カルテルと吉岡徳仁。カルテルと吉岡徳仁。

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家具の革新に挑む Kartell×吉岡徳仁

2020.1.6

プラスチック素材の無限の可能性を予感。
吉岡徳仁の「SMATRIK」

Kartell(カルテル)はマリオ・ベリーニやフィリップ・スタルクなどの世界的な著名デザイナーと協働し、独自に開発したインジェクション成形技術を使った色鮮やかでユニークな家具で唯一無二の存在とされるイタリアのインテリアブランド。そしてカルテルが協働するトップデザイナーの中で、現在、最も注目されている一人が吉岡徳仁だ。

 

2019年のミラノ国際家具見本市(ミラノサローネ)でも、吉岡徳仁デザインの「SMATRIK(スマトリック)」が存在感を放っていた。創業70周年を迎えたカルテルの経営者一族のひとりで現コマーシャルディレクターのフェデリコ・ルーティ、そして10年以上に渡ってカルテルとのコラボレーションを行う吉岡徳仁に話を聞いた。

吉岡徳仁デザインのSMATRIKが置かれた、2019年ミラノサローネのカルテルスタンド。 吉岡徳仁デザインのSMATRIKが置かれた、2019年ミラノサローネのカルテルスタンド。

吉岡徳仁デザインのSMATRIKが置かれた、2019年ミラノサローネのカルテルスタンド。
Photography by 🄫Kartell

フェデリコ・ルーティ(以下ルーティ):70周年を迎えたカルテルはミラノサローネで3つのサプライズを発表しました。1つ目は、カルテルの代名詞である樹脂製ではなく、3次元成形合板を採用したスタルクデザインの「Smart Wood collection(スマートウッドコレクション)」。2つ目はスタルクとAI(人工知能)が考案した世界で初めての椅子「A.I」。そして3つ目が、3次元構造の複雑さが注目された吉岡徳仁さんの「SMATRIK」です。

座面は透明、白、黒、プラムの4色。脚はカラー塗装とクロームメッキがある。吉岡徳仁デザインのチェア『SMATRIK』63,580円(税込) 座面は透明、白、黒、プラムの4色。脚はカラー塗装とクロームメッキがある。吉岡徳仁デザインのチェア『SMATRIK』63,580円(税込)

座面は透明、白、黒、プラムの4色。脚はカラー塗装とクロームメッキがある。吉岡徳仁デザインのチェア「SMATRIK」63,580円(税込)
Photography by 🄫Kartell

吉岡徳仁(以下吉岡):SMATRIKは、背面から座面まで2層のメッシュ状の樹脂をいわゆる型抜きすることによって生み出されたチェアです。これは3D射出成型という新たな成型方法によって、座面のシェルが二重の網目になった中空構造です。細い曲線の型から樹脂をはみ出すことなく抜き出す技術が求められ、また座面のカーブ部分は座り心地を生み出すように、網目が一様ではなく複雑な型になっているため、非常に高い技術が求められます。これはカルテルでなければ実現しなかったと思います。

 

ルーティ:プラスチック素材は自由に成型できて発色もよい。価格的にも多くの方に購入していただけるように製造できます。そして最近は土にかえるビオプラスチックも開発されて日々進化をしている素材です。当社はミラノ工科大学やイタリアのプラスチック製造会社などと共に日々研究・開発を進めていて、莫大な投資も行っています。テクノロジーの開発をしっかり行い、世界の著名なデザイナーが創り出す最高のデザインを実現する、それがカルテルの真髄。SMATRIKは特に難しい技術が求められましたが、何度も試作を重ね、開発に3年掛かけて今年発売に至りました。


2020年開催の東京オリンピックで聖火リレートーチのデザインを手がけるなど、現在最も多忙を極めるデザイナーである吉岡徳仁。2019年は彼にとっても特に多忙を極める一年だったと振り返った。  2020年開催の東京オリンピックで聖火リレートーチのデザインを手がけるなど、現在最も多忙を極めるデザイナーである吉岡徳仁。2019年は彼にとっても特に多忙を極める一年だったと振り返った。 

2020年開催の東京オリンピックで聖火リレートーチのデザインを手がけるなど、現在最も注目されているデザイナーの吉岡徳仁。2019年は彼にとっても特に多忙を極めた一年だったと振り返った。

