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京都通信

2025.5.30

京都で味わう夏の彩り──新緑や季節の花が美しい寺社5選

初夏から夏にかけて、青々とした緑と季節の草花に彩られる京都のまち。木々の間から苔むす庭に差し込むやわらかな光、梅雨に濡れた紫陽花、水辺を涼しげに彩る蓮や睡蓮など、趣のある表情が訪れる人の心を癒してくれます。




今回ご紹介するのは、そんな四季折々の京の風情を存分に味わえる5つのお寺と神社。

 

圓光寺の「青もみじ」
地蔵院の「青竹」
岩船寺の「紫陽花」
大原野神社の「睡蓮」
法金剛院の「蓮」

 

四季の移ろいを感じながら、目にも心にも涼やかなひとときを過ごせる、京都の名所をご案内します。



◆青もみじが彩る静寂の庭園「圓光寺」




市内中心部から少し離れた洛北エリア・一乗寺にある圓光寺は、徳川家康が学問所として開いた歴史を持つ寺院。




紅葉シーズンは混雑必至のスポットですが、今の時季は観光客も少なめ。

色鮮やかな青もみじを眺めながら、静かで心安らぐ時間が過ごせます。




とくに美しいのは、青もみじと苔が緑のグラデーションを描く「十牛之庭」。
柱や鴨居を額縁に見立てて眺める“額縁庭園”としても知られています。




本堂から眺める「十牛之庭」 本堂から眺める「十牛之庭」

本堂から眺める「十牛之庭」。一枚の風景画のような美しさに、思わず息を呑む。




この十牛之庭は池泉回遊式の庭園で、庭に出て散策することもできます。
静かな境内にかすかに響く水琴窟の澄んだ音色や、苔の絨毯の上にちょこんと佇むお地蔵さまが心を和ませてくれます。




圓光院の愛らしいお地蔵さま 圓光院の愛らしいお地蔵さま

にっこり微笑む愛らしい姿に、思わずこちらも笑顔になってしまう。




庭園の奥に広がるのは、江戸時代の絵師・円山応挙が作品のモチーフにした竹林。
爽やかな風が吹き抜け、さわさわと葉を揺らす竹林の風情に癒やされます。




圓光寺(えんこうじ)
住所:京都市左京区一乗寺小谷町13
TEL:075-781-8025
拝観時間:9:00〜17:00
拝観料金:大人800円、小中高生500円
HP:https://www.enkouji.jp/
Instagram:@enkouji

 

 




◆涼やかな竹の緑が心を鎮める「地蔵院」




「竹寺」の名で親しまれる「地蔵院」は、洛西エリアの住宅街にひっそり佇む臨済宗の古刹です。
1367年に作庭家であり禅僧の夢窓国師が開山。一休禅師が幼少時を過ごしたことでも知られています。




新緑の木々に囲まれた地蔵院の山門 新緑の木々に囲まれた地蔵院の山門

新緑の木々に囲まれた山門。その奥に、見事な竹林が続いている。




山門をくぐった先に広がるのは、竹林と苔に包まれた静寂の世界。
参道沿いには、空に向かってまっすぐ伸びる青竹が連なり、風にそよぐ葉擦れの音や新緑の香りが心を満たしてくれます。




竹林に覆われた地蔵院の境内 竹林に覆われた地蔵院の境内

竹林に覆われた涼やかな境内。街から離れた立地ゆえに混雑も少なく、静かなひとときが堪能できる。




方丈前庭には、十六の自然石を羅漢(仏教において最高の悟りを得た聖者のこと)に見立てた枯山水庭園「十六羅漢の庭」が。

苔と石が織りなす静かな庭園を眺めながら、穏やかなときを過ごすことができます。




地蔵院(じぞういん)
住所:京都市西京区山田北ノ町23
電話番号:075-381-3417
拝観時間:9:00~16:30
拝観料:500円
HP:https://www.takenotera-jizoin.jp/

 

 




◆梅雨に映える紫陽花の名所「岩船寺」




梅雨の京都で、静かに心を潤してくれる場所──それが木津川市・当尾地域に佇む岩船寺です。




「紫陽花寺」として知られるこの寺を彩るのは、およそ5000株もの紫陽花。
原種の山アジサイや西洋アジサイをはじめとする約35品種が、境内を赤や青、紫色に染め上げます。




一度は訪れたい紫陽花の名所「岩船寺」 一度は訪れたい紫陽花の名所「岩船寺」

京都市街地から離れた場所ながら一度は訪れたい紫陽花の名所。例年6月下旬には紫陽花と睡蓮が同時に楽しめるのも魅力。




岩船寺の紫陽花は、昭和初期、荒廃した境内に美しさを取り戻そうと先代住職の手によって植えられたのが始まりだそう。




重要文化財に指定されている三重塔を囲むように咲く風景は、まるで絵画のよう。
しとしとと降る雨に濡れ、一層鮮やかな色を放つ紫陽花の美しさは格別です。




岩船寺本堂前に置かれた睡蓮鉢の花手水 岩船寺本堂前に置かれた睡蓮鉢の花手水

本堂前に置かれた睡蓮鉢の花手水。




また、紫陽花の花が浮かべられた花手水も見どころのひとつ。
毎日少しずつ入れ替わるので、その日によって異なる色合いが楽しめます。




〈紫陽花の見頃〉
6月上旬〜7月上旬




岩船寺(がんせんじ)
住所:木津川市加茂町岩船上ノ門43
電話:0774-76-3390
拝観時間:8:30~17:00(12月~2月は9:00~16:00)
入山拝観志納料:大人500円・中高生400円・小学生200円
HP:https://gansenji.or.jp/
Instagram:@gansenji_temple

 

 




◆“モネの睡蓮の池”を思わせる「大原野神社」




自然豊かな洛西エリアに位置する大原野神社は、印象派の画家クロード・モネの作品を連想させる風景が見られることで知られるスポット。




神社としての歴史も古く、遡ること1200年以上。桓武天皇による長岡京遷都の際、藤原氏の氏神である奈良春日大社の神々を分霊して創建され、別名「京春日」とも呼ばれています。




源氏物語にも登場する大原野神社 源氏物語にも登場する大原野神社

源氏物語にも登場する大原野神社。紫式部が氏神として崇敬していたことでも知られている。




“モネの睡蓮の池”が見られるのは、参道の途中にある鯉沢池。
5月中旬から8月下旬にかけて池一面に咲く白い睡蓮の花と、池に架かる太鼓橋が織りなす風景は、モネの名画「睡蓮の池と日本の橋」さながら。




大原野神社の睡蓮の花 大原野神社の睡蓮の花

午後には花が閉じてしまうので、午前中に訪れるのがおすすめ。




池のまわりはグルッと一周できるので、ゆっくり歩きながら涼しげな水辺の風景を堪能してくださいね。




〈睡蓮の見頃〉
5月中旬〜8月下旬




大原野神社(おおはらのじんじゃ)
住所:京都市西京区大原野南春日町1152
TEL:075-331-0014
拝観時間:拝観自由
拝観料金:無料
HP:https://oharano-jinja.jp/
Instagram:@oharanojinja.official

 

 




◆池に咲く蓮が見事な「法金剛院」




「関西花の寺二十五ヵ所」の第13番札所として知られる法金剛院は、通称「蓮の寺」とも呼ばれる蓮の名所。




境内には極楽浄土を表現した池泉回遊式庭園が広がり、大賀蓮や不忍斑蓮、漢蓮など約90種類にもおよぶ蓮の花が初夏から盛夏にかけて次々と咲き誇ります。




法金剛院に咲く蓮の花 法金剛院に咲く蓮の花

極楽浄土には青・黄・赤・白色の大きな蓮が咲くと言われている。それに因んで、境内には4色の蓮が集められている。




通常拝観は毎月15日のみですが、蓮が見頃を迎える7月には「観蓮会」が開かれ、朝7:30から開門。
静寂に包まれた庭園で、蓮の花がゆっくりと開いていく様子を間近で感じることができます。




法金剛院の礼堂前に並ぶ蓮の鉢植え 法金剛院の礼堂前に並ぶ蓮の鉢植え

苑池を埋め尽くすように咲く蓮のほか、礼堂前にズラリと並ぶ鉢植えも美しい。その数なんと120にも及ぶとか。




泥の中からまっすぐに茎を伸ばし、凛と美しく咲く蓮の花。
朝の澄んだ空気のなか、やさしい香りを漂わせながら開花するその姿を眺めていると、心が浄化されていくよう。ぜひ早起きして、朝一番に訪れてくださいね。




〈蓮の見頃〉
7月上旬〜7月下旬
〈観蓮会〉
7月上旬〜下旬(受付時間:7:30〜12:00)
※詳しい開催時期はホームページをご確認ください



法金剛院(ほうこんごういん)
住所:京都市右京区花園扇野町49
TEL:075-461-9428
受付時間:通常は毎月15日の9:30~16:00のみ
観蓮会期間中は7:30〜12:00
拝観料:大人500円、小人300円
HP:http://houkongouin.com/

 

 




【睡蓮と蓮の違いとは?】
睡蓮と蓮は、どちらも水辺に咲く水生植物。姿形もよく似ていますが、葉の形や花の咲く位置に違いがあります。睡蓮はスイレン科で、水面に浮かぶように花を咲かせ、葉に光沢と切れ込みがあるのが特徴。日中に開花して、夕方になると眠るように閉じてしまうことから「睡蓮」と名づけられたそうです。一方、蓮はハス科で、水面より高い位置に花を咲かせ、葉には光沢や切れ込みがありません。早朝から咲き始め、昼頃には閉じてしまうので、早起きして観賞するのがおすすめです。




Text by Erina Nomura

 

野村枝里奈
1986年大阪生まれ、京都在住のライター。大学卒業後、出版・広告・WEBなど多彩な媒体に携わる制作会社に勤務。2020年に独立し、現在はフリーランスとして活動している。とくに興味のある分野は、ものづくり、伝統文化、暮らし、旅など。Premium Japan 京都特派員ライターとして、編集部ブログ内「京都通信」で、京都の“今”を発信する。







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