べにや無何有の「スパ円庭施術院」

Style

Living in Japanese Senses

世界が注目する日本の伝統医学「漢方」(後編)

2019.8.9

日常生活からのリトリート。気軽に「漢方」が経験できる厳選アドレス

べにや無何有の「スパ円庭施術院」

漢方医学において、重要視されているのは未病の対策。その基本となるのは食事・運動・睡眠の3本柱による養生を怠らないことにある。さらに、日常的に漢方薬やお灸を取り入れたり、漢方スパでトリートメントを受けることも有効だ。

漢方スクールや薬膳レストランなど
健康と美の源を訪ねる
「ニホンドウ漢方ミュージアム」

日本全国に漢方の専門店を展開する薬日本堂が、東京・品川に2003年オープンした「ニホンドウ漢方ミュージアム」。ギャラリー、レストラン、ブティック、スクールなどがあり、漢方の持つ大きなパワーを五感で感じ取ることができる場になっている。

和漢植物見本が並ぶ「ニホンドウ漢方ミュージアム」、漢方ギャラリーの入り口 和漢植物見本が並ぶ「ニホンドウ漢方ミュージアム」、漢方ギャラリーの入り口

和漢植物見本が並ぶ「ニホンドウ漢方ミュージアム」、漢方ギャラリーの入り口

ここでまず訪れたいのが「漢方ギャラリー」。漢方の養生のポイント「心食動休環」をベースに、自然のリズムに合わせた生活や養生の方法、四季ごとの過ごし方やおすすめの食べ物などがパネルで展示されている。さらに、和漢植物見本の展示もあり、体脂肪やストレス度、骨のチェックも無料で体験できる。体や肌の不調を相談すれば、自分に合う養生法や漢方薬を提案してくれるのは「ニホンドウ漢方ブティック」。漢方薬をはじめ、和漢素材を配合したコスメ、お茶、生活養生品など、幅広い商品が揃う。「薬日本堂漢方スクール」では、漢方を基礎から学ぶことが可能。漢方スタイリストや漢方カウンセラーの資格を目指すコースがある。1日で学べる講座もあり、漢方入門・薬膳・漢方美容・気功・ツボ・マッサージなどを取り揃え、人気が高い。

「10ZEN」自慢の薬膳鍋。国産の烏骨鶏やスッポンが使われている。 「10ZEN」自慢の薬膳鍋。国産の烏骨鶏やスッポンが使われている。

薬膳レストラン「10ZEN」自慢の薬膳鍋。国産の烏骨鶏やスッポンが使われている。

また薬膳レストラン「10 ZEN(じゅうぜん)」のランチでは、薬膳スープやカレーがあり、クルミやクコなどの和漢食材を自由にトッピングできるサラダバーが人気だ。ディナーでは滋味深い味わいの薬膳鍋や自家製の薬膳酒、薬膳パフェが楽しめる。


教室や治療室を併設
お灸でセルフケアしたい方必見
「せんねん灸銀座」

東洋医学において、鍼灸は漢方と並んで中心的な存在。また併用することでさらなる効果が期待できることも多い。しかし、鍼灸院は敷居が高いという人も少なくないはず。そこでおすすめしたいのは鍼を使わずにツボ刺激が出来るお灸だ。特に、せんねん灸はやけどの心配をなくし、誰でも気軽に使えるお灸として知られている。紙パルプの台座の厚みが温熱をコントロールして、ほど良い温熱で気持ちが良く、症状を改善できる点が人気の秘密だ。

せんねん灸 せんねん灸

せんねん灸は誰でも気軽に使えるお灸。紙パルプの台座の厚みが温熱をコントロールするので、ほど良い温熱が心地よい。

このせんねん灸を実際に体験することもできるのが「せんねん灸銀座」。1階のショップでは火を使うせんねん灸の定番商品をはじめ、香りのお灸や煙の出ないお灸、火を使わないお灸、本格的な棒温灸など、さまざまなタイプのせんねん灸が並ぶ。3階は自宅でのセルフケアに役立ててもらうために、お灸教室を開催している。せんねん灸の使い方やツボの探し方、症状ごとのお灸のコツを学ぶことで、誰でも毎日の生活にお灸の習慣を取り入れることができる。また、お灸治療室も併設していて、プロのお灸治療を受けることもできる。


加賀山代温泉の極上の宿で
『薬師山トリートメント』に身を任せて
「べにや無何有スパ円庭施術院」

加賀山代温泉にある自然に囲まれた美しい宿「べにや無何有」。山庭を囲むように建つ16室の静かな宿だ。「無何有」とは荘子が好んだ言葉で、何もないこと、無為であることを意味する。ここは、自然の癒しによって、無心を取り戻すことにできる希少な場所。館内の「方林円庭」には、漢方を使った施術を受けられる「スパ円庭施術院」がある。昔から山代の薬王院温泉寺では、僧たちが温泉の施浴と薬草の調合で人々を救っていたと語り継がれている。

