日本語 | English | 简体中文 | 繁體中文

PREMIUM SHIGA プレミアム滋賀

《第4回》湖北の美食オーベルジュと「セヴン・スピアーズ」

2018.04.07

ロテル1(左)海津大崎から菅浦方面へと続く奥琵琶湖沿いの22キロに渡るドライブウェイは、3200本の桜並木の美しさでも知られる。写真はロテル・デュ・ラクのある大浦から、その桜越しに眺める竹生島の風景。神の島の異名を持つ竹生島について、白洲正子は著書『かくれ里』において「竹生島の美しい姿自体が一つの歴史であり、神仏混淆の象徴」と描写した。(右)ロテル・デュ・ラクを空から望むと、懐深い自然に抱かれた全容が明らかになる。この大浦の付近は白洲正子の著書の中で「引き込まれそうに静かな」、「湖北の中の湖北」と形容された。

 

私たちが知らない、未だ見ぬ日本のプレミアムを求めて。

PREMIUM JAPANはローカルな街のグローバルな魅力を紐解く旅に出ます。

最初の目的地は琵琶湖の豊かな自然を抱き、由緒ある寺社や歴史情緒が残る風光明媚な滋賀県。今回は奥琵琶湖の美食のオーベルジュから生まれた、湖北の美食を内外に向けて発信する「7Spears(セヴン・スピアーズ)」をご紹介します。

 

PREMIUM SHIGA プレミアム滋賀《第4回》
湖北の美食オーベルジュと「セヴン・スピアーズ」


ロテル・デュ・ラクで誕生した
セヴン・スピアーズとは?

江を愛した白洲正子は、著書「かくれ里」や「近江山河抄」の中で近江の風景を礼賛しています。その中で、湖北について「寂しいけれど暗くはなく、しっとりしていても、湿っぽくはない。陶磁器にたとえれば、李朝の白磁のよう」と讃えました。「京都が桜の盛りでも、そのあたりはまだ早春。琵琶湖の景色も空気が澄んで透明となり、北国めいた風景」と描写された湖北の美しさ、そしてこの地方ならではの美食を堪能できるのが、ここにご紹介するロテル・デュ・ラクです。

湖北を紹介するうえでのキーワードが、賤ケ岳の戦いで秀吉を助けた「七本槍」と呼ばれる7人の武将であることは前回の記事でお伝えしました。今回ご紹介するロテル・デュ・ラクから生まれた「7Spears(セヴン・スピアーズ)」の語源も、同じく「賤ケ岳の七本槍」。同じ7人のマスターといってもこちらは、日本料理、フレンチ、中華、寿司、パティシエといった異なるジャンルの「7人の美食のマスター」。湖北の「セヴン・スピアーズ」は奥琵琶湖のスモール・ラグジュアリー・ホテルから、日本へ、そして世界へ向けて花開こうとしています。



(上)山側から望むロテル・デュ・ラクの本館。全15室の客室はこの本館の他に、ヴィラを擁する。世界80か国以上の独立系の高級かつ小規模なホテルで構成されたSmall Luxury Hotels of the World (SLH)認定ホテル。(中央)開放感に満ち溢れた80㎡のラグジュアリー・スイート。目の前にはレイクビューが広がる。(下)ゲストだけが購入できる、滋賀県の食材を使ったオリジナルギフト「天使のカステラ」。お米を餌として与え、卵を産ませるために卵の黄身が白いという特徴を持つ滋賀県大津市比良の養鶏場、利助の卵を使用。滋味豊な卵の味わいと柔らかな和三盆の風味が好評。

 

唯一無二のここにしかない料理で
日本へ、世界へ

酵文化と近江食材をテーマにしたスペシャル・メニューを、セヴン・スピアーズ(=湖北の7人の料理マスター)の手によるディナーコースとして供す、「おうみ発酵の食文化を世界へ」と題された一夜限りのディナーが、ロテル・デュ・ラクのダイニング、ル・ペイサージュで開催されたのは、ある早春の宵。「旅に求められるものがエクスペリエンスからライフスタイルへと発展していることを感じています。奥琵琶湖に美食を求めてお越しいただいたゲストに、この地のライフスタイルである発酵文化を体感していただきたい」と語るのは、セヴン・スピアーズの仕掛け人であるロテル・デュ・ラク常務取締役の田中秀和氏。湖北の発酵料理を世に知らしめたことで知られる「徳山鮓」の徳山浩明氏と共に、田中氏は昨年5月、奥琵琶湖発の美食プロジェクト「セヴン・スピアーズ」を立ち上げました。

