夏の盛りを迎えた京都。
どこへ出かけても、厳しい暑さと人波に気後れしてしまう……。そんな季節だからこそ、おすすめしたいのが、静けさに包まれた朝のひとときです。
東寺や下鴨神社、北野天満宮など、早朝から参拝できる寺社を訪ねたあとは、二条城で美しい庭園を眺めながら朝食をいただく特別なひとときを。
喧噪を離れ、凛とした空気に身をゆだねる、京都ならではの朝の過ごし方をご紹介します。
東寺 5:00開門
京都で最も早く開門する、朝の聖域
五重塔がシンボルの世界遺産・東寺は、京都の寺院のなかでもとくに朝が早く、開門はなんと5時。まだ街が目覚めきらない時間帯、澄んだ空気と静寂に包まれた境内を歩くと、心がすっとほどけていくような感覚に満たされます。
朝焼けの空にそびえる国宝「五重塔」。日の出時刻の前後数十分がとくに美しい。
朝6時からは、弘法大師・空海が住居としていた御影堂(みえどう)で「生身供(しょうじんく)」と呼ばれる法要が行われています。誰でも参加できるので、希望する方は5時50分頃までに御影堂の唐門または西門前へ。
この法要では、国宝である本尊・弘法大師像が開帳され、一の膳、二の膳、お茶が供えられます。読経の声が静かに響く堂内で参拝者も一緒に手を合わせ、最後には空海が唐から持ち帰ったという仏舎利(お釈迦様の遺骨)を授けてもらうことができます。
境内の北西に位置する「御影堂」。南北朝時代の建物で、国宝に指定されている。
さらに、毎月21日には境内で「弘法市」が開かれ、早朝から骨董品や古着、食べ歩きできるフード類など、多彩な露店がずらりと並びます。第1日曜日には骨董市「東寺ガラクタ市」も開催されているので、掘り出しものを見つけに訪れてみては?
東寺(とうじ)
住所 京都市南区九条町1
TEL 075-691-3325
開門時間 5:00〜17:00
HP https://toji.or.jp/
Instagram @toji_official
下鴨神社 6:30開門
太古の森を歩く、清めの朝
京都最古の神社のひとつである下鴨神社は、朝6時半から参拝可能。境内を歩けば、木々の葉をわたる風の音や、小鳥のさえずりが、心にそっと寄り添ってくれるよう。早朝は訪れる人もまばらで、清々しい空気に包まれています。
鮮やかな朱塗りの「楼門」は重要文化財に指定されている。
境内の大半を占める「糺の森」に広がるのは、縄文時代から続く原生林。うっそうと茂る木々のあいだを歩けば、森そのものが神域であることを実感。朝露の匂いをふくんだ森の空気に、心がすっと癒やされていくのを感じます。
この森を含む下鴨神社は、世界文化遺産にも登録されており、自然遺産としても貴重な存在です。手つかずの植生が今なお守られていることに、自然と敬意の念が湧いてきます。
太古の自然を遺す「糺の森」は広さ3万6千坪。原生林の間を静かに小川が流れている。
境内には、美麗の神様を祀る河合神社や、縁結びで知られる相生社などの摂社・末社も点在。静かな時間の流れに身をまかせ、それぞれの社をゆっくりめぐってみるのもおすすめですよ。
北野天満宮 7:00開門
朝の光に映える御社殿の壮麗な佇まい
学問・厄除・芸能の神様として知られる菅原道真公を祀る北野天満宮。こちらは朝7時から参拝が可能です。
後西天皇(1637-1685)宸筆の勅額『天満宮』が掲げられた「三光門」。
ゆるやかに境内を進んでいくと、やがて見えてくるのが「三光門」。壮麗な造りがひときわ目を引く、シンボル的な建築です。
その奥に佇む御本殿は、国宝に指定されており、桃山時代の建築美を今に伝える貴重な存在。唐破風や黄金色に輝く装飾、精緻な彫刻など、細部に宿る技を、朝の光のなかでゆっくりと味わうことができます。
また、天満宮といえば菅原道真公がこよなく愛した「梅」も有名。御神木として大切に受け継がれる梅のほか、境内の随所に梅の神紋が見られます。
“天神さんの日”として親しまれる縁日。境内には食べ物の屋台も多く、お祭り気分が楽しめる。
毎月25日には縁日「天神市」が開催され、朝6時ごろから骨董や古書、食器、和雑貨など、多彩な露店が並びます。ふと足を止めた先で、思いがけない品との出合いがあるかもしれません。
北野天満宮(きたのてんまんぐう)
住所 京都市上京区馬喰町
TEL 075-461-0005
開門時間 7:00〜17:00 ※毎月25日は6:30開門
HP https://kitanotenmangu.or.jp/
Instagram @kitano_tenmangu
二条城・香雲亭 9:15~10:15
歴史に抱かれる庭園で、ゆば粥朝御膳を
寺社をめぐって静かな朝の時間を味わったあとは、二条城へ。世界遺産にも登録されているこの城のなかに、通常は非公開の「香雲亭」があります。夏の朝のひととき、特別にその扉が開かれ、美しい庭園を眺めながら朝食をいただける貴重な体験が待っています。
江戸時代の豪商・角倉(すみのくら)家の屋敷跡から移築された「香雲亭」。
提供されるのは、祇園・円山公園に本店を構える「京料理いそべ」の料理。自家製の汲み上げゆばを使ったやさしい味わいの「ゆば粥」と季節の小鉢を添えた「京のゆば粥御膳」です。
今年は大阪・関西万博の開催を記念し、月替わりの逸品には地元・京都の食材を中心に関西各地の恵みが盛り込まれています。7月の「鱧おとし(大阪府/兵庫県)」から始まり、8月は「賀茂茄子のしぎ焼き(京都府)」、9月は「鮎の竜田揚げ(滋賀県/和歌山県)」を予定。見た目にも涼やかな品々が、朝の身体にやさしく染みわたります。
8月の「京のゆば粥御膳」。献立には、賀茂茄子のしぎ焼きやゆば粥がラインナップされる。
香雲亭の目の前に広がるのは、和洋折衷のユニークな造りが特徴の庭園「清流園」。東半分は芝生を敷き詰めた洋風ですが、香雲亭のある西半分は池を中心に四季折々の美しさを見せる和風庭園。朝の光をやわらかく照らす水面と、全国から集められた銘石が織りなす変化に富んだ景色とともに、料理を味わう朝──そんな贅沢がここにあります。
朝食の提供は2025年7月15日(火)から9月30日(火)まで。完全予約制・各日40名限定なので、早めの予約がおすすめです。
特別朝食「京のゆば粥御膳」(とくべつちょうしょく「きょうのゆばがゆごぜん」)
開催場所 二条城内 清流園・香雲亭
開催日時 2025年7月15日(火)~2025年9月30日(火) 9:15~10:15
料金 4,200円(税込) ※入城料が別途必要
申し込み 参加希望日の前日15:00までに要予約
予約連絡先 075-551-1203(京料理いそべ/受付時間10:00〜15:00)
元離宮二条城(もとりきゅうにじょうじょう)
住所 京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
TEL 075-841-0096
入城時間 8:45〜16:00(17:00閉城)
入場料 一般800円、中高生400円、小学生300円
HP https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/
Instagram @nijojocastle
涼やかな空気に包まれる、京都の朝。静けさの中で心をととのえ、癒やされるひとときを過ごしてみませんか。
Text by Erina Nomura
野村枝里奈
京都在住のライター。大学卒業後、出版・広告・WEBなど多彩な媒体に携わる制作会社に勤務。2020年に独立し、現在はフリーランスとして活動している。とくに興味のある分野は、ものづくり、伝統文化、暮らし、旅など。Premium Japan 京都特派員ライターとして、編集部ブログ内「京都通信」で、京都の“今”を発信する。
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