2017年に立ち上がったイッセイ ミヤケ「HaaT」の新しいライン「ORJ(One Rack Jack)」。ハンガーラック一本の少数アイテムで展開される上質な日常着が揃っている。モデル・山村紘未がORJと出合ったのは、2018年秋冬シーズンのルックブックの撮影だったと言う。素材に触れ、洋服に袖を通し、実際に動いてみて感じた、ORJの魅力を綴る。
文・山村紘未
2017年からスタートしたORJは、今まで自分の中にあったイッセイ ミヤケの洋服とは違った印象を受けたが、ひとまず、スタート時の写真を頼りに衣装合わせへ向かった。ORJの洋服が掛かっている部屋に入ると、何とも優しい風が流れているように感じた。それがどういうことなのかは、洋服を着るとすぐに分かった。肌に触れる心地の良い素材、一歩一歩歩いたときの美しい流れ。それらの洋服は、長年服づくりにたずさわる人の手を感じさせるもので、まさに洋服が生きている輝きを見た。
モデルを務めた山村紘未。2018年秋冬コレクションより。Photography by Hitoshi Fugo
撮影ではチームの皆様がつくる雰囲気は、洋服から感じる心のままのものがその場にあった。そして一枚一枚上がってくる写真を見ながら、こんなにも正直な自分の心が写っている写真というのは今までにあっただろうかと思った。私はこれまでカメラの前で何かになろうとしてしまっていたのだと気が付いた。それがこの撮影ではもっともっと自分の内側へ返っていくような感じがした。そしてそれが写真として成立した時に、新たな自信になっていった。
ORJをまとうことで、私の心は
優しく深く、そして美しくいられる
最新2019年秋冬コレクションより。
2019年春夏コレクションより。
モデルという仕事をするようになってから、洋服を着慣れていない時期があり、自我が目覚める時期があり、気張って自信が出てくるときもあれば、絶望するときもあった。その都度、これからの新しい1つの方向を教えて貰っていた。ORJとの出合いは、これまで生きてきたものを携えた自分の心が写真に写っているようにも思えた。それは洋服がそうさせてくれたということと、そしてチームの皆様がつくって下さった空間が私を私のままで居させてくれたのだとも思った。それは、作り手の方が着る人のことを考え、大切に想い、そして洋服をまとうことで感じる敬意でもある。
左:2018年春夏コレクションより。 右:2017年秋冬コレクションより。
イッセイミヤケがずっと変わらず大切にしてきたこと、ORJという新しいラインを今の時代に送り出すということをあなたにも感じてもらいたい。
1.皆川魔鬼子(HaaTトータルディレクター)
2.アシャ・サラバイ(デザイナー)
3.高木由利子(フォトグラファー)
4.原由美子(スタイリスト)
(敬称略)
Profile
モデル
1986年 奈良県出身。大学卒業後、モデルとしてのキャリアをスタートさせる。2009年に上京し、国内外のファッションショーに多数出演。ワールドワイドに活躍する一方、舞台「昭和芸能舎 フラガール」に出演するなど、活躍の場を広げている。
HaaT/ISSEY MIYAKE INC.
https://www.isseymiyake.com/haat/ja
https://www.isseymiyake.com/haat/ja/orj/2019aw
Photography by © ISSEY MIYAKE INC.
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