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美食のまち・福井県を旅する

2026.3.17

若狭湾の絶景と海の幸を楽しむ 福井県嶺南エリアで注目のモダン宿3選

若狭の新鮮な海の幸、山の幸をシンプルな炭火焼で味わう。「敦賀さざなみリゾートちょうべい」では、この「炭火焼懐石」が人気のメニュー。


福井県南部の嶺南エリアの若狭湾沿岸は、若狭がれい、若狭ぐじなど、数多くのブランド魚を生み出す、食材の宝庫。極上の味覚を求める観光客が急増するなか、最近は現代のライフスタイルに合わせて、和室をベッド付きの洋室へ改装するなど、大規模なリニューアルが進んだ宿が何軒か登場。そうした宿のなかでも、新鮮な海の幸と昔ながらの温かいもてなしに、洗練された快適な空間を両立させた、新たな施設として注目を集める「敦賀さざなみリゾートちょうべい」「若狭佳日」「かつみや」の3軒を紹介する。

 

 




サイクリング、マリンスポ―ツ……。さまざまなアクティビティを気軽に楽しむ ──敦賀さざなみリゾートちょうべい──



敦賀湾の絶景を、館内のどこからでも楽しむことができる。それが「敦賀さざなみリゾートちょうべい」(以下、「ちょうべい」)だ。敦賀市街から車でわずか10分という好立地にありながら、宿の名が示す通り、穏やかなさざ波の音が日常の喧騒を遠ざけてくれる。 部屋の窓を開ければすぐそこが海。手が届きそうなところに若狭の海が広がる。


ちょうべい ちょうべい

右手前の建物が「ちょうべい」。まさに海辺の宿。四季を通じて波静かな入江だからこそ可能な立地。


サイクリストに絶大な人気の「輪の間」


「ちょうべい」の大きな魅力は、ゲストのさまざまなスタイルに寄り添う柔軟さにある。一泊二食付きの宿泊はもちろん、素泊まりや食事のみ、あるいは日帰り入浴といった幅広い利用が可能だ。

客室は全6タイプ、計8室。なかでも「輪(りん)の間」「光の間」「虹の間」と名付けられた3つの特別室は、それぞれ異なる趣を持つ。なかでもサイクリストから絶大な支持を集めているのが「輪の間」だ。折りたたみ自転車2台を常備し、愛車の持ち込みも2台まで可能。部屋から直接ビーチへ出入りできる動線も、アクティブ派にはたまらない。


ちょうべい ちょうべい

「輪の間」は、部屋に備えられた2台の自転車のほかに、ゲスト自身の自転車も2台まで部屋に持ち込むことが可能。定員も4名なので、家族向けにも最適。

ちょうべい ちょうべい

「輪の間」は、ジャグジーバスが備わる。サイクリングで若狭の自然を堪能した後は、このバスにゆっくりと浸かりたい。



ちょうべい ちょうべい

「海辺の舟小屋」をイメージした「光の間」。部屋の名前にちなんだ漁具が壁面を飾り、和モダンのたたずまいを引き立てる。


発酵食品を中心に、50品目以上の食材で組み立てられた「発酵食御膳」



食事は、海の幸・山の幸を豪快に味わう看板メニュー「炭火焼懐石」がお薦め。地元の誇りである若狭牛を、炭火の香ばしさとともに堪能することができる。特に、若狭牛サーロインは、県内最高ランクと称される一級品だ。滋味深い野菜の味わいも、体に染み入る。また、朝食には50品目以上の食材を盛り込んだ「発酵食御膳」が好評。熟成に一年を費やす自家製の「へしこ」は、女将の山本敬子さんが自ら仕込んだ逸品で、土産物としても人気が高い。

ちょうべい ちょうべい

ズワイ蟹、サザエ、ホタテなどの海鮮と野菜をこんがりと炭火で焼き上げる。「あわび炭火懐石」や「敦賀ふぐ炭火焼懐石」などの特別メニューも用意されている。


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発酵の力を活かした塩麹や赤玉ねぎドレッシングをはじめ、福井名物の鯖のへしこなど、発酵食品を中心に50品目以上の食材を使って組み立てられた朝食の「発酵食御膳」。この朝食を目当てに足を運ぶゲストもいる。


さらに、海辺のテラスでの海鮮バーベキューに加え、サップや釣り、トレッキングといったアクティビティの拠点としても機能する。道具のレンタルが充実しているため、手ぶらで訪れても、心ゆくまでアウトドアを満喫できるのも嬉しいかぎりだ。

 


