ワイングラスから薔薇茶の薫りが立ち上る。「ラフィナージュ」のカウンターでティーペアリングを愉しむ北原佳子さん。

Lounge

Premium Salon

Tokyo, 7 p.m.

2019.7.25

茶藝師がティーペアリングを楽しむフレンチレストラン「ラフィナージュ」

店内の華やいだ雰囲気に、北原さんのきもの姿が映える。「きものは相手へのリスペクトを示すもの。お稽古のときや会食の際はなるべくきものを着ます」。

夜7時、北原佳子さんが誘ってくれたのは、銀座の中心に2018年10月に誕生したフレンチレストラン。シックで落ち着いた店内に優美なきもの姿が映えて、日本の厳選茶と見事な料理が奏でて織りなす、美しい夕刻が始まった。

はじまりは、中国茶との出会いから

鉄線と野バラの咲き誇る夏らしいきもの姿の北原佳子さんは、中国茶の専門家。中国政府認定の茶藝技師などの肩書を持ち、指導者として活躍している。「コーヒーもお酒も飲めないから」という理由でお茶好きとなり、中国茶を本格的に学び約10年。短期間で難関の国家試験をクリアし、茶藝技師・中級評茶員となった。「24年前、友人に頼んで中国から買ってきてもらったお茶があまりにおいしく、それ以来、幻のようなそのお茶を探し求めました。それがすべての始まりとなって、今に至っています」と微笑む。


厳選の日本茶で、ワインのように華やかに、余韻も深く

北原さんが「ラフィナージュ」をナビゲートする理由は、本当のティーペアリングを楽しめる店だから。オーナーシェフの高良康之氏が、ノンアルコール飲料で、しかもワインと同様にテーブルが華やぎ、料理も引き立てるお茶との組み合わせを思索、中国茶の専門家とともに実現したものだ。その中国茶の専門家が、北原さんの尊敬するお茶仲間だった。ディナーコースでは5品の料理に5種のお茶が添えられる。使用されるのは国産無農薬栽培のボトルドティー 。「お茶の旨味や香りと、食材、調理法、香辛料をリンクさせ、お茶と料理、互いを深く補い、また相乗効果で高め、毎回ペアリングの妙に感動します」。

カウンター越しに「ラフィナージュ」高良シェフとお茶について語らう北原さん。 カウンター越しに「ラフィナージュ」高良シェフとお茶について語らう北原さん。

カウンター越しに北原さんと高良シェフのお茶談義が弾む。

今日の前菜の一皿、フォアグラの冷製には薔薇茶をペアリング。「フォアグラの冷製は、底にスパイスを利かせたパンとサクランボ、上にポルト酒のソースをあしらい、赤いニュアンスがあります。だから薔薇茶を」と高良シェフ。上品にバラが香る宇治茶と、丁寧に料理されたフォアグラが口の中で出合って、新鮮な感動を運ぶ。

今日の前菜はフォアグラを使った一皿。その日の仕込みによってメニューが変わり、合わせるお茶も毎日変える。 今日の前菜はフォアグラを使った一皿。その日の仕込みによってメニューが変わり、合わせるお茶も毎日変える。

毎朝、仕入れに合わせてメニューが変わり、合わせるお茶も毎日考えているという高良シェフ。

オープンキッチンの高良シェフの動きが望めるカウンターは特等席。北原さんは興味津々。 オープンキッチンの高良シェフの動きが望めるカウンターは特等席。北原さんは興味津々。

カウンターから見えるオープンキッチンにも興味津々。「お料理とお茶をどう合わせているのか、学びながら食べています」。


音楽家として
茶藝師として
銀座はなくてはならない街

北原さんもお茶と料理・菓子の組み合わせに精通する専門家だ。「茶会ではお菓子は特注しますが、買い求める時もあり、その時は銀座です。中国茶器店も訪ねますし、きものも銀座か日本橋ですね」。実は音楽家でもある北原さん。ヤマハ銀座店に行くことも多い。ピアノ同様、教えることが自身をも高める有効手段だと助言され、3年前から中国茶の教室を主宰する。

 

「音楽を奏でるようにお茶を淹れたいと意識しています。もっと自由に堅苦しくなくお茶を楽しんで欲しいのです。各地を旅した経験から、お茶があればどこの国の人々とも親しくなれます。世界中、種類は違ってもお茶という共通項で人と人が繋がり、心が開かれます。お茶との出会いは運命。その魅力を伝えることは使命だと感じています」とおだやかに、明快に、お茶のある人生の歓びを語ってくれた。

北原佳子さんのきもの姿がよく映える、シックな「ラフィナージュ」の店内。 北原佳子さんのきもの姿がよく映える、シックな「ラフィナージュ」の店内。

中国茶について知りたいという方の声に背中を押され、教室の門戸を少しずつ広げていきたいと語る北原さん。

北原佳子 Yoshiko Kitahara
中国茶家

中国政府認定 茶藝技師・中級評茶員。中国茶インストラクター。中国茶藝教室 空空倶楽部Coucou主催。大阪出身、東京育ち。幼少から大学まで専門的にピアノを学ぶ。現在は茶藝師として活動し、各種茶会や茶事、菓子作家とのコラボレーションなどイベントでも活躍。日本の茶道も学び、和洋中が自在に調和する美しい茶会を催す。骨董、民藝、現代作家の器や道具のコレクター、監修者としても知られる。茶藝教室の問い合わせはインスタグラムへ。
https://www.instagram.com/yoshico.k/

レストラン ラフィナージュ Restaurant L’AFFINAGE
「銀座レカン」総料理長を務めた高良康之氏が独立し、オーナーシェフとして指揮をふるうエレガントで心地よいフランス料理店。ラフィナージュは“熟成”を意味し、料理やサービスをこの先長く熟すように深化させ、ゲストとともに店もオーナー自身も円熟していきたいとの思いが込められている。
ランチ7,000円〜、ディナー18,000円~
厳選茶ペアリング:ランチ4,000円、ディナー7,000円、
ワインペアリング:ランチ4,000円~、ディナー7,000円~
(サービス料、消費税別)

 

東京都中央区銀座5-9-16 GINZA-A5 2F
12:00~14:00(L.O.)18:00~20:00(L.O.)
定休日:月曜日、第3火曜日
http://laffinage.jp

The tea company 「Tea D’or」
「ラフィナージュ」で使用されている厳選茶のブランド。日本茶の世界を五感で楽しむべく、国産の無農薬栽培の茶葉を厳選。茶葉ごとに最適な抽出条件を吟味し、香り、味わいともに高品質のボトルドティー “The D’or” を誕生させた。ボトルドティーには玉露、阿波晩茶、華焙(焙煎茶)など8種あり、リーフ缶もある。オンラインでも購入可能。
http://the-teacompany.jp/

Text by Misuzu Yamagishi
Photography by Ahlum Kim

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