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すべては花にはじまり、花へと還る。ニコライ バーグマン 《後編》

2018.06.08
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外で活躍する日本人」連載の番外編、「日本で活躍する外国人」をお届けします。後編では、フラワーアーティストのニコライ バーグマンさんの多岐に亘る活動への思いと、今後の展開、そしてプライベートに迫ります。

 

《前編はコチラからお読み頂けます。》

 

フラワーアーティストの幅を広げる仕事も、数多く手がけられていますね。

い、プロダクトデザインが多いですね。これまでに時計や靴、メガネ、香水、ネクタイ、バッグ、ハンカチ、アパレルなどに携わりました。マンションのエントランスホールのフラワーディスプレイ監修や家具のセレクトなどを依頼いただいたこともあります。

暮らしのあらゆることが、花とデザインで繋がる。それがとても面白いんです。こういった仕事は、プロデューサーとしての自分に、たくさんの刺激やインスピレーションを与えてくれます。

 

昨年2017年には、ご自身のジュエリーブランド「ナチュア & ニコライ バーグマン」も立ち上げられました。

 

ジュアル、ファイン、ブライダルの3つのラインがありますが、どれもフラワーアーティストとしての経験をベースにして花や植物をモチーフにデザインしています。つぼみをモチーフにしたアイテムがあるのは、私が日本に来てから好きになったものでスタートしたかったからなんです。今後は徐々に花が咲いたデザインを発表していきます。

生花は、いつか枯れてしまいます。花の姿を長く残そうと考えたら、まずは造花などが頭に浮かびます。でもそこには心がない……。花や植物の輝く瞬間を永遠の美しさとして表現すること、そして女性が喜ぶもの。ずっとそれを念頭に置きながら、ジュエリーのデザインをしています。

 

デザインをする上で、共通する考え方はありますか。

にかく「花を通して」「自然を通して」物事を考えるのが、私のスタイルであり、ポリシー。「花を通して、何ができるか?」と、常に自分自身に問いかけています。また、花を扱う時のコアコンセプトや素材選び、色合い、コントラストなどが、そのままプロダクトデザインにも活かされています。

 

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今後やってみたいプロダクトデザインはありますか。

近のプロジェクトで特に印象深いのは、ヨウジヤマモトが展開するブランド「グラウンド ワイ」とのコラボレーション。花本来の美しさや生命力を、ジャケットやアクセサリーなどに込めました。自分の作品がプリントになることには、とてもワクワク感があります。花柄は四季と関係が深いので、いつかまた、ファッションブランドとのコラボレーションをしたいですね。花柄シリーズのTシャツなど、アイデアはたくさんありますし、絶対に面白く素敵にする自信があります。

 

デンマークから来日されて、今年で20周年。ご自身の中に変化はありましたか。

本人は本音を言わないとか、昔は気にしたこともありましたが、今は慣れてしまって何とも感じない(笑)。オーストラリア人の妻には、「あなたはすぐにOKと言う。もっと反対意見を述べるべき」と言われるのですが、「色々あるし、しょうがないよ」と答える。ある面では、日本人的になったかもしれません。日本語での日常会話にはまったく不自由しませんが、今でもタクシーに乗ると、「日本語がお上手ですね、どこからいらしたのですか」と毎回訊かれるのには、閉口します(笑)。

デンマークには、実は成功者が生まれにくい風土があるんです。ひとつ頭が出ると、すぐに周りがフタをしようとするというか……。デンマーク語でよく使われる言葉「ジャンテ・ロウ」とは、「あなたが私より優れているとは思わないで下さい」という意味。IT産業が生まれて以降は少し緩和されましたが、ビジネス的には面倒な気質があると思います。母国ですから大好きですが、ソトから見ることで気づいたことも、たくさんあります。

お父さまも園芸関係で、子どもの頃から植物に触れて育ったと伺っています。

え、そうです。1980年代、デンマークのスーパーマーケットチェーンで花を売るアイデアを初めて実現したのは、父なんです。20数年前、彼はデンマークで成功したこのモデルを日本に売り込むために来日しています。残念ながら時代が早すぎて、実現はしなかったのですが。

今の私があるのは、父の仕事を身近で見ていたから。幼い頃ころから「花屋さんになる」と決めていたのです。親の影響は、大きい。だから自分の息子にも、色々なものを見せてあげたいと思っています。

 

直近で、新しい予定はありますか。

内にアメリカの西海岸に新店を出すため、準備を進めています。日本と違い、プライベートで花を楽しむ文化が根付いていますから、面白いチャレンジができるはずです。

また国内では、箱根の仙石原に公園を造園中で来年初夏に一部のオープンを目指しています。予定地が4万ヘクタールと広いため、段階的に整備しては順次公開し、お客さまにもその変化を楽しんでいただこうと考えています。

 

ますます、お忙しくなりますね。

は、ギターを勉強したいんです。息子と一緒に練習するのですが、時間がなくてなかなか上達しません。10代の頃はバンドを組んで、よくライブをしていました。担当はドラム。1度は1000人の観客を前にライブをしたこともあります。花屋にならなかったら、音楽関係に進みたかった。ギターを弾きながら歌を歌いたい。仕事以外の夢は、それですね。

 

 

ニコライ バーグマン(Nicolai Bergmann)

母国デンマークでフローリストの資格を取得後、19歳で卒業旅行のために来日。1年後に再来日し、川越のフラワーショップで働き始める。2001年、有楽町で自身の一号店となる「ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン」を創設。その後、六本木、新宿などに店舗を展開し、現在は南青山のフラッグシップストアなど、国内外に12店舗のフラワーブティック、3つのカフェ、ジュエリーブランド、チョコレートショップを展開している。
www.nicolaibergmann.com

 

取材/島村美緒(プレミアムジャパン編集長)、文/木原美芽、写真/山村隆彦(人物)