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2018.8.31

日本のプレミアムに取り組む企業 
株式会社 サンモトヤマ代表取締役会長 茂登山貴一郎インタビュー

1955年に有楽町で創業。以来、グッチ、エルメス、エトロなど、世界中から一流のブランドを日本に紹介してきた株式会社 サンモトヤマ。インポートファッションのセレクトショップの先駆けとして、多くの美しいもの、高感度なライフスタイルを提案してきました。今回はその二代目である同社代表取締役会長 茂登山貴一郎さんにお話を伺いました。

 

世界のプレミアムを日本へ伝えた実績。そして次は……

茂登山貴一郎さんが誕生したのは、1959年。サンモトヤマが創業して4年ほど経ち、本店を有楽町から日比谷・三信ビルに移転、銀座のみゆき通りに支店を出した頃のことです。1964年には本店を銀座・並木通りへと再度、移転。グッチ、エルメス、ロエベ、パティック・フィリップ、ピアジェなどが並び、移転開業日には、政財界人、作家、女優たちが数多く来店したといいます。

 

その少し前、茂登山さんは父・茂登山長市郎さんの命で、リセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京に入学します。

「父に、『21世紀の日本では、外国語が必須になる。若くして海外の文化を学べ』と言われまして。当時、私は8歳でした」。夏休みの猛特訓で片言のフランス語を覚えたら、9月の新学期からはリセに。それ以後、大学・大学院でのフランス留学まで含めて、ずっとフランス式の教育を受けて育ったそうです。「二人の姉も留学経験者です。父は子供たちに言葉のハンデを背負わせず、外国人と対等につきあえるよう育てたかったのでしょう。自分ができなかったことを、子どもにやらせてあげたいという素朴な気持ちもあったのだと思います」。

 

生まれた時から、一流品が周囲にある環境。留学と赴任で合計10年近くに及ぶフランス滞在経験。しかしヒトが思うほどには、ヨーロッパの一流品への過度な愛着心はなかったと茂登山さんは言います。

 

(写真左上)家具/‟CAJA(カヤ)” プリマ シリーズ:しなやかで芸術的な曲線美と安定感のある座り心地が特徴の“日本人のためのオリジナル家具”
(写真右上)マフラー/緙室 sen:世界中から厳選した上質の皮革素材のみを使用し、熟練を極めた職人による仕立て。モダンなデザインは、男女問わずギフトにもお薦め
(写真左下)ランプ”SEN”/照明作家・谷 俊幸:静岡県の伝統工芸 駿河竹千筋細工の技法を用いたランプ
(写真右下)サンモトヤマ アート・ライブラリー:コンセプトは“個人の生活を楽しみながら時間を謳歌する”。品質とセンスの良いアートの美を紹介するサロン

「いいものが自然に身の回りにあったことは確かです。ただそれを変に“気取っている”と捉えられたくなくて、あまり言葉にしたことはありません。また経験が定着し、趣味嗜好がはっきりしてくると、むしろ日本を含めたアジアに強く惹かれるようになりました」。

 

2001年、21世紀に入ったことを機に、サンモトヤマは日本初登場のアジア発信ブランドなども取りそろえるように。

 

その後、年月を経て、サンモトヤマならではの審美眼にかなった日本のよいものも、積極的に発信し始めることとなります。

 

「アジアの手仕事に続き、日本の伝統工芸文化を世界に対して紹介したいという思いは、父も強く持っていました。父が初めてエルメスとの取引を申し込んだ際に、『なぜ、我々が輸出しなければならないんだ? お客は店に来るんだから、必要はない』と言われたそうです。生意気なようですが、自分もそう言えるようにサンモトヤマを高めていきたいですね」。

 

異文化と異文化、素材と技術を“和える”

個人も自分の欲しい情報をだけを検索して編集する、現代。茂登山さんは、“従来の常識が通用しない、難しい時代”と評します。

 

「モノの価値は、つくる側だけではなく、半分は買った方が自分なりに解釈してその人なりの価値をつくりあげていく時代。しかしだからこそ、いい人、いいモノが集まるチャンスも多々あると感じています。今後はデザイナーではなく、プロデューサーが必要。従来からインフルエンサーが集まる銀座という地の利と弊社ならではの伝統を活かして、異文化と異文化、素材と技術を“和えて”いくことで生まれる新しい価値の創造の地となることが、次なるサンモトヤマの目指すところです」。

 

昨年2017年11月には、銀座・並木通りの東京銀座朝日ビルディングの完成に伴い、新・サンモトヤマ銀座本店を移転オープン。2018年6月からは、茂登山貴一郎さんが社長から代表取締役会長へ、代表取締役社長には卜部正壽さんが就任し、新しいチーム編成での稼働がスタートしました。

 

 

※この記事に記載されている内容、情報は公開当時のものとなります。

 

どんな時もファッション業界における「先駆け」「草分け」、そして「第一人者」と呼ばれてきたサンモトヤマ。これからも新しいライフスタイルを創造する刺激的な提案を、してくださることでしょう。

<プロフィール>

茂登山 貴一郎(もとやま きいちろう)

1959(昭和34)年、東京生まれ。1979年、リセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京を卒業。在学中にバカロレア(高校卒業国家試験卒業)を取得。渡仏し、EDC(幹部養成学院)で学んだ後、株式会社  インターナショナル サンモトヤマ入社。1985年、株式会社 サンモトヤマに入社し、取締役に就任。2007年8月、同社代表取締役社長に就任。2018年より、代表取締役会長。

取材/島村美緒(プレミアムジャパン)、文/木原美芽、写真/太田隆生

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