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「光る君へ」言いたい放題レヴュー

2024.4.25

「光る君へ #16 華の影」ついに出ました。清少納言『枕草子』の「香炉峰の雪」。華やかな定子サロンの様子になんだか感動。

今週のお当番のM男です。ついに出ましたね、「香炉峰の雪」。高校(もしかしたら中学?)で、なんとなく耳にし、清少納言『枕草子』といえば、冒頭の「春はあけぼの……」と、この「香炉峰」しか頭に残っていないM男でも、なかなか感動的な場面でした。清少納言の得意そうな顔ったら! キャスティングで、清少納言がファーストサマーウイカさんに即決した、というのもわかるような気がします。でもその後の、悲田院での道長サマのまひろ抱き抱えは、出来すぎなのでは………。

 

 

香炉峰の後、庭で公任や行成が雪遊びをする場面も、ちょっとお気楽すぎるのでは?と思いましたが、この麗らかな場面が、後半の疫病シーンと好対照となってくるんですね。NHKもなかなか考えています。それにしても、公任は相変わらず、メチャかっこいいですね。行成も、本当はもっと切れ者だったはずなのに、まあ、あのようなキャラ設定ということで、致し方ないでしょう。

 

 

後半の疫病、とにかく凄まじかった。コロナ禍を経験している2024年の今だからこそ、なおさら私たちも、身につまされるのでしょうね。調べてみると、舞台となった正暦5(994)年に流行したのは、疱瘡、つまり天然痘だったみたいです。京都中の堀が、死人で溢れたとか。前回の最後、まひろが、水辺に折り重なる死体を見たのは、あながち大袈裟ではなかったということです。





悲田院での再会と抱き抱え。それはあまりにも
出来すぎじゃありませんか?

 

 

いくら犠牲的精神に満ちていようと、まひろも道長も、悲田院に行っちゃいけないよ、うつっちゃうじゃないか! そんな汚れ仕事は、今やアンチヒーロー自覚している道兼に行かせればよいのに! 誰もがそう思って、ハラハラ見てました。でも、でもでも、倒れかけたまひろを、偶然道長が抱きかかえ、自宅まで送り届け、あまつさえ一晩中の寝ずの看病というのは、いくらドラマとはいえ、ちょいと出来すぎじゃありませんかね、大石静先生。





「生まれてきた意味は見つかったのか」
意識朦朧の病人に、そんなこと問い掛けてもなぁ……

 

息も絶え絶えのまひろに向かって道長は「生まれてきた意味は見つかったのか」と問い掛けます。こんな時に、そんな事尋ねてもなぁ、と思いますが、まひろにとっての「生まれてきた意味」である「『源氏物語』の執筆動機」を突き詰めていくことが、このドラマの根本テーマである以上、この修羅場で、テーマをあえて浮上・再確認しているのでしょうね。

 

『蜻蛉日記』の作者である道綱の母と石山寺で出合って感銘しているのもその伏線で、物語や日記の執筆へと向かう道筋が、次第に形成されようとしています。でも、先は長そう。N子さんがさかんに気にしているように、父の越前赴任もまだですし、やがて女房として仕える彰子もまだまだ小さいし。もちろん、ドラマですから、いきなりの時代すっ飛ばしは充分にあり得ますが、そろそろ新たな展開がほしいところではあります。

 

気になるのは、『源氏物語』の筆を執り始める際のまひろ(この場合は、すでに紫式部と呼んだ方が相応しいかも)と道長の関係をどのように描くかです。二人の間はすでに冷えているのか、いやいや熱い想いを連綿と抱き続けているのか。もちろん願わくば後者ですが、今回の悲田院抱き抱えのような、やや安易な展開にはしてほしくありません。お願しますよ、大石さん。




通い婚ゆえに、どこで寝ようと夫の勝手?
いやいや、北の方なる者、そうはいかないようです

 

ネタバレかもしれませんが、細かいことをひとつ。おそらく次回で、道隆も、もしかしたら道兼も死んでいくのでしょうが、道隆の死は流行病の疱瘡ではなく、過度の飲酒が原因の糖尿病であったとも言われているそうです。そういえば、道隆がお酒を飲んでいるシーンも多く、今回は糖尿病の兆候か、御簾をあげて異常にまぶしそうにしていましたし、水をがぶ飲みもしていました。そのあたり、じつに細かいところですが、NHKも伏線をきちんと押さえ、さすがですね。

 

道隆も道兼も去り、序列7位の権大納言だった道長が頂点に上り詰めていきます。まひろとまでは気づいていないかもしれませんが、道長の心に住む、自分でもない明子でもない女性の存在を嗅ぎ取った倫子は、それでも北の方であることの余裕からか、笑みさえ浮かべます。その笑みが、チョー怖い!

 

予告では「どちらにお泊り?」と道長に尋ねてましたね。通い婚であった当時、夫が毎晩北の方の家で寝るわけでもあるまいに……。妻たるものの嫉妬、本当に怖いなぁ、まったく。






「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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