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アートシーンを超えて独自のフィールドで活躍する奇才、パリ在住アーティスト・田中麻記子さん 《前編》

2018.08.21
1. 前編1_MAIN_pj1808-09181

今回は、ピエール・エルメ・パリとのコラボレーションや資生堂の花椿GIFアニメ「空想ガストロノミー」などの魅力的なイラストレーションで知られる田中麻記子さんにお話を伺いました。画家として長いキャリアを持つ、パリ郊外在住のアーティストです。

 

っと画家の道を歩んでいらした田中さんですが、イラストレーションを手掛けるきっかけは何だったのですか。

2013年に文化庁派遣在外研修員としてパリに引っ越したんですが、はじめに住んだアパルトマンに大家さんが置いていた紙が大量にあったんです。それに、毎日何か描こうと決めました。はじめは、パリの人達を描いていたのですが、その内に食べ物を描くようになって。とても自由に子供の頃描いていた感覚で描けて、900枚くらいになりました。それをある出版社が本にしてくれて、その本を見た方からイラストレーションの依頼が来るようになりました。

イラストレーションと絵画は大きな違いがあると思いますが、いかがでしたか。

自分一人で描いていると何でもありで、全部自分で決めていたので、他の方から「こういう風に描いてね」と言われるのがすごく新鮮で。楽しんでやっています。

家としてだけ活動していた時とイラストレーションを始めた今では、絵画の作風も変わりましたか。

もともと私の絵は暗いものからポップなものまで幅広くて、全然違うアーティストが描いたみたいと言われます。イラストを始めてからも、あまり変わらない気もしますが、ポップなものはもっとポップに、逆に引っ張られる形で暗いものはもっと暗くなったかも知れません。

美術の道を志したきっかけは何ですか。

2~3歳の頃から、ずっと絵を描いていました。おばあちゃんが、デパートの包装紙をA4くらいに切って、絵を描く用に常にためておいてくれました。中学生くらいになった時に親が「絵が好きだから、とりあえず女子美に行っておけば?」と。それで、高校から女子美に入りました。高校を卒業した後は、女子美の短大に行きました。高校の頃からとにかく色々なアルバイトをしては、貸ギャラリーで展示をしました。初めての展示は16歳のとき国分寺の一軒家の画廊でした。女子美時代は、空想のドレスなどをデザインするのが大好きでしたので、服飾科を何も考えずに選びましたが、ミリの世界が全く合わず、授業にはあまり出なくなりました(笑)。それでも家では絵画制作を続け、イベントや自分で開いた展覧会など精力的に活動を続けていました。

 

作活動は高校の時から始まっていたわけですね。

 

そうですね。だけど、そんなにすぐにコマーシャル・ギャラリーに入れないので、アルバイトして自費でギャラリーを借りて個展をやって、もちろん売れず、親戚が1枚買ってくれるくらいとか。「一生、こんなことやっているのかな?」とか思いましたけれど、続けていたら、いろいろな出逢いがあって、ひょんなことからエージェントに入ったのですけれど。

画家として、経済的に自立できたのはいつですか。

29歳の時に初めてバイトせずに自立できるようになって、5、6年続いたのですが、その後また少しバイトをした期間もあります。文化庁の研修員としてパリに行ってからは、イラストレーションのお仕事と、従来してきた個展の仕事がバランス良く出来るようになり、双方のお客様がそれぞれの作品をまた新たに知ってくださるという良い循環が生まれています。

 

 

 

 

化庁の研修員を終えてからもパリで暮らしていらっしゃいます。東京ではなく、パリを選んでいる理由は何ですか。

パリが好きで、2000年から毎年行っていて、1ケ月とか3ケ月とか滞在していました。なので、文化庁の募集にアプライしてみたらと言われた時も、期間は1年だったのですが、1年住んでもいいかなと思ったのです。やはり合っているみたいで、そのまま住んでいる形です。パリの人は個人主義でみんな違っていて、それが当たり前というところが魅力なのかも知れません。日本でも自分がどういう風にいればいいか次第なので、日本のせいにはしないけれど、パリだともっと自由にいられます。でも、東京も合っていて、どちらも好きです。正確には今はパリではなく、パリから電車で15分位の郊外に暮らしています。家で仕事をするため、緑も多く、広々としたアパルトマンのある郊外の方が気に入っています。

 

 

◆田中麻記子「Vu Vu」展

会期:2018年8月3日(金)~ 9月9日(日)
会場:NADiff a/p/a/r/t B1F(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F)
時間:12:00~20:00(月曜定休日)
入場料:無料
お問い合わせ:TEL03-3446-4977

http://www.nadiff.com/?p=10410

 
同時開催

◆田中麻記子展

会期:2018年8月21日(火)~8月26日(日)
会場:森岡書店(東京都中央区銀座1-28-15 鈴木ビル)

https://soken.moriokashoten.com/

 

 

《後編に続く》

 

田中麻記子(たなか まきこ)

1975年東京生まれ、1994年女子美術短期大学服飾デザイン科卒業。2009年第12回岡本太郎現代芸術賞入選。 2013年文化庁新進芸術家海外研修員(フランス、パリ)。ピエール・エルメ・パリ・ジャポン青山店のシンボル「マカロン・ベイビー(Macaron Baby)」のデザイン及びアニメーションの担当、資生堂「花椿」Web版にてパリの季節の食材をテーマにしたアニメーション&コラム「空想ガストロノミー」を連載するなど、独自の作品世界が幅広い層に支持され、アートシーンに留まらないフィールドで活躍。
http://tanakamakiko.com/

 

取材/島村美緒(プレミアムジャパン編集長)、文/高橋美子、写真/古谷利幸