そのメンバーは発酵料理の徳山浩明氏を筆頭に、徳山舞氏(徳山鮓)、フランス料理の北山英樹氏、中華料理の松浦弘昭氏(ロテル・デュ・ラク)、イタリア料理の押谷俊孝氏(パッソ)、寿司の眞杉国史氏(京極寿司)、洋菓子の村方純氏(オ・ボン・カドー)といった地元の情熱溢れる若き料理人たち。先のディナーではエビ豆、琵琶マス、猪肉、鹿肉など、地元の食材と発酵、ジビエをテーマにしたコースを7人の共働により完成させました。すでに3回目を数えるセヴン・スピアーズのイベントは、これを目当てにフーディーズが東京からかけつけるなど、ローカル・ガストロノミーの新しいさざ波として注目を集めています。

0123_セブンスピアーズ_0152

_MG_3665
_L9A3072
(上)7人それぞれが「4番バッター」の自負を持ちながらも、共働によりひとつのディナーコースを組み立てていく「セヴン・スピアーズ」のディナーコース。(中央)オーガニック・イタリアン「パッソ」の押谷俊孝氏が担当した鹿肉のテリーヌには、地元の生産者によるきのことホウレンソウのソースが添えられた。(下)レアチーズケーキに日本酒、ギモーヴに餅、マカロンに漉し餡、という組み合わせで創作デセールを担当したのはフランス菓子店「オ・ボン・カドー」の村方純氏。

 

湖北の豊かな自然と恵みを
セヴン・スピアーズの名店で堪能する

「自然が豊かな湖北では、山のもの、湖のもの、朝目が覚めて目に映るすべてのものが食材です。ましてや『発酵』というキーワードもある。フレンチ、イタリアン、中華、お寿司、洋菓子など、ジャンルを問わず志を持つ料理人に参加してもらい、ここ湖北を日本のみならず世界からお客様にお越しいただける美食の中心地にしたい。そんな想いからセヴン・スピアーズを始めました」。そう語るのは、湖北の発酵料理を世に知らしめた予約の取れない名店「徳山鮓」の主人、徳山浩明氏。ロテル・デュ・ラクの田中常務とともにセヴン・スピアーズのリーダーとして、湖北の若き料理人たちを束ねます。「予約が3年待ちのお店に行けないからと諦めるのではなくて、他にもこんなに個性豊かで魅力溢れる店があるということを知っていただきたい。スペインのサン・セバスティアンのように料理人や関係者が切磋琢磨し、志をひとつにして、お客様にお越しいただける地方にしたいですね」。このセヴン・スピアーズをきっかけに、滋賀を訪れるフーディーズたちが長浜の美食スポットであるロテル・デュ・ラク、徳山鮓、京極寿司を回遊するという流れも生まれてきているとのこと。「セヴン・スピアーズのレストラン巡り」という新しい湖北の楽しみが、美食家たちの旅の定番となる日も近いかもしれません。

ロテル4
(左)徳山鮓の主人、徳山浩明氏。豊かな湖北・余呉湖に店を構え、自ら山に入り、水に入って調達した当地の食材を「発酵料理」というキーワードで調理する。(右)予約の取れない名店、徳山鮓。湖北の発酵料理を余呉湖から世界に発信している。(写真提供:徳山鮓)

 

【湖北の7Spears(セヴン・スピアーズ)が腕を振るうレストラン】
ロテル・デュ・ラク 
奥琵琶湖のローカル・ガストロノミーの拠点となる美食ホテル。セヴン・スピアーズの次回のイベントは6月に予定されているので要チェック。
滋賀県長浜市西浅井町大浦2064
http://www.lhotel-du-lac.com/

徳山鮓
予約の取れない名店としても知られる近江発酵料理の草分けで、宿泊も可能なオーベルジュ。宿泊客だけが味わうことのできる湖北の幸をふんだんに使った朝食も絶賛されている。
滋賀県長浜市余呉町川並1408
http://www.zb.ztv.ne.jp/tokuyamazushi/

京極寿司 
三代目若大将は北海道、東京、福井で修業。一握入魂で「お客様の為に」、「王道の最先端」を目指す。2007年全国すしコンクール「巻寿司の部」金賞受賞。滋賀県すし組合若手すし研究会「湖鮒会」会員
滋賀県長浜市元浜町6-11(長浜大手門通り)
http://kyougokuzushi.com/

PASSO(パッソ)
伊吹山や琵琶湖、近江の豊かな自然の恵みである新鮮な地元の食材をふんだんに使ったオーガニック・イタリアン。美味しいものが食べたいゲストと、美味しいものを届けたい生産者の想いを料理で繋ぐ。
滋賀県長浜市八幡東町291
http://www.passo-os.com/

Aux Bons Cadeaux (オ・ボン・カドー)
「素敵な贈り物」をコンセプトとするフランス菓子店。優しい味わいをベースとしたお菓子で地元の人気を集める。
滋賀県長浜市祇園町311-4
https://www.facebook.com/auxbonscadeaux/

 

写真・野口佳那子

文・藤野淑恵

(写真提供: ロテル・デュ・ラク)