特別でオリジナルな体験を求める旅行者たちを、斬新なアイディアや高いホスピタリティでもてなす独立系ラグジュアリーホテル。その新たな試みは世界中のホテルチェーンや旅行業界に強いインパクトを与え、最新のトラベルトレンドの源流となっている。
520以上の独立系のラグジュアリーホテルが加盟するSLH(スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド)による、2020年の旅のトレンド分析とレポートが先頃発表された。このレポートをもとに、2020年最旬の旅の姿をPremium Japanの視点でピックアップする。
前編では、サスティナビリティを意識した取り組みや、その土地の環境、文化的背景を活かしたアクティビティなど3つのトレンド視点から、旅先の自然を尊重して触れる体験を提供するホテル6軒を紹介しよう。
「サンカラホテル&スパ屋久島」ロビーから見る朝焼け
1. 広大な景色の中で癒されるひととき。高まる自然への意識
サスティナビリティへの意識が高まる近年、環境への配慮があらゆる経済活動において最も重要視されている。小規模な独立系ホテルは、様々な角度から環境保全の試みを始めており、多くのゲストの共感を得ている。
自然への高い意識と周辺環境に合わせる立地の中にあっても、最高級のおもてなしやスパでゲストを温かく迎え入れるスタイルから、持続可能な社会が求める近年のラグジュアリーホテルの在り方が見えてくる。
「サンカラホテル&スパ屋久島」(日本・鹿児島県)。樹齢数千年の屋久杉が見られる周辺の森林
壮麗な花崗岩の岩山を背に、目の前には無限に広がる海を臨み、周囲の森林と果樹園からは野生動物の声も聞こえてきそうな秘境地にある「サンカラホテル&スパ屋久島」。手付かずの自然の中を散策し、ユネスコ世界自然遺産に指定された森林にでかければ、屋久杉の林でヤクシカやヤクザルに出会うだろう。
「Cape Kudu Hotel ケープクドゥホテル」(タイ・ヤオノイ島)の保護しているサイチョウ
タイのリゾートを代表する2つの島、プーケットとクラビ島の中間に位置するヤオノイ島にある「ケープクドゥホテル」は、美しいビーチサイドにヴィラを持ち、ゲストひとりひとりに特別な時間を提供するリゾートホテル。周辺の森林環境を守り、絶滅危惧種となっているサイチョウを保護する活動をしている。
「Lefay Resort & SPA Dolomiti リフェイリゾート&スパ ドロミティ」(イタリア・トレント)外観。ホテルからは雲海を見下ろす絶景も。
現在では多くのホテルが二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいるが、国連承認のクリーン開発メカニズムによるCERクレジットで、早くからカーボン・オフセットを実現しているホテルがある。ユネスコの世界自然遺産として登録されている北イタリアの景勝地、ドロミテの山々に囲まれた「リフェイリゾート&スパ ドロミティ」だ。
壮大な景色を眺められるピラミッド型の窓は、ほぼ雲と同じ高さ。シャープな印象の建築に、山頂や森林をイメージした木製の内装が屋外の自然と馴染み、ゲストに最上級の心地よさを提供する。冬はスキー、夏は乗馬やハイキングのアクティビティを楽しんだ後、装大な大自然の景色に包まれたアルペンスパで、ゆったりと過ごすのがおすすめだ。
2. 心と体を解き放つ旅先のアクティビティ。その土地と伝統がもたらす癒しの哲学を体験する
旅に出る目的の1つは、日常から離れて自らの体や心を開放することにあるだろう。ホテルが誇るトリートメントやスパは、伝統的な技法や自然の産物を利用したものが多く、その土地ならではの癒しの時間を提供する。
「Tanjong Jara Resort タンジョンジャラリゾート」の(マレーシア・ドゥングン)のスパ体験。古来から伝わる体内から不調を取り去る本格的なスパを提供する。
マレーの王族が受け継ぐトリートメントをアレンジした「タンジョンジャラリゾート」のスパは、この地域に昔から息づくスチムニという癒しの哲学をベースとしている。伝統的な療法に基づいたリラクゼーション、アンチエイジング、ストレス緩和のためのプログラムは、1000年以上の歴史を持ち、世界でもここだけの極上体験ができるスパとして名高い。これだけを目的にマレーシアを訪れる旅行者も多いという。
「Therasia Resort Sea & Spa テラジアリゾートシー&スパ」(イタリア・シチリア)ではヴルカーノ島の火山泥を使ったスパが提供されている
イタリア・シチリア島の北に浮かぶヴルカーノ島は火山の島として知られる。「テラジアリゾートシー&スパ」では、この島の硫黄分やミネラルが多い火山泥を使ったスパが人気を集めている。滞在中にスパでリフレッシュした後は、地元シチリアの地中海料理を堪能し、目前に広がるティレニア海へ直結するホテル専用アクセスから、海岸でゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがだろう。
3. 「忘れられない旅」に求められるオリジナリティ溢れるエクスカーション。
そこにしかないロケーション、そこでしかできない体験を求める旅へのニーズはますます高まっている。独立系のラグジュアリーホテルは、特異な自然環境や文化的背景を持つ土地に位置している場合が多く、貴重な体験がいくつも用意されている。
「Nobu Hotel Ibiza Bay ノブホテルイビザベイ」(スペイン・イビザ島)のダイビングツアー
スペイン・イビザ島の「ノブホテルイビザベイ」では、ナショナルジオグラフィックのプレゼンターや海洋生物学者、水中写真家と一緒にマンツーマンでダイビングを楽しむことができる。イビサ島の周辺には地中海エリア固有の海藻であるネプチューン・グラスが生息しており、海底に草原が広がる光景は神秘そのものだ。そんな景色を目にしたいなら、専門家のガイド付きダイビングツアーをリクエストしよう。
「Terelj Hotel テレルジホテル」(モンゴル・ウランバートル)の遊牧民の実生活ツアー
モンゴルの「テレルジホテル」は、草原の遊牧民たちの生活を実体験するプログラムを用意している。居住スペースであるゲルの構造を知り、馬や羊の世話を通して彼らの生活を学ぶことは、人生に豊かさをもたらす貴重な体験となるに違いない。
旅先で何を体験するか、旅によって社会に貢献できるか、そんなことを考えながら旅することがこれからのトレンドとなっていくのかもしれない。
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