建築を歴史の流れのなかに根付かせる建築家、田根 剛(後編)

2017.02.05

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「プレミアムジャパン・アートプロジェクト」の若手建築家の連載インタビュー。田根剛の後半は、エストニア国立博物館のプロジェクトから導き出された「場所の記憶」というコンセプトを軸に、その場所に固有の建築をデザインするという彼の方法論について語ってもらった。

建築と考古学には深いつながりがある

「エストニア国立博物館のプロジェクトを始めたことで、『場所の記憶』について深く考えるようになりました」と田根は語る。

「その場所の記憶を探るためには、場所の起源にまで遡っていく必要があります。過去を歴史的に俯瞰するだけではなく、ある場所について微視的に探っていくわけです。すると忘れ去られた断片的な記憶や奥深くに眠る集合的な記憶へと至ることができます。そこから未来へと飛翔するための考察を行うことが設計の出発点となります。

そういう意味では建築と考古学には深いつながりがあると思います。考古学とはまさに、場所の記憶を掘り返すことで発見がある。建築も考古学も場所がなくては始まりません。人が“ここ”という場所を記憶することが建築の始まりであり、場所の記憶の重なりが集落となり、街となり、都市をつくりあげてきたわけです」

 

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