去る6月30~7月3日の日程で、「ILTMアジアパシフィック2025」が、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズにて開催された。
ILTMはインターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケットの略で、「ILTMアジアパシフィック」はアジア太平洋地域を中心にして、広くアジア地域はもちろん、ヨーロッパ、中東、南米、アフリカから、最高級の旅行のサプライヤーとバイヤーが集まる世界規模の商談会である。
参加したその数、サプライヤー740ブランド、バイヤー740名、メディア70名! 大変な盛況ぶりだった。
日本館の人気が炸裂!
日本も日本政府観光局(JNTO)が本気を出して予算を充てているので、サプライヤーも多少は参画しやすくなった。その結果、「チーム日本」としては、大きなブースを構えることが出来た。
私がかつて見ていた12年前に較べれば、まさに隔世の感がある。
当時は、日本のブースは小さく、訪ねてくるバイヤーはまばらで閑古鳥が鳴いていた。日本からカンヌや上海(当時はシンガポールではない)まで出向いた出展者は、ヒマを持て余していた。
今や、日本ブームは世界のトレンドであり、各日本人出展者の予定は空き時間がないほど埋め尽くされ、押し合いへし合いの状態だった。有り難いことである。
では具体的に、日本館以外のブースも含めて、日本からの出店者から注目株をいくつか紹介したい。
文化財に泊まる稀有な体験
柳川藩主立花邸 御花
これほど由緒のある宿は、日本広しといえどもなかなかない。そもそもその歴史は、400年前の江戸時代、柳川藩主立花家の邸宅にまで遡る。
旅館は広大な日本庭園を含む敷地内にある。
屋敷が建てられたこの場所は、季節の花々で彩られるようになったことから、「御花畠(おはなばたけ)」の愛称で親しまれた。それが現在の屋号「御花」の由来だ。
明治期には伯爵家となり、現在は料亭旅館として、立花家の末裔18代目が運営をしている。
元はお屋敷であった旅館も、広大な庭園である松濤園も、ともに文化財であるから、ちょっと想像を絶する凄さだ。自分が高貴な出でもなければ、ちょっと気後れするような感じなのだが、そこはしっかりと歓待してくれそうだから安心だ。
客室はもちろん、すっきりとした和モダンに全面改装されている。
こんな広間には滅多にお目にかかれない。
料亭を始めたのは1950年のことだというから、地元の旬のものを使った会席料理や、柳川名物の「うなぎのせいろ蒸し」など、食事も楽しみの一つであるところが嬉しい。
「御花」を九州北部の拠点として、旅を企画したくなる。
柳川藩主立花邸 御花
住所: 福岡県柳川市新外町1
TEL 0120-336-092(代表)
広島の新デスティネーションは
SIMoSE ART GARDEN VILLA
いま広島県で注目すべき施設といえば、ここが筆頭の注目株だ。
色とりどりの美しい美術館。
宮島の近く、瀬戸内の海に面した一画に、下瀬美術館を中心にした広大な敷地の中に、エミール・ガレの庭やカフェやヴィラが点在する。
そして冒頭の写真、これが水盤の中に浮かぶ美術館なのだが、その脇に「水辺のヴィラ」があり、少し離れた木立の中に「森のヴィラ」がある。いずれも建築家・坂茂氏が手掛けた別荘のような家である。
アート・オーベルジュであるから、食事は地元の幸を活かしたフランス料理を供する。
「水辺のヴィラ」は美術館の隣に位置する。
海風に吹かれながら、ヴィラのプライベートな空間で憩うもよし、アートを散策するもよし、ちょっと新機軸の宿泊施設として、とても楽しめそうだ。
SIMoSE ART GARDEN VILLA
住所:広島県大竹市晴海2丁目10-50
山と森に抱かれたアートの館
箱根迎賓館 麟鳳亀龍
当ホテルは独立ブースでの出展であるが、ここもアートホテルと形容しても良いだろう。箱根・宮ノ下、山の真っ只中に隔絶されてあるのが「箱根迎賓館 麟鳳亀龍(りんぽうきりゅう)」である。
甲冑もあるが、アート作品はいたるところに配置されている。
その第一の特徴は、「麒麟」「鳳凰」「亀」「龍」という吉祥の象徴を、様々な作家が創ったアート作品で、各客室が彩られている点だ。一部屋に一作家という凝り様である。そのアートは、彫刻、左官、書、染色、唐紙など多岐にわたる。
もちろん各客室には、「箱根七湯」の一つとされる「堂ヶ島温泉」の湯が、加水処理されずに掛け流されている。
正面玄関から一歩先はまるで別世界。
食事ももちろん抜かりがない。各部屋での夕朝食はバトラーが運んでサービスするが、
ほかにも露天風呂や岩盤浴を備えたトリートメントルームでは、スパのリラクゼーションを受けることが可能だ。
たった9つの客室には贅を尽くした体験が待っている。
エスパシオ 箱根迎賓館 麟鳳亀龍
住所:神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下72
TE+:0460-87-9200
箱根温泉に満を持して到来する
HOTEL THE MITSUI HAKONE
箱根でもう一軒紹介しておきたいのが、三井不動産グループの最高級ラグジュアリーホテルHOTEL THE MITSUI KYOTO(2020年11月開業)に続く、第2のホテルHOTEL THE MITSUI HAKONEである。
箱根の山の中に広大な敷地を誇る。
三井不動産グループが運営するラグジュアリーホテルでは、4施設が3ミシュランキーを獲得している。HOTEL THE MITSUI KYOTO、ブルガリ ホテル 東京、フォーシーズンズホテル東京大手町、AMANEMUの4つだ。
いずれも存在感を放っているが、京都におけるHOTEL THE MITSUI KYOTOの評判はすでに定評がある。その第2弾が箱根というわけである。
場所は「富士箱根伊豆国立公園」内に位置し、箱根の山々の大自然に囲まれた約4万坪(東京ドーム3個分)の広大な敷地で、その一部や周辺はかつて三井家の別荘が群をなして存在した三井家ゆかりの土地だ。
一切の妥協をすることなく贅を凝らして建設された。
京都が日本文化との接触ならば、箱根は雄大な自然に抱かれる体験となるだろう。
客室は126室で、インテリアデザインは世界的デザイン事務所「Yabu Pushelberg」が、レストランのデザインは「A.N.D.(AOYAMA NOMURA DESIGN)」などが手掛けた。もちろん、豊富な天然温泉が全客室にひかれていることも魅力の一つだ。
2026年の開業予定である。
HOTEL THE MITSUI HAKONE
住所:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷字箕作沢450番1
水と匠
最後に紹介するのは富山県西部地区に拠点を置いた、観光を軸に地 域振興に取り組む観光地域づくり法人(地域連携DMO・地域 DMC)、「水と匠」である。
農作業の体験プラン。収穫した作物はレストランで食べることができる。
有名な三郎丸蒸留所でのブレンド体験。
株式会社水と匠(DMC)
文:石橋俊澄(元「クレア」「クレア・トラベラー」編集長)
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