オーバカナル 銀座

Lounge

Tokyo, 7 p.m.

野呂洋子のGINZA 夜7時

2019.7.4

銀座は、人生の晴れ舞台。柳のように強くしなやかに邁進する、日常の止まり木――― フレンチスタイルカフェ&ブラッスリー「オーバカナル 銀座」

サヴィニャックのポスターを照らすのは乳白色のシェードからこぼれる灯り。まるでパリのカフェにいるような風景が広がる「オーバカナル 銀座」。

数寄屋橋交差点のすぐ近く、銀座5丁目で「銀座 柳画廊」を夫妻で営み、副社長を務める野呂洋子さん。有名画廊がひしめく銀座の街で美術商として過ごす日々と、ひとりの女性としての生き方や展望を聞いた。

カフェで通りを眺め、マンウォッチング
時代の空気を肌で感じるための時間

「ここに座って行き交う人を眺め、街の空気を肌で感じています。マンウォッチングするには最適の場所。大好きな店です」。野呂さんにとって「オーバカナル 銀座」は、すぐ近隣にある憩いの場所だ。

 

この店はエスプレッソ1杯からワインまで、ランチもディナーも楽しめるフレンチスタイルのカフェ&ブラッスリー。テラス席があり、大きく開け放たれたガラス戸から店内にも風が渡り、開放感に満ちている。道行く人にはご近所の知り合いも多く、笑顔で挨拶を交わしている。ここでのお気に入りは本格的なシュークルトや、軽食にもなるパテとバゲットだ。

 

野呂さんと銀座の縁は、この街に画廊を開いた時から。それから25年。カフェでの人間観察は、美術作品の販売にも直結する景気の動向を計るためでもある。辣腕をふるう華やかなスーパーキャリアウーマンならではの、実のある憩いのスタイルだ。

オーバカナル 銀座 オーバカナル 銀座

みゆき通りに面する「オーバカナル 銀座」。何かあればすぐに戻れる距離だから、お付き合いのあるアーティストとランチを兼ねて歓談するのもここ。窓際に座っていると、ひっきりなしに界隈の知り合いが通り、声をかけられる。

パテ・ド・カンパーニュ パテ・ド・カンパーニュ

ランチでもディナーでも利用するが、ひとりでならパテ・ド・カンパーニュをオーダー。


人生を戦略的にとらえつつ、天真爛漫。
「銀座の画廊めぐり」は10年目に。

子供のころから才気に富み、人生に大きな展望を描いていた野呂さんだが、同様に結婚し家庭を持つことにも積極的だった。「女性も仕事をするのは当然で、大学では理工学を学び、米国に語学留学もしました。IT関連で起業することを前提に、多くの人脈も作りましたが、結婚をして子供をもつこと。これがまず私の人生設計にありました。」。起業する代わりに家業を持つ人と結婚すればよいと考え、20代後半で関西出身の名門美術商と結婚。銀座の象徴「柳」を画廊名に、エコール・ド・パリの作家を中心に扱う。画廊は軌道にのるが、リーマンショックを機に危機的な状況に。その頃、何とかしようと始めたのが「銀座の画廊めぐり」だった。月に2回、数名で銀座の画廊を数店めぐった後、ランチをしながら自由に語り合う3時間のプログラムだ。3,000円という手ごろな料金で敷居が高いと思われがちなギャラリーに親しみ、アートを楽しんでもらうというこの企画は、新聞・TVにも取り上げられ、好評を博して今年で10年目になる。


元気が一番。
周りにいる人をハッピーにしたいから。

「銀座 柳画廊」のすぐ近くにある中央区立泰明小学校の3年生を引率しての美術教育もボランティアで行っている。また最近では、周りにいる50~60代の管理職女性たちの定年後の再就職について思いを巡らせている。能力とスキルをもつ彼女たちを新たなフィールドへつなげる活動にも熱心だ。野呂さん自身の人脈と才覚とエネルギーを惜しみなく使い、社会貢献することは当然と考えている。しかもビジネスとのバランスをとりながら、したたかに。「結局、人間は元気であることが一番大切です。私は元気で、健康で、世の中の役に立つことを行い、死ぬ時に後悔をしない――。そういう生き方をしたいのです」。

オーバカナル 銀座 オーバカナル 銀座

「オーバカナル 銀座」は、画廊めぐりでランチを楽しむ店のひとつでもある。昼も夜もここで気軽に人と集まり、語らうのが好きな野呂さん。まるで自分のもうひとつのオフィスのような存在。

銀座は人とのつながりを大切にする街だ。銀座の若旦那、若女将からなる親睦会「銀座くらま会・からす組」に参加し年に一度、新橋演舞場で小唄などを披露する。町内会の昼食会は銀座の気心の知れたレストランに集まる。それが銀座人の日常だ。「慶應の学生時代、東京六大学野球の慶早戦の時、慶應の帽子をかぶって銀座に繰り出してワイワイやっていると、いつのまにか知らない人が飲み代を払ってくれているんです。銀座には慶應出身のオーナーやお客様が多いからでしょう。銀座はそういう街です」。

 

華麗な経歴と活躍以上の魅力が野呂さんにはある。明るく溌剌として、弱者を応援しようとする人柄が魅力をさらに高め、野呂さんを輝かせる。

野呂洋子 Yoko Noro
株式会社銀座柳画廊 代表取締役副社長

東京都出身。中学、高校ではハンドボール部に所属。慶應義塾大学理工学部卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社、システムエンジニアとして多くのプロジェクトに従事。 結婚後、同社を退社、銀座柳画廊を野呂好彦氏と共に創業。国際ロータリーの会員組織委員長、日本ハンドボール協会の応援団を務める。「美術と教育を考える会」を主催。「銀座柳画廊」http://www.yanagi.com/

「オーバカナル 銀座」(AUX BACCHANALES GINZA)
店構え、インテリア、カトラリーやギャルソンのサービスまで、パリのカフェがそのまま東京に出現したような「オーバカナル 銀座」。ランチからカフェ、ディナーまで、一日中賑わい、それがまたパリのような風情を醸し出している。心地よい喧騒の中、ひとりでティータイムもよし、仲間とランチやディナーも楽しいカフェ&ブラッスリー。

 

東京都中央区銀座6-3-2 ギャラリーセンタービル1F
03-3569-0202
カフェ
月~木:11:00~23:00(L.O.22:00)
金:11:00~23:30(L.O.23:00)
土:9:00~23:30(L.O.23:00)
日祝:9:00~23:00(L.O.22:00)
ブランジェリー
9:00~21:00
年中無休(年末年始除く)

Text by Misuzu Yamagishi
Photography by Ahlum Kim

Tokyo, 7 p.m.

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