アートディレクターの尾原史和がデザイン、マーチャンダイザーの山田遊が企画を行ったオリジナルグッズ。「こども本の森 中之島」だけで購入ができる。

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幅允孝が描く「こどものための物語の聖地」

2020.4.3

3. マーチャンダイザー・山田遊が「こども本の森 中之島」の新機軸を支える

アートディレクターの尾原史和がデザイン、マーチャンダイザーの山田遊が企画を行ったオリジナルグッズ。「こども本の森 中之島」だけで購入ができる。
Photography by ?Shunsuke Ito

 

「こども本の森 中之島」プロジェクトは、幅さんが声を掛けてくれて参加をすることになりました。僕が独立した時、事務所をシェアしていましたので、幅さんとは長い付き合いです。これまで一緒に仕事をする機会も多く、お互いの目指しているところや感性なども理解し合っていると思っています。今は事務所も別になって、お互い忙しく活動していますので、一緒に仕事をする機会は減っていましたが、今回このプロジェクトで一緒に仕事ができてやはり楽しいと感じています。

「こども本の森 中之島」の施設内にあるグッズショップ。 「こども本の森 中之島」の施設内にあるグッズショップ。

「こども本の森 中之島」の施設内にあるグッズショップ。
Photography by ?Shunsuke Ito

今回のプロジェクトでは、オリジナルグッズの企画やスタッフのユニフォームデザインなどを担当しました。日本の一般的な図書館などでは物販をしているイメージはあまりないと思いますが、海外では珍しくありません。物販を充実させることで収入源になれば、公共の施設の自立・継続を助けることになります。さて、どんなショップにしようかと考えました。
僕がバイヤーとして仕事をしている国立新美術館内の「SOUVENIR FROM TOKYO」や、羽田空港内の「Tokyo’s Tokyo」などのようにセレクトグッズを置いたショップもできますし、「21_21 DESIGN SIGHT SHOP」のように安藤忠雄建築である特性を生かして、安藤忠雄さんの建築物をモチーフとしたグッズをつくって販売することもできる。しかし近くには大阪府立中之島図書館があって、そこにも魅力的なショップがあります。近隣施設との共存や差別化ということも意識して、全部オリジナルグッズにしようと決めたわけです。

 

そんな模索をしているとき、アートディレクターの尾原さんからロゴデザインが上がってきました。見た瞬間、これを使おうと思いましたね。すごくかわいくて、こどもから大人まで親近感を持てる優しい印象。オリジナルグッズのデザインは尾原さんの会社である「ブートレグ」に担当してもらい、グッズ自体は大阪という地を意識して、なるべく関西地方のメーカーにお願いしたいと考えました。そこで、パイン飴で有名な大阪創業のパイン株式会社さんには、施設内の青リンゴのオブジェをモチーフにした「青リンゴアメ」を、大阪に本社があるコクヨさんには、販売60年以上のロングセラー商品「測量野帳」のオリジナルをお願いしました。またタオルの産地である大阪の泉州地域にある神藤タオルさんにはハンドタオル、オリジナルパッケージの「クーピーペンシル」は大阪のサクラクレパスさんが作っています。他にも大阪の山陽製紙さんには「ピクニックシート」、岡山のカモ井加工紙さんには、mtの「マスキングテープ」を作ってもらいました。


大阪のメーカーとの協業でデザインしたスタッフユニフォーム。 大阪のメーカーとの協業でデザインしたスタッフユニフォーム。

大阪のメーカーとの協業でデザインしたスタッフユニフォーム。
Photography by ?Shunsuke Ito

「こども向け」という言葉にすると陳腐な気がしますし、大人が考える「こども向け」というのも、決してポジティブなイメージではありません。もちろんこどもが使うことは意識しますが、大人も心惹かれるものでなくてはと考えました。ここの書架には大人も楽しめる書籍も多いんです。また、安藤忠雄さんの建築ということで国籍や年齢など関係なく、世界中からいろいろな世代の人が来ることにもなるでしょうから、年齢や国籍なども関係なく、すべての人に向けた商品をオリジナルでつくることを意識しました。現在は17点のグッズがありますが、今後もさらなる商品開発をしていくつもりです。

2018年にジャパンハウス ロンドンで開催された「 燕三条 金属の進化と分化」。 2018年にジャパンハウス ロンドンで開催された「 燕三条 金属の進化と分化」。

2018年にジャパンハウス ロンドンで開催された「 燕三条 金属の進化と分化」。
Photography by ?Tsubame-Sanjo Factory Festival Committee

僕はバイヤーという仕事にこだわらