京都国立近代美術館では、展覧会「ジュエリーは、誰を夢みる」を2027年1月17日(日)まで開催中だ。本展が着目するのは、素材の価値や装飾性にとどまらず、作家の思想やメッセージを込めた「コンテンポラリージュエリー」。戦後の日本におけるジュエリーデザインの歩みを振り返りながら、身に着けることと芸術表現の関係をひもといていく。
フェリカ・ヴァン・デル・リースト ネックレス《お皿を持った小ライオン》 2004年 種々の糸、プラスチック、14金、ガラス 専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ蔵 ⒸFelieke van der Leest 撮影:渞忠之
日本のジュエリーデザインが大きく動き始めたのは、1964年に日本ジュエリーデザイナー協会(JJDA)が設立された頃。1970年から開催された「国際ジュウリー・アート展」などを通じて、欧米の新しい動向が紹介され、貴金属や宝石の価値だけではない、デザインやコンセプトを重視する考え方が広がっていった。
会場には、専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジの所蔵品をはじめ、約50年ぶりにドイツから来日する作品や現代作家の新たな表現など、約350件が集結。ジュエリーという小さな世界に込められた、多彩な発想と物語に出合うことができる。
オットー・キュンツリ ブローチ《スイス・ゴールド》 1983年 厚紙、アクリル 京都国立近代美術館蔵 ©Otto Künzli, VG Bild-Kunst, Bonn 2025
なかでも興味深いのが、スイス出身の作家オットー・キュンツリによるブローチ《スイス・ゴールド》。一見すると金塊のように見える作品は、実はチョコレートの紙箱で作られたもの。富やステータスの象徴としてのジュエリーを、ユーモアと皮肉を交えて問い直している。
いしかわまり リング《Love makes blind(愛は盲目)》1999年 銀 作家蔵
いしかわまりのリング《Love makes blind(愛は盲目)》は、見る角度によってハートにも無限大の記号にも見えるユニークな作品。ジュエリーになじみ深いモティーフを用いながら、人と人との関係性や、相手を理解することの難しさを問いかける。
新里明子 ヘッド/ノーズピース《Another Skin》 2015年 金メッキ真鍮、スワロフスキークリスタル 作家蔵
新里明子の《Another Skin》は、容姿と自信の相関関係についての研究を背景に、ジュエリーによって顔を変容させるという大胆な発想から生まれた作品だ。
カール・フリッチ リング 2005年 ガラス、銀 専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ蔵 ⒸKarl Fritsch 撮影:渞忠之
ときに社会の価値観を問い、個人の記憶や感情を映し出すジュエリー。約350件の多彩な作品を通して、装身具という枠を超えた表現に触れてみてはいかがだろうか。
◆ ジュエリーは、誰を夢みる
【会期】開催中~2027年1月17日(日)
【会場】京都国立近代美術館 3階企画展示室(京都市左京区岡崎円勝寺町)
【開館時間】10:00~18:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
【休館日】月曜日(11月23日、2027年1月11日は開館し、翌火曜日休館)、2026年12月29日(火)~2027年1月3日(日)
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