパソコンで見るのとは違う、リアルな写真の力を伝える活動にも注力しています。「杉本博司さんの作品『前写真、時間記録装置』。化石を写したものなのですが、彼に言わせれば、これはプレフォトグラフィ、つまり写真以前の写真なんです。写真というのは、一瞬にして世の中を閉じこめるじゃないですか。化石は何億年も前から、一瞬にしてその瞬間を閉じこめるから、写真の祖先を繙いていくと化石にぶつかると。すごいでしょう、その考え方って。化石は、写真の原点。だから僕はこの写真を、社内で一番大きな会議室に掛けています」。

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り組みが多岐にわたっても、原点は写真

右脳と左脳の両方をバランスよく切り替えるサッカーをモデルに、アートとサイエンスの間を行き来しながら、新しいビジネスを切り拓き続けるアマナですが、根っこがぶれることは決してない。そう、進藤さんはおっしゃりたいのかもしれません。

 

《前編はコチラから》

 

<プロフィール>

進藤博信(しんどう・ひろのぶ)

1951年、東京都生まれ。1977年、フリーランスのフォトグラファーを経て、1979年、アマナの前身となる広告写真制作会社、アーバンパブリシティ株式会社を設立。1987年にはストックフォト事業を開始。以降、デジタル化を急速に進め、動画やCG制作、コンテンツ制作なども取り扱う総合ビジュアルコミュニケーションカンパニーへと成長させた。
http://amana.jp/


インタビュー 編集長 島村美緒 文 木原美芽