料理、空間、器。そのすべてが洗練された和食料理店「八雲茶寮(やくもさりょう)」が、2026年2月より、動物性食品を用いない精進料理の伝統を、現代の食養生に適うかたちで再解釈した「季節の精進料理」の提供をスタートした。精進料理に現代の感性と職人の技が加わり、それは感動的な料理の数々として結実している。
都立大学駅から閑静な住宅街の中を12分ほど歩くと、石垣に囲まれた風情ある一軒家が現れる。石の階段を上り、屋号紋を大きくあしらった真っ白な暖簾をくぐると、そこには都会の喧騒を忘れさせてくれる、穏やかな時間が流れている。
八雲茶寮は、「現代における日本の文化創造」をコンセプトに、食、茶、和菓子、工芸、香りの事業を展開し、建築、インテリア、プロダクトのデザインディレクションも行うデザイナー、緒方慎一郎氏が構想する「究極の料理屋」であり、店内では食事をはじめ、季節の食材を使った和菓子店「楳心果(ばいしんか)」、それらの和菓子やお茶がいただける茶房、さらに器などの工芸を紹介するサロンも併設されている。
2月からスタートする八雲茶寮の季節の精進料理は、かねてより講座などで紹介されてきた、和食の原点としての精進料理の歴史を踏まえたもの。食に向き合う精神性や食事作法も大切にしながら、「精進する料理」としての本質を守りつつ、現代の感性をプラスした、新しい精進料理といえる。
季節の精進料理は、「ひと口」から始まる。絶滅が心配されている真昆布を水に浸して取った出汁をいただく。通常、精進料理では利尻昆布を使用するが、あえて真昆布の甘く優しい味わいで口を湿らせていく。身体に染み渡るその滋味は、まるで心身を清めていくかのようである。
「ひと口」折浜 天然真昆布。
続いて「お椀」として胡麻豆腐、「精進百珍」として旬の野菜をさまざまなかたちで味わう。中でも印象的なのは南高梅の天麩羅。サクサクの衣に包まれた南高梅の甘みと酸味が、ほかの野菜の旨味までも引き出してくれるようだ。動物性食品を使わない料理は物足りなさを感じるのでは、と思われがちだが、出汁や野菜そのものが持つ力が、これほどまでに満足感を与えてくれるのかと驚かされる。
ここでは、お料理を自分たちで取り分けていただくスタイルになっている。
1つのお皿から分け合うことから会話が生まれ、より親近感も増していく。
精進料理は本来修行の一部であり、作ることも食べることも尊い修業。その真髄を知りながらも、現在の感性を取り入れた八雲茶寮の精神性がそこにも息づいているのだ。
「精進百珍」料理の数々。
さらに料理は、「雲片」「四つ椀」と続き、「八寸」では鰻もどきが登場する。見た目はもちろん、山芋を使った鰻もどきは、箸を入れたときの触感までも鰻さながらである。そこには先人の知恵、そして日本人が長く大切にしてきた食への精神性が息づいており、料理を重ねるごとに幸福感が満ちていく。
「雲片」は、普茶料理の一種で、細かく刻んだ野菜にとろみをつけた料理。
「八寸」の鰻もどきとたたき牛蒡。
最後は「甘味」として、楳心果の和菓子をいただく。
精進料理と向き合うことで見えてくる精神性や所作の大切さ、また日本の食文化を自然に学びながら味わう八雲茶寮の季節の精進料理は、新たな心の扉をきっと開いてくれるはずである。
◆八雲茶寮
【住所】東京都目黒区八雲3-4-7
【電話】03-5731-1620
【営業時間】9時〜16時/昼の部 12時~14時(ラストオーダー)
【お品書き】季節の精進料理(昼の部)16,500円(税込・別途サービス料10%)
※季節の食材により料金が変わります。ご予約の際にお尋ねください。
※ご予約3日前以降のキャンセルおよび食材の変更はご遠慮ください。
※20歳未満のお客様のご利用はご遠慮ください。
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