老舗旅館を、往時の風情を残しながらモダンに改築  ──若狭佳日──



福井県小浜市阿納(あの)地区。かつて北前船の船宿として栄えたこの地区は、若狭湾の穏やかな入り江に抱かれた、歴史と情緒が漂う集落だ。近年、歴史あるこの漁師町に点在する宿に新たな動きが見られる。家族的なもてなしや日本海の新鮮な魚料理という古き良き伝統はそのままに、空間を劇的にモダンへとリノベーションした宿が何軒か誕生しているのだ。そのシンボルともいえるのが、2023年8月にお目見えした「若狭佳日(わかさかじつ)」である。


若狭佳日 若狭佳日

遠浅の海が続く阿納地区の海岸。波は絶えず穏やかで、沖合には「若狭ふぐ」の養殖生け簀が並び、波辺近くは恰好の海水浴場となる。



この宿の大きな特徴は、一続きの建物ではなく「本館」「離れ」「別館」という3つの棟に客室が設けられている点にある。かねてから宿泊業が盛んだったこの地では、客層に合わせて宴会場や大浴場を別棟として増築してきた歴史があり、「若狭佳日」でもその入り組んだ構造をあえて活かしたリノベーションが行われ、現在の姿となった。海が目の前に広がるダイニングでチェックインを済ませた後に各棟へ向かう体験は、集落の日常に溶け込むような独特の風情を感じさせる。

若狭佳日 若狭佳日

港町の路地に掲げられた暖簾。老舗旅館を改装して誕生した宿ならではの、歴史と風格が漂う。


3つの棟に13の客室。それぞれの部屋ならではのたたずまいを楽しむ


全13室の客室は、棟ごとに異なる意匠が凝らされている。なかでも全室スイート仕様の「離れ」が素晴らしい。その最上階、4階に位置する「グランスイート」の床の一部は、掘りごたつのような段差のソファースペースとなっている。実はここ、かつての旅館の「大浴場の浴槽」をそのまま再利用したもの。ソファに身を沈めれば、まるで湯船に浸かっているような気分で、窓の外に広がるリアス海岸の絶景を独り占めできる。穏やかな海面と幾重にも重なる山々を眺めていると、時の流れを忘れてしまうほど。

若狭佳日 若狭佳日

部屋へ一歩足を踏み入れると、外観からは想像もつかないダンなたたずまいに驚かされる。「離れ」最上階の「グランスイート」の床の窪みは、改装前の大浴場の浴槽の名残り。


若狭佳日 若狭佳日

大きな障子窓からは、海と山が一体となった若狭湾の眺望が広がる。以前から使われていた本館の客室は和モダンにリニューアルされた。


外湯専用棟の「内外海(うちとみ)」で味わう、海と一体化する不思議な浮遊感



宿の中で唯一新築されたのが、外湯専用棟の「内外海(うちとみ)」。2階の浴室は、両サイドを壁に囲まれた細長いスクエアな空間。その一番奥だけが海に向かって開かれ、まるで巨大な額縁を通して景色を眺めるような演出がなされている。水面に反射した光が室内に揺らめく様子は幻想的で、何かに優しく包まれながら海と一体化する、不思議な浮遊感に浸ることができる。1階の半露天風呂と男女入れ替え制のため、朝晩で異なる趣を楽しめるのも魅力だ。


若狭佳日 若狭佳日

たゆたうお湯の奥に広がる絶景。浮遊感にも似た不思議な感覚に包まれる。

大振りの「若狭ぐじ」が登場。その豪華さに歓声があがる


食事は、本館の「ダイニング膳」で。国産の上質な木材を贅沢に使った開放感あふれる空間は、一歩外に出ればそのまま浜辺へと繋がっている。潮騒を感じながら、若狭の豊かな海の幸を堪能する時間は、まさに至福のひととき。

春から秋にかけては、若狭ブランドを代表する海産物のひとつである「若狭ぐじ」が登場。しかも500グラム以上という、大振りのぐじを、じっくりと焼き上げた「若狭焼き」は、その豪快さに誰もが驚く一品だ。このほかにも、旬の魚のお造りなど献立は盛りだくさん。かねてから料理にはどの地区にもひけを取らなかった、阿納の宿の伝統がここにも根付いている。

 

「若狭佳日」は、単なるリニューアルではない。阿納という土地が歩んできた歴史をモダンな感覚で読み解き、新しい価値として提案する特別な時間と空間。まさにこの場所でしか味わうことのできない特別な宿といえよう。