カルテルでは共に進化できるデザイナーとコラボレーションを組んでいるとルーティは語る。吉岡とは2008年の「Ami Ami(アミアミ)」からコラボレーションをスタートし、2010年には、カルテルCEOクラウディオ・ルーティのディレクションのもと吉岡徳仁のスペシャルコラボレーションとして、透明な「 Invisibles(インビジブル)」シリーズを発表。2013年にはプリズム効果によって光が屈折し、まるでクリスタルガラスのような輝きを放つ「SPARKLE(スパークル)」を、2015年には「PLANET(プラネット)」を発表している。

「編む」からその名がついたAmi Amiチェア。縦糸と横糸によってできる織物のような視覚効果をもたらしている。 「編む」からその名がついたAmi Amiチェア。縦糸と横糸によってできる織物のような視覚効果をもたらしている。

「編む」からその名がついたAmi Amiチェア。縦糸と横糸によってできる織物のような視覚効果をもたらしている。
Photography by 🄫Kartell

吉岡:カルテルとのコラボレーションは、早いものでもう10年以上になります。SMATRIKは今までにない、プラスチック製家具の歴史に残るようなデザインにしたかったんです。

プラスチック素材はどんな家具や空間にも合うし、その意外性が新たな生活空間を創出するとフェデリコ・ルーティは語る。 プラスチック素材はどんな家具や空間にも合うし、その意外性が新たな生活空間を創出するとフェデリコ・ルーティは語る。

プラスチック素材はどんな家具や空間にも合うし、その意外性が新たな生活空間を創出するとフェデリコ・ルーティは語る。


ルーティ:吉岡さんのデザインは非常にエレガントで品があり、10年経っても決して色褪せることなく、常に斬新で我々に刺激を与えてくれます。TOKUJINスタイルはまさに世界が認める唯一無二の作品だと思っています。とはいえ、彼のデザインはマニアックで驚くほど細かく、技術者泣かせです(笑)。しかしそのデザインが技術者を確実に育てていることも間違いない事実です。

 

吉岡:カルテルはいつでもサプライズ、つまりは新しい取組みを歓迎してくれます。このチームがあるからこそSMATRIKという、新たな構造体の挑戦が実現できたと思っています。共に進化し、そして挑戦ができるチーム精神がカルテルにはあります。

 

ルーティ:SMATRIKは構造そのものをデザインするという、吉岡徳仁らしい革新的なチェアです。これを完成できたことは我々の自信となり、また樹脂の可能性を確実に拡げたと思っています。そしてSMATRIKは後世に影響力を与えるプロダクトの1つとして間違いなく名を残していくと考えています。

 

吉岡:今の時代、3Dプリンターを使えば何でも作れてしまうのかもしれません。しかしそれでは創造性がなく、知恵もない。どうやったらこれが実現できるだろうか、それを考えることが好きですし、それこそがデザインをする楽しみです。


 

(敬称略)

吉岡徳仁 Tokujin Yoshioka
2000年吉岡徳仁デザイン事務所を設立。 デザインからアート、建築まで、幅広い領域において、実験的で革新的なクリエーションは世界で高く評価され、その作品はデザインの領域を超え、アートとしても世界で高く評価されている。ニューヨーク近代美術館、オルセー美術館、フランス国立美術館等の世界の主要美術館で永久所蔵されている作品も多数。Elle Deco International Design Awards (EDIDA) 2009 Designer of the Year など、世界のデザイン賞を多数受賞。アメリカNewsweek誌による「世界が尊敬する日本人100人」にも選出されている。
https://www.tokujin.com/

 

フェデリコ・ルーティ Federico Luti
1980年 イタリア・ミラノ生まれ。ボッコーニ大学を卒業後、アメリカ系大手投資銀行 BEAR STEARNSに勤務。2005年に父が経営するKartell社に入社。20012年イタリア国内エリアマネージャーに就き、売上げを25%以上アップさせ、2015年からコマーシャル・ディレクターを務めている。姉のロレンツァ・ルーティ(マーケティング・ディレクターズ)と共に、イタリア・デザイン業界の次世代を担う人として注目されている。

Kartell TOKYO
東京都港区南青山3-15-7 Perch 南青山1F
営業時間 11:00~19:00
休館日 水曜日(祝日の場合は木曜日)/夏期/年末年始
https://kartell.co.jp/

Photography by Yoshiaki Tsutsui

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