「ブランドではなく、本当においしい酒を選ぶ」。
そんな理念のもと2012年にスタートしたSAKE COMPETITIONは、銘柄や蔵元名を伏せたブラインドテイスティングによって酒質のみを評価する日本最大級の日本酒コンペティションが2026年も行われた。出品対象は実際に購入できる市販酒のみ。純粋に“飲んでおいしい酒”を選ぶ場として、酒販店や飲食店、そして日本酒ファンから高い信頼を集めている。
今年度は世界中の367蔵から、清酒1,139点、泡盛51点、合計1,190点が出品された。審査部門は「純米酒部門」「純米吟醸部門」「純米大吟醸部門」「SUPER PREMIUM部門」「モダンナチュラル部門」の5部門に加え、2026年秋に予定される首里城正殿復興を記念した特別枠として「泡盛部門」を新設。日本酒のみならず、日本の伝統的な酒文化全体に光を当てる大会へと進化を続けている。
今年の結果を象徴する存在となったのは、奈良県・今西酒造の「みむろ杉」だ。
純米酒部門では「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita(ディオアビータ)」が第1位を獲得。さらに純米吟醸部門でも「みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 山田錦」が第1位に輝き、二冠を達成。加えて純米酒部門6位、純米吟醸部門3位にもランクインし、その安定した酒質の高さを印象づけた。
その功績が評価され、今西酒造は「TAKANAWA GATEWAY CITY グランドオープン記念 最優秀蔵元賞」を受賞。まさに2026年大会を代表する蔵となった。
では順位を紹介しよう。
純米酒部門
先にも述べたように、1位は1660年創業、奈良県桜井市の今西酒造が醸す「みむろ杉 ろまんシリーズ Dio Abita(ディオアビータ)」。
古来より酒の神様として信仰される日本最古の神社・大神神社のお膝元で酒造りに取り組む今西酒造。十四代目の今西将之氏によれば、「軽く美味しい酒造り」を追求しており、本銘柄はその原点となる酒だという。
昨年は大神神社の参道に新たな酒蔵を開業し、多忙な一年だったが、蔵人たちと力を合わせて結果を残せたことに安堵していると語った。果実のようなジューシーさとふくよかな甘み、ラムネを思わせる吟醸香が特徴。
2位 ささまさむね 特別純米/笹正宗酒造株式会社(福島県)
3位 あさまやま 夏純/浅間酒造株式会社(群馬県)
4位 楽器正宗 純醸/合名会社大木代吉本店(福島県)
5位 松の司 生酛純米酒/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
6位 みむろ杉 ろまんシリーズ 特別純米辛口 露葉風/今西酒造株式会社(奈良県)
7位 清嘹 舞風 純米酒/株式会社町田酒造店(群馬県)
8位 あたごのまつ 特別純米/株式会社新澤醸造店(宮城県)
9位 雨後の月 純米酒 呉未希米八反錦/相原酒造株式会社(広島県)
10位 陣屋 特別純米/有賀醸造合資会社(福島県)
純米吟醸部門
1位は純米酒部門に続き、今西酒造(奈良県)の「みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 山田錦」が受賞。二冠達成は2014年以来初となる。
今西氏は、先代である父の逝去後、28歳で蔵を継承。当時は酒蔵も老朽化し、将来への不安を抱えていたという。そんな中、2014年に宮泉銘醸(福島県会津若松市)がSAKE COMPETITIONで二冠を達成したことを知り、「いつか自分たちも」と蔵人たちと努力を重ねてきた。その夢が実現したことに深い感慨を示した。
2位 勝山 KIRAKIRA/仙台伊澤家 勝山酒造株式会社(宮城県)
3位 三諸杉 純米吟醸/今西酒造株式会社(奈良県)
4位 楽器正宗 愛山中取り/合名会社大木代吉本店(福島県)
5位 天賦 純米吟醸/西酒造株式会社(鹿児島県)
6位 会津娘 純米吟醸「穣」松原8/株式会社髙橋庄作酒造店(福島県)
7位 楽器正宗 雄町中取り/合名会社大木代吉本店(福島県)
8位 紀土 純米吟醸/平和酒造株式会社(和歌山県)
9位 松の司 純米吟醸 楽/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