無何有スパの入り口。癒しの時間はここから始まる。 無何有スパの入り口。癒しの時間はここから始まる。

無何有スパの入り口。癒しの時間はここから始まる。

この伝統を受け継ぎ、スパ円庭施術院では温泉と薬草を用いた『薬師山トリートメント』をはじめ、各種のトリーメントを用意。『薬師山トリートメント』はカウンセリングを行い、体質や体調に合わせてオーダーメイドの薬草玉と漢方クリームを調合。漢方クリームでのマッサージ後に蒸しあげた薬草玉を身体に押しあてていく。すると、薬草成分が体内に吸収され、体調が整って、心と体の完璧なリフレッシュを実感できる。

トリートメントに使われる薬草。一人一人の体調や希望に合わせたものが選ばれる。 トリートメントに使われる薬草。一人一人の体調や希望に合わせたものが選ばれる。
トリートメントに使われる薬草。一人一人の体調や希望に合わせたものが選ばれる。

施術後は全ての部屋についている露天風呂でリラックスするのもよし、「方林ダイニング」で山庭の景色を眺めながら食事をするのもよし。何にも邪魔されない時間をゆったりと楽しみたい。


京都の老舗「亀田利三郎薬舗」の
天然漢方スパハーブで自宅ケアを

京都で明治27年に創業した亀田利三郎薬舗は、「六神丸」という薬で知られる。同じ名前の漢方薬は100種以上あるが、もっとも古いのは同社が創業以来作り続けている「赤井筒薬亀田六神丸」だ。これは動物性漢方配合の強心薬で動悸・息切れ・胸の締め付けの他、疲れ、めまい、立ちくらみにも効果があるという。

「六神丸」、そして胃腸の弱った人に向けた「仙丹」だけを販売し、長く新製品は発売してこなかった同社が、現代人の不調を考えて発売した入浴剤が今、注目されている。 「六神丸」、そして胃腸の弱った人に向けた「仙丹」だけを販売し、長く新製品は発売してこなかった同社が、現代人の不調を考えて発売した入浴剤が今、注目されている。

「六神丸」、そして胃腸の弱った人に向けた「仙丹」だけを販売し、長く新製品は発売してこなかった同社が、現代人の不調を考えて発売した天然漢方のスパハーブが今、注目されている。

体の芯から温まる漢方スパハーブ「玄武ゆ」。高麗人参、陳皮、当帰などを配合。 体の芯から温まる漢方スパハーブ「玄武ゆ」。高麗人参、陳皮、当帰などを配合。

体の芯から温まる漢方スパハーブ「玄武ゆ」。高麗人参、陳皮、当帰などを配合。

現代人の不調の多くはストレスによる自律神経の乱れが原因。漢方の薬草が配合されたスパハーブは、そんな心身の乱れを整えてくれる。6種類あり、不調の種類によって使い分けられる。「玄武ゆ」は高麗人参、陳皮、当帰などを配合し、体を温める。「朱雀ゆ」はハッカ、川芎、当帰、ヨモギなどを配合し、解熱・発汗・清涼・血液循環を高めるといった作用が。「青龍ゆ」はバラの蕾「マイマイカ」、ローズヒップ、桃の葉などを配合し、美肌効果がある。「白虎ゆ」は甘草、当帰、カミツレなどを配合し、心身をケア。「勾陳ゆ」は沈香、厚朴、甘草などを配合し、不安やイライラなど女性特有の悩みを抱えた人に良い。「騰蛇ゆ」は白檀、厚朴、紅花、椿油などを配合し、リラックス効果や保湿効果がある他、デオドランドケアが気になる男性にもお勧め。漢方を使った至高のバスタイムで、心身ともに健康な毎日を目指したい。

 

漢方に親しむには、まず漢方スパやお灸を体験したり、漢方を使った料理を食して、その効果を実感するのもいいだろう。そして興味が湧いたら、漢方スクールで初歩的知識を学ぶのはさらに楽しい。漢方の世界は奥深いが、少しずつ身につけた知識と体験は一生の宝物になるはずだ。

「ニホンドウ漢方ミュージアム」
東京都港区高輪3丁目25-29
https://www.nihondo.co.jp/shop/museum/

 

せんねん灸銀座
東京都中央区銀座5丁目10-9 銀座YKビル1F・3F
https://www.sennenq.co.jp/company/ginza.html

 

べにや無何有
石川県加賀市山代温泉55-1-3
Tel:0120-07-1340
http://mukayu.com/guestroom.php

 

亀田利三郎薬舗
京都市北区平野宮本町95
https://www.kameroku.co.jp/spaherb

 

世界が注目する日本の伝統医学「漢方」(前編)はこちら

Text by Yoshiko Takahashi

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