松花堂庭園初夏松花堂庭園初夏

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まだ見ぬ京都のフォトスポット(前編)

2022.5.26

京都の美を訪ねる 竹林や苔庭、そして茶室

Photo by ©︎shokado garden art museum

京都には何度も足を運んだと言う人も、まだ知らない美しい風景がたくさんある。そんな知る人ぞ知る美景スポットを前後編で4箇所ご紹介する。京都市内から少し足を伸ばせば、観光客はまだ少ない中、歴史に育まれた日本の美意識をゆっくりと堪能できるはずだ。私たちの感性を刺激する、忘れられない風景がとの出合いを美しい写真に収めて、心に、記憶に、長く残る旅に出よう。前編では美しい日本庭園と竹林をご紹介する。

 

 

茶室・苔庭・竹林・椿‥‥、フォトジェニックな日本の美
松花堂庭園・美術館(京都府八幡市)


松花堂庭園 松花堂庭園

青々とした木々が美しい回遊式庭園。


京都市内の賑わいから少し離れた八幡市内に、市立松花堂庭園・美術館はある。国宝にも指定される「石清水八幡宮」の近くと言えばわかりやすいだろうか。松花堂弁当の由来となった、松花堂昭乗(しょうかどう しょうじょう)ゆかりの庭園である。約2万㎡の庭園は、季節を感じながらゆっくりと散策ができる。緑あふれる庭園の入り口には歌人吉井勇の歌碑が見えてくる。

 

「昭乗といへる隠者の住みし盧(いお) 近くにあるをうれしみて寝る」
歌集『残夢』より

 

八幡に暮らしていたという吉井が、松花堂昭乗を偲んで詠んだ歌である。昭乗ゆかりのこの地は、現代文学などにもインスピレーションを与え、新たな日本の文化へと蓄積されていることを感じさせる。


松花堂庭園 椿 松花堂庭園 椿

庭園は一面美しい苔が覆い、地下水を利用した池には鯉が見える。 庭園は一面美しい苔が覆い、地下水を利用した池には鯉が見える。

庭園は一面美しい苔が覆い、地下水を利用した池には鯉が見える。



庭園の中へ歩みを進めていくと、美しい竹林と青々とした苔が一面に広がり、日本の美意識である侘び寂びの世界が存在する。庭園内には約40種類の竹や梅、桜、椿、もみじなどがあり、四季によって異なる表情へと変化する回遊式の庭園である。敷地内には、大名茶人と名高い小堀遠州が、昭乗のために造った茶室「閑雲軒」を再現した小間がある茶室「松隠(しょういん)」や、昭乗が隠居後の住まいとした草庵「松花堂」(京都府指定文化財)などがある。


九畳の広間や四畳台目の小間「閑雲軒」がある、茶室「松隠」。お茶会などで利用することもできる 九畳の広間や四畳台目の小間「閑雲軒」がある、茶室「松隠」。お茶会などで利用することもできる

九畳の広間や四畳台目の小間「閑雲軒」がある、茶室「松隠」。お茶会などで利用することもできる


泉坊書院 泉坊書院

「泉坊」は男山にあった寺坊の一つ。庭園にある「泉坊書院」(京都府登録文化財)は、現在工事中のために見学はできない。


松花堂 松花堂

昭乗が隠居後に暮らした建物をここに移築した草庵「松花堂」。2022年5月31日まで特別公開が実施されている。

Photo by ©︎shokado garden art museum

 


他に茶室が三つあり、その一つ「梅隠」の前には「水琴窟」もある。日本人が長く大切に守り続ける感性や余韻がここには静かに守られている。


吉兆 吉兆


庭園の横には「京都𠮷兆」がある。写真は松花堂弁当「雅」8,300円。今の松花堂弁当のはじまりである、松花堂ゆかりの地で食べるのは格別。 庭園の横には「京都𠮷兆」がある。写真は松花堂弁当「雅」8,300円。今の松花堂弁当のはじまりである、松花堂ゆかりの地で食べるのは格別。

庭園の横には「京都𠮷兆」がある。写真は松花堂弁当「雅」8,300円。今の松花堂弁当のはじまりである、松花堂ゆかりの地で食べるのは格別。


美術館にレストランが併設しているのはめずらしいことではないが、松花堂美術館の特筆すべきことは、「京都𠮷兆 松花堂店」があること。𠮷兆創業者である湯木貞一は、茶会のために松花堂を訪れた際、昭乗が小物入れとして使っていた仕切りのある塗り箱を見たことから松花堂弁当を考案したと言われている。日本人の感性の原点がなんとここには多くあるのだろうか。そんなことを思いながら松花堂弁当をいただく。まさに至福のひとときである。

 

松花堂庭園・美術館

京都府八幡市八幡女郎花43−1
営業時間:9時〜17時(ただし入園は16時30分まで)
定休日:月曜(祝日の場合は翌平日)及び12月27日〜1月4日

 

京都𠮷兆 松花堂店

京都府八幡市八幡女郎花43−1
営業時間:昼 11:00 – 15:00 *LOは料理に応じて
夜 17:00 – 21:30 (LO 19:00) *要予約
定休日:月曜日 [祝日の場合は翌平日に振替]
年末年始 [12月26日~1月6日]

当面の間、完全予約制にて来店希望日の2日前までご予約を受付けており、ご予約のない日は臨時休業となる。

 

 


青空と青々した竹林、空と緑の対比が美しい一枚になる
竹の径(京都府向日市)


「全国遊歩百選」「歩きたくなるみち500選」に認定されている竹の径。 「全国遊歩百選」「歩きたくなるみち500選」に認定されている竹の径。

「全国遊歩百選」「歩きたくなるみち500選」に認定されている竹の径。



キラキラと輝く川面をイメージした「深田垣」。 キラキラと輝く川面をイメージした「深田垣」。

キラキラと輝く川面をイメージした「深田垣」。


寺戸大塚古墳の前にあり、前方後円墳をイメージした「古墳垣」。 Photo by ©︎ City of MUKO 寺戸大塚古墳の前にあり、前方後円墳をイメージした「古墳垣」。 Photo by ©︎ City of MUKO

寺戸大塚古墳の前にあり、前方後円墳をイメージした「古墳垣」。

Photo by ©︎ City of MUKO


京都の竹林道と言うと嵐山の「竹林の小径」を思い浮かべる人は多いだろうが、実は知る人ぞ知る「竹の径」が京都にはある。京都府向日市は筍の生産地として知られる向日丘陵があり、美しい竹のトンネル「竹の径」が続く。約1.8㎞に及ぶ竹林道は、「癒しの散策路」として地元の人々に親しまれている。まだ観光客にはあまり知られていない、ここは絶好の穴場フォトスポットである。

 

この「竹の径」には8種類の竹垣があり、これも見どころの一つである。それぞれに意味があり、散策時のアクセントにもなっている。高く伸びた竹の葉からこぼれ落ちる日差しと、鳥のさえずりと竹の音、
全てが心地よく、いつしか心が無になっていくのがわかる。ぜひ歩きやすい靴で出かけて欲しい。

 

 


竹の径

住所:向日市寺戸町芝山~物集女町長野、中海道地内

 

 

 

 

photography by Natsuko Okada

 

 


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