10位 天美 純米吟醸 蛍天/長州酒造株式会社(山口県)
純米大吟醸部門
1位は広島県広島市の相原酒造が醸す「雨後の月 純米大吟醸」。香りの華やかさだけではなく、透明感とバランスを兼ね備えた完成度の高い酒質が評価された結果といえる。代表の相原章吾氏は、うちの技術の礎のようなクラシックな酒だと説明し、今回の受賞で全国の人に知ってもらういい機会になると受賞を喜んだ。
また、杜氏の相原章吾氏は40歳以下の若手醸造責任者を対象とする「ダイナースクラブ若手奨励賞」も受賞。次世代を担う造り手として大きな注目を集めている。
2位 山和 純米大吟醸/株式会社山和酒造店(宮城県)
3位 太平山 純米大吟醸 天巧/小玉醸造株式会社(秋田県)
4位 愛友 純米大吟醸 備前雄町/愛友酒造株式会社(茨城県)
5位 后 50 Black/吉乃友酒造有限会社(富山県)
6位 紅花屋重兵衛 雪女神/古澤酒造株式会社(山形県)
7位 東洋美人 壱番纏/株式会社澄川酒造場(山口県)
8位 松の司 純米大吟醸 黒/松瀬酒造株式会社(滋賀県)
9位 天鷹 有機純米大吟醸 槽搾り原酒/天鷹酒造株式会社(栃木県)
10位 来福 純米大吟醸 愛山/来福酒造株式会社(茨城県)
SUPER PREMIUM部門
特定名称酒に限らず、720mLで小売価格10,000円(税別)以上、または1,800mLで15,000円(税別)以上の清酒を対象とする部門。
1位 而今 特等雄町/木屋正酒造株式会社(三重県)
2位 東洋美人 志荘/株式会社澄川酒造場(山口県)
3位 くどき上手 命 斗瓶囲大吟醸/亀の井酒造株式会社(山形県)
モダンナチュラル部門
純米酒かつ「生酛・山廃・菩提酛」の清酒を対象とし、精米歩合は問わない。2025年7月1日〜2026年6月30日に醸造された市販清酒が出品対象となる。
1位 たちばなや 純米吟醸/合名会社川敬商店(宮城県)
2位 萩原 山廃純米/萩原酒造株式会社(徳島県)
3位 試験醸造2025 Type-Kimoto/城陽酒造株式会社(京都府)
4位 神開 純米原酒 水酛/藤本酒造株式会社(滋賀県)
5位 久比岐 和希水 生酛/頚城酒造株式会社(新潟県)
特別賞
ダイナースクラブ若手奨励賞
次世代の造り手を応援するために創設された賞。各部門GOLD受賞蔵の40歳以下の若手醸造責任者・杜氏から選出される。
受賞酒
「雨後の月 純米大吟醸」
相原酒造株式会社(広島県)
杜氏:相原章吾氏
JAL空飛ぶSAKE賞
国内でも流通量が限られ、海外の人々にも知ってほしい酒を選出。
受賞酒
「たちばなや 純米吟醸」
合名会社川敬商店(宮城県)
TAKANAWA GATEWAY CITY グランドオープン記念 最優秀蔵元賞
今西酒造株式会社(奈良県)
代表銘柄:みむろ杉
実行委員長賞
SAKE COMPETITION実行委員長・長谷川浩一氏が審査中に最も高く評価した1本に贈られる賞。
受賞酒
「吉田蔵u 百万石乃白」
株式会社吉田酒造店(石川県)
泡盛部門
首里城正殿の再建を記念して新設された特別部門。一般酒、古酒、未来の泡盛(泡盛を主原料としたスピリッツ・リキュールなど)を対象とする。
GOLD ZANPA TORAKICHI 2022/有限会社比嘉酒造(沖縄県)
一般酒部門
GOLD The IZENA 44度 新酒/合資会社 伊是名酒造所(沖縄県)
GOLD 南都神泉30度 新酒/上原酒造株式会社(沖縄県)
GOLD 御酒 -うさき- 30度 新酒/瑞泉酒造株式会社(沖縄県)
未来の泡盛部門
GOLD 残波青切りシークヮーサー/有限会社比嘉酒造(沖縄県)
GOLD 請福パッションフルーツリキュール/請福酒造有限会社(沖縄県)
今年の結果から見えてくるのは、派手な個性だけではなく、食事とともに楽しめるバランス感覚を備えた酒が高く評価される傾向だ。
上位には「みむろ杉」「雨後の月」「松の司」「楽器正宗」など、近年の日本酒シーンを牽引する実力蔵が並ぶ一方、地方の中小規模蔵の健闘も目立った。
受賞酒は売り切れが続出する傾向があるため、手に取る機会があれば、ぜひ試して欲しい。
Text by Yuko Taniguchi
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