若狭佳日 若狭佳日

若狭ブランドの海産物の象徴でもある若狭ぐじは、春から秋にかけてが旬となる。「若狭佳日」の人気メニュー「若狭ぐじの若狭焼き」では500グラムを超す大振りの若狭ぐじがお目見え。


若狭佳日 若狭佳日

「若狭牛」も、福井ならではのブランド食材のひとつ。高温に熱した石に乗せてシンプルに焼き、その滋味を堪能する。




若狭佳日 若狭佳日

土鍋で焚き上げた小浜産のコシヒカリをはじめ、若狭かれい、へしこ、厚揚げなど、福井の食材をふんだんに使った朝食。

 


「魚のプロ」である夫婦が営む、漁家民宿  ──かつみや──


敦賀半島の西側に位置する若狭湾の静かな入り江に面した町、福井県美浜町。この美浜町に2024年4月、スタイリッシュな宿としてリニューアルオープンしたのが「かつみや」だ。

一歩足を踏み入れると、そこにはグレーを基調としたモダンな空間が広がる。モルタル仕上げの壁や床、シンプルながらもデザイン性の高い家具や照明、そして随所に飾られたドライフラワーやアート。これらはすべて、女将・山瀬亜由美さんのセレクト。洗練されたカフェを思わせるインテリアと、窓の外に広がる日本海の景色。この絶妙なコントラストが、訪れる者を非日常の世界へと誘う。


かつみや かつみや

フロント兼ロビーは、カフェの一画のようなスタイリッシュなたたずまい。朝食はここでいただく。

 



空間だけでなく、細部へのこだわりも徹底している。食事を彩る器やカトラリーには、熊川宿の「若州窯」をはじめとする地元作家の作品を採用。ラウンジでは、小浜市「おくら珈琲」のオリジナルブレンドの豆を自ら挽き、香り高い一杯を自由に楽しむことができる。


モダンテイストの部屋に流れる、ゆったりとした時間


部屋は全部で6タイプ。和洋室、洋室トリプル、洋室ツイン、モダン和室などそれぞれ趣が異なり、洋室トリプルや洋室ツインにはシモンズのベッドが入っている。サイクルスタンドを設置し、スポーツタイプの自転車を2台収納できるサイクリスト向けの洋室ツインには、簡単なメンテナンス機材も備わっている。シンプルモダンなトーンで整えられたいずれの部屋も心地よく快適な時間が流れる。


かつみや かつみや

コーナーに位置する洋室ツインは、2方向に窓が設けられ、若狭の海の眺望を存分に味わうことができる。


かつみや かつみや

木のぬくもりを基調にしたモダン和室は、最大6名まで宿泊が可能。間接照明に照らされた畳の表情が美しい。

料理人兼現役の漁師。魚の目利きが手掛ける至極のメニュ-


そして、この宿の主役は料理。女将の実家は敦賀市場の仲買魚問屋であり、三代目の主人は名古屋の料亭などで研鑽を積んだ料理人かつ現役の漁師だ。まさに「魚のプロ」である夫婦が切り盛りする宿だからこそ、提供される海の幸の鮮度と質は折り紙付きである。



アワビ、サザエ、カニ、イカといった旬の素材の持ち味が、主人の確かな腕によって、最大限に引き出され、豪快な「舟盛コース」や、素材本来の旨みを味わう「若狭美食コース」など、器に美しく盛り付けられた一皿一皿が、心身を豊かに満たしてくれる。

 

かつみや かつみや

漁師である主人自らが獲った魚を自身で捌く、「漁家民宿」ならではの新鮮なお造り。


かつみや かつみや

若狭牛と若狭真鯛。若狭を代表するブランド食材を、しゃぶしゃぶで味わう。まさに海の幸と山の幸との出会い。


かつみや かつみや

カフェでいただく朝食は、自家製の発酵ドレッシングで味わうサラダ、若狭がれいのひもの、リンゴ発酵シロップをかけたヨーグルトなど、体に優しいメニュー。


漁師が営む「漁家民宿」は、福井旅の新しいコンテンツ



「かつみや」のように、漁師が宿を営み、自ら海で食材を獲るだけでなく、ときには漁の体験までできる宿は「漁家民宿」と呼ばれる。「農家民宿」の、いわば海バージョンだ。昨今の嶺南エリアでは、「漁家民宿」が何軒かお目見えしている。「かつみや」をはじめとする、こうした新たなスタイルの宿は、これからの旅の大きなコンテンツのひとつになっていくに違いない。


























































Text by Masao Sakurai (OFFICE CLOVER)

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