九島辰也連載 フォーミュラE九島辰也連載 フォーミュラE

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カーライフその先の未来へ

2024.4.26

街中開催の新世代レース「フォーミュラE」に興味津々




街中を疾走する、日本初「電気自動車のF1」が開催

 

今年3月、日本で初めてとなるフォーミュラEが開催された。動力源をバッテリーとする電気(エレクトリック)を示す“E”の頭文字を持ったレースだ。場所は東京の臨海エリア。イベント会場としてお馴染みの東京ビッグサイトの敷地とその周辺の一般道を封鎖してのコース設定となる。

日本で初めてと言うことで、当日の顔ぶれは華やかだった。芸能人やアーティストもいれば、岸田首相や小池東京都知事も会場に足を運んだ。一般道を止めての開催ということもあり、国や都、公共機関の全面協力となるからだろう。世界的なイベントの誘致だけに、経済効果も見込めそうである。事実、来年2025年の開催もすでに決定している。

 

フォーミュラEがユニークなのは、動力源もそうだがそもそも街中の一般道で行われるレースとして誕生したところだと思う。F1にもモナコグランプリのような街中開催はあるが、こちらはデフォルトが市街地。世界中の街を対象としている。なので、誘致合戦は様々なエリアで行なっているようだ。毎年1、2会場はサーキットを使用するから、ちょうどF1と真逆な感じとなる。






東京・有明にある東京ビッグサイトを囲むようなレイアウトで1周約2.6km。 東京・有明にある東京ビッグサイトを囲むようなレイアウトで1周約2.6km。

レースは、東京・有明の東京ビッグサイトを囲むように1周約2.5kmのレイアウト。





街中で行う理由はいろいろある。サーキットを走らすより電気自動車の開発に役立つデータが取れたり、一周の長さを自由にコントロールできたりするからだ。充電に時間のかかるフォーミュラEのマシンは一回の充電で競わないといけない。そこで、一周の長さを通常のサーキットより短くして周回を多くし、観戦を楽しくする手法をとっている。今回の東京はおよそ2.5kmだった。

 

また、逆に街中でも走れる理由として騒音や排ガスがないことをアピールしている。ガソリンで走るレーシングカーのエンジン音が何台も同時に一時間以上走り続けたら、街中ではきっとご近所さんからクレームの嵐となるだろうし、ガソリン臭いとか排気ガス臭いとかいう通報もありそうだ。が、フォーミュラEはそれを見事にクリアしている。








約1万枚用意されたチケットはおよそ3分で完売したという。 約1万枚用意されたチケットはおよそ3分で完売したという。

約1万枚用意された観戦チケットは、およそ3分で完売した。








EV技術は日進月歩なので、レースも進化の途中にある。 EV技術は日進月歩なので、レースも進化の途中にある。

EV技術は日進月歩なので、レースも進化の途中にあると言える。








2024年は11チーム22人のドライバーが熱い戦いを繰り広げた。 2024年は11チーム22人のドライバーが熱い戦いを繰り広げた。

2024年は、11チーム22人のドライバーが熱い戦いを繰り広げた。











さらに、街中でやることで多くの人に関心を持ってもらえるメリットがある。わざわざ都心から何時間もかけて人里離れたサーキットまで行かなくても日常的なエリアで開催されれば、ファンはもちろんレースにそれほど興味がない人も来やすい。であれば、広く電気自動車をアピールするいい機会になる。特にワークスとして出場しているヨーロッパのメーカーはそんな思いが強いかもしれない。






新たな可能性と魅力ある新世代のレースへの期待

 

フォーミュラEの歴史を振り返ると、記念すべき第一回目は2014年に行われた。場所は中国・北京のオリンピック公園。そこから数えると今年がちょうど10シーズン目で、当初からすればマシンのパワーが上り、一回の充電の走行距離もかなり伸びた。それだけ迫力あるレースが開催されることになったわけだ。まさにこのレース自体がEV進化の立役者である。ちなみにことの発端は2011年のパリだそうだ。フォーミュラEの創設者アレハンドロ・アガグ氏と元FIA会長ジャン・トッド氏の会食時に草案が語られたという。なるほど、何年も語り継がれそうなおしゃれな逸話である。






自動車メーカーとしてワークス参戦したのは、ジャガー・ポルシェ・DSオートモビル・マセラティ、そして国内メーカーでは唯一「日産」が参戦した。 自動車メーカーとしてワークス参戦したのは、ジャガー・ポルシェ・DSオートモビル・マセラティ、そして国内メーカーでは唯一「日産」が参戦した。

自動車メーカーとしてワークス参戦したのは、ジャガー・ポルシェ・DSオートモビル・マセラティ、そして国内メーカーでは唯一「日産」が参戦した。

 







ではどんなレーシングチームが参加しているかというと、ジャガーTCSレーシング、マセラティMSGレーシング、ニッサンフォーミュラEチーム、TAGホイヤーポルシェフォーミュラEチーム、DSペンスキーなどなど。今年は全11チームで競っている。その中で応援しているのはジャガーTCSレーシング。ジャガーというブランドとニック・キャシディというレーシングドライバーに注目している。知っている人は少ないと思うが、ジャガーは1950年代ル・マン24時間レースで優勝していたレーシーなブランドで、そこからジャガーDタイプやEタイプなど伝説的なクルマが誕生している。要するにかっこいいブランドなのだ。

 

といった話をチームごとにしていたら終わらないのでこの辺にするが、東京のラウンド5からさらに進んでイタリア開催も終わった。なので、どんどん最新情報をキャッチアップする必要がある。これ以降、モナコ、ドイツ、中国、アメリカ、英国と続くからね。今回の東京開催でフォーミュラEに興味を持った方は、ぜひネットで情報をアップデートしてください。F1もいいけど、こんな新世代レースもワルくないでしょう!

 

 

Photo by JAGUAR

 






九島辰也 Tatsuya Kushima

 

モータージャーナリスト兼コラムニスト。現在、サーフィン専門誌「NALU」のメディアサイト編集長、メディアビジネスプロデューサーを担当。これまで多くのメンズ誌、ゴルフ誌、自動車誌、エアライン機内誌などの編集長を経験している。メディア活動以外では2023-2024日本カーオブザイヤー選考委員、(社)日本葉巻協会会員、日本ボートオブザイヤー選考委員、メンズゴルフウェア「The Duke`s Golf」のクリエイティブディレクターを務めている。

 

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