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その先の京都へ

2023.10.17

京都で叶う2大パワースポット詣で 京都の「伊勢神宮」と「出雲大社」を訪ねて






伊勢神宮と出雲大社。神社の二大巨頭ともいえる両社が、それぞれ三重県、島根県に位置することは周知の事実。しかし、じつは京都にも伊勢神宮と出雲大社が存在する。京都市内 蹴上の「日向大神宮」と、亀岡に社を構える「出雲大神宮」の二社がそうだ。八坂神社や上賀茂神社、下鴨神社など旅行客で賑わう神社と異なり、おごそかな静けさに包まれているこの二社。強力なパワースポットとして知る人ぞ知る神社であることも事実だ。そんな二つの神社に足を運んでみた。





日向大神宮
京のお伊勢さん」として江戸時代から多くの人が参拝

 

京のお伊勢さん」と呼ばれる「日向大神宮」は、地下鉄東西線の蹴上駅から徒歩で約15分と、直線的にはほんのわずかな距離のところに社を構える。創建は5世紀末、23代顕宗天皇の代とされている。境内には、伊勢神宮と同様、「下宮(げく)」と「内宮(ないく)」があり、やはり伊勢神宮と同様、「下宮」から「内宮」の順で参拝する。また「猿田彦神社」「福土神社」など数々の社が境内に点在。周囲を取り巻く鬱蒼とした樹々と相まって厳かな気配が満ち、強力なパワースポットと言われていることも納得できる。

 





日向大神宮 日向大神宮

京都最古の神社のひとつ「日向大神宮」。境内の右奥に見える2棟の社殿が外宮。内宮はその奥に建つ。






「内宮」と「下宮」は「伊勢神宮」と同様の神明造り

 

「内宮」と「外宮」の社殿は伊勢神宮と同様、神明造で建てられており、社格も高い。とりわけ、天照大御神が祀られている「内宮」の簡素なたたずまいは、この建物が神社建築の極めて初期の形式であることを物語っている。こうしたたたずまいが、人々に伊勢神宮を連想させ、そのために江戸時代初期から「京のお伊勢さん」と称されてきた。また、東海道からほど近いこともあり、街道を往来する旅人が道中祈願のために多数参拝し、参道入り口には茶屋も設けられていたそうだ。






装飾物などを排した内宮の簡素なたたずまいが、神社の古格を物語る





「福土神社」のご祭神は縁結びの神、大国主命(おおくにぬしのみこと)。土器(かわらけ)に願いを書き神前に供える。





「内宮」の奥には、なんと「天の岩戸」まで

 

内宮の奥には「天の岩戸」と呼ばれる、巨大な岩の真ん中を刳り貫いた洞穴がある。中で直角に曲がるこの洞穴は行き止まりではなく、人が屈んで潜りながら一方の入り口からもう一方の入り口へと抜け出ることができる。穴を潜り抜けることで、罪や穢れが清められて福を招くとされ、「ぬけ参り」との名称もある。この「天の岩戸」が、強力なパワースポットという人も多い。





戸隠神社の祭神が祀られている「天の岩戸」の内部。





「伊勢神宮遥拝所」から遥か遠くの「伊勢神宮」を拝む

 

また、「日向大神宮」には、三重県の「伊勢神宮」に向かって拝むことができる「伊勢神宮遥拝所」がある。長い石段の手前に位置する「神田稲荷神社」の右手の坂道を15分ほど登ると遥拝所に辿り着く。山頂に立つ鳥居の真ん中のはるか遠く奥が、ちょうど「伊勢神宮」の方向となり、ここから遥拝することで、お伊勢参りの代わりになるとされてきた。「内宮」と「外宮」、そしてこの「伊勢神宮遥拝所」の存在が、「日向大神宮」を「京のお伊勢さん」と親しまれる神社にしたと言われている。

「日向大神宮」は、桜と紅葉の絶景スポットとしても知られている。地下鉄の蹴上駅からの道は急坂が続くが、ぜひ足を運んでみたいパワースポットのひとつだ。





「伊勢神宮遥拝所」へは、この長い石段の手前右に位置する「神田稲荷神社」の横から山道を登る。 日向大神宮 京都市山科区日の岡一切経谷町29(社務所は10時~16時) 「伊勢神宮遥拝所」へは、この長い石段の手前右に位置する「神田稲荷神社」の横から山道を登る。 日向大神宮 京都市山科区日の岡一切経谷町29(社務所は10時~16時)

