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苦しみを解き放つ画家、藤田理麻《後編》

2018.01.01
Rima Fujita

©Takako Ida


-アメリカに長く住む藤田さんから見て、日本の魅力はどんなところにあると思いますか?

外にいると客観的に母国を見る機会が多く、愛国心が育てられます。私はいつも、心の底から日本人に生まれてよかったな、と母国を誇りに思っています。外国人から日本人は素晴らしい!と尊敬されることもよくあります。東日本大震災のとき、世界中のメディアで、日本人がコンビニや駅のプラットフォームに列を作っている様子が大々的に報道されました。あれだけの災害下においても、誠実に振る舞う日本人の姿は多くの人に驚きをもたらしました。

 「なぜ日本人はそんなに礼儀正しいのか」と外国人は不思議がりますが、それは他人を思いやったり、嘘をつかないといった武士道の美学が今も日本人の心に溶け込んでいて、無意識のうちに振舞うことができるのだと私は思っています。アメリカでは、騙された方がバカとだと思われるし、黙っていれば自分の意見を持っていない人間だと言われてしまう。本当に文化が異っていて、時どき疲れるときもあります。でも、裏表なくストレートに本音を言い合うカルチャーは居心地がよく、ニューヨークに帰るとやっぱり落ち着きますね(笑)

 

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-アメリカで学んだこと、苦労したことを教えてください。

ューヨークでは、はじめに進学校へ入ったのですが、日本人もいないし、英語も話せず孤立していました。友達が欲しくて周りを真似してみるのですが、うまくいきません。そんな時、アメリカ人の男の子に「日本の歌舞伎俳優はどうしてみんな男なの?」と聞かれ、何も知らなかった私はわかならいと答えたのです。すると「君は、自分の国の文化も知らないんだね」と呆れて去って行ってしまいました。その瞬間、恥ずかしさでいっぱいになりながらも、自分は日本人らしくいるべきなんだと気づいたんです。それから「私は日本人よ!」という感じで堂々とふるまうようにしだしたら、みんなが寄ってきて。子供って周囲と違うものを持っている人に興味を持つんですよね。この時、自分のルーツに誇りを持つことや個性を持つことの大切さを学びました。

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左から:
「藤の花」©Rima Fujita 2017 

「楽園で」©Rima Fujita 2017 
「木の妖精」©Rima Fujita 2017 

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チベット難民学校にて生徒たちとディスカッション(2015年、ダラムサラ、インド)

-日本のみなさんにメッセージをお願いします。

は自分が揺らぎそうになったとき、今も13歳で「日本というルーツを自分の誇りにしよう」と決めた時のことを思い出します。そして自分にしかできないこと、自分らしくいられることは何か?を考えます。アメリカはたくさんの人種が混ざり合う国。だからこそみなが自分のルーツに強い誇りを持っています。もし、ルーツに対して誇りを持たない人がいればきっと軽蔑されてしまうでしょう。彼らは愛国心もとても強く、国の祝日などイベントごとに国旗を飾って表します。日本で同じことをすれば、批判されてしまうでしょう。ですが母国を誇りに思う気持ちはとても大切なものです。日本という国や日本人としての誇りについて考え、それぞれがしっかり自分のルーツに向き合うことができれば、世界のどこにいってもやっていけると私は思っています。



藤田理麻

東京生まれ。兵庫県芦屋市で育ち、13歳からニューヨークへ移住。パーソンズ・スクール・オブ・デザインを卒業。毎年、アメリカと東京で個展を開催。さらに、ニューヨークとカリフォルニアの各都市の美術館で、講演会や展覧会などを精力的に行っている。現在は、32年間過ごしたニューヨークを離れ、南カリフォルニアに移住。2001年から「Books for children」というチベット難民孤児たちの教育支援活動を行い、絵本の印税をすべてチベット難民へ寄付している。広島国際平和サミットでは、ノーベル平和賞受賞者のダライ・ラマ法王、ツツ大司教、ペディ・ウイリアムス女史より活動実績の賞賛を受けた。https://www.rimafujita.com

インタビュー 編集長 島村美緒 文 井上真規子