「かぞえかた手拭い」:「お米が主役」vol.37 柏木智帆

2016.07.19

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日常生活の中に溶け込む「かぞえかた手拭い」

1粒の種籾、1本の苗、1束の稲穂、1袋の米袋、1膳のごはん。1個のおむすび、1切れの巻寿司、1貫の鮨、1個の餅、1枚のせんべい、1本の日本酒…。お米だけを見ても、私たちの食生活には実に多くの数え方が存在しています。

「杯」「切れ」「個」「粒」。単位を聞くだけでも、そのお米の形状が想像できます。

そんなさまざまなお米の状態を描いた「かぞえかた手拭い」を生み出したのは、日本語の数え方をテーマにしたプロダクトデザインを手掛ける「一粒」の森平千尋さん(埼玉県在住)。

「日常の中で当たり前に使っている数え方。けっこうすごいことなのにあまり意識されることもありません」。この魅力を、誰に、どう伝えるか。考え抜いた結果、一番しっくりときたのが「動作を限定せずに、ふんわりと伝える」という手法でした。

拭く、絞る、包む、巻く…。

さまざまな動作を通して、日常生活の中に自然と溶け込む商品が生まれました。

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数え方とともに姿形を変える一粒のお米

森平さんが数え方に注目し始めたのは、自身の「千尋」という名前の意味を調べたことがきっかけでした。

「『千尋』という名前は、日本古来の距離の単位」。そう小さなころから両親に言われていた森平さん。一方で、「千尋」の言葉の意味は、「山などが非常に高いこと」「谷や海などが非常に深いこと」(デジタル大辞泉より)。でも、実際にどのぐらいの距離の単位なのか、知りませんでした。

そこで、「千尋」の距離の単位を調べてみた森平さん。「なんと、1.8キロ。意外と短くて驚きました」。

そうして調べていくうちに、数え方について書かれた本に出会ったのです。著者は、中央大学教授で言語学者の飯田朝子さん。その本に書いてあった「数え方は状態をあらわす」という言葉に、体中に電流が走るような、すごい衝撃を受けたと言います。

「人が見ているものは、すべて数え方に置き換えられる。1粒のお米は、状態によって数え方が変化していく。人の概念、ものの捉え方とか、哲学的な要素がある」。数え方が、森平さんのテーマになった瞬間でした。

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