「伊勢神宮遥拝所」へは、この長い石段の手前右に位置する「神田稲荷神社」の横から山道を登る。

日向大神宮
京都市山科区日の岡一切経谷町29(社務所は10時~16時)






出雲大神宮
島根の出雲大社より古いとも言われる「丹波國一之宮」

 

亀岡市に社を構える「出雲大神宮」は「元出雲」とも称され、島根の出雲大社より古いとも伝えられている。社伝によると創建は8世紀初頭で、宮司の岩田昌さんは「本殿の背後にそびえる『御影山』そのものが、太古の昔から神体山として、深く崇められていました。いわば自然そのものが神からの恵みであること伝えてきた場所です」と語る。






右奥に聳えるのが、御神体山として古くから崇められてきた御影山。






『徒然草』にもその名が登場する
出雲大神宮

 

鎌倉時代に書かれた『徒然草』にも「出雲大神宮」の名は登場し、足利尊氏が修造したとされる本殿が重要文化財に指定されるなど、まさに「丹波國一之宮」の名そのものの風格を感じさせる神社である。江戸時代までは、出雲と言えば丹波の地に社殿を構えるこの「出雲大神宮」のことを指していたとされ、そのために現在でも「元出雲」の呼称が残ることとなった。






『徒然草』に「丹波に出雲といふ所あり、大社をうつしてめでたくつくれり」との記載が残る、「出雲大神宮」の本殿。





本殿奥の鎮守の森には、数多くのパワースポットが点在

 

本殿奥に広がる鎮守の森には、凛とした緊張感にも似た荘厳な気配が立ちこめている。神社の裏に聳える御影山そのものがご神体であり、そのご神体から続く森であるがゆえに、凛とした空気が満ちているのは当然ともいえよう。森の奥へと続く参道のそこここに祀られた神様の依代が、参拝者を出迎えてくれる。

御影山の山中には、磐座(いわくら)が点在する。磐座とは神が宿る岩のこと。自然界のあらゆる物に神が宿ると信じてきた日本人は、とりわけ巨木や巨石に敬虔な祈りを捧げてきた。磐座が点在する御影山はまさに神々が棲む山であり、そんな山は強烈なパワーを訪れる人に与えてくれる。





本殿背後の鎮守の杜へと続く参道。荘厳な空気は、参道入り口近辺でもすでに十分感じることができる。





鎮守の杜に鎮座する巨岩は力の根源。まさに「パワースポット」

 

注連縄を巡らせた、ひと際大きな岩が見えてきた。京都一のパワースポットとして注目を集めている磐座のひとつだ。高さは大人の背丈2倍以上。その圧倒的な存在感は、まさにパワースポットそのもの。張り巡らされた注連縄が、厳かな雰囲気をより高めている。

この巨石は社殿が創建される以前から現在の場所に存在し、信仰の対象として崇められてきた。生い茂る樹々の中に忽然と姿を見せる巨岩。その力は、さまざまな縁を呼び込むとされている。





願い事を叶えてくれる磐座ともいわれ、遠方から熱心に何度も通う人もいる。





御影山から湧き出る「眞名井の水」は、ミネラルバランスのよい中硬水で、その優れた成分は科学的にも証明されている。ここも強力なパワースポットのひとつ。




石造りの可愛らしい兎が、お出迎えとお見送り

「出雲大神宮」のご神祭は大国主命(おおくにぬしのみこと)。そして大国主命にまつわる動物はといえば、やはり兎。一の鳥居の前には、石造りの兎が愛嬌を振りまき、参拝者のお出迎えとお見送りをしてくれる。パワースポットを巡った後に、可愛らしい兎に出合うと、なぜかほっとするのも事実だ。大国主命は縁結びの神様ともいわれている。京都随一といわれるパワースポットは、良縁を授けてくれるに違いない。




「しあわせなでうさぎ」と名づけられたこの兎は、体を撫でると幸福が訪れると言い伝えられている。 「しあわせなでうさぎ」と名づけられたこの兎は、体を撫でると幸福が訪れると言い伝えられている。

「しあわせなでうさぎ」と名づけられたこの兎は、体を撫でると幸福が訪れると言い伝えられている。

出雲大神宮
京都府亀岡市千歳町出雲無番地
24時間参拝可能(御神体山は禁足地)
(御守等の授与所は9時~17時)







Text by Masao Sakurai(office clover)
Photography by Yukiyo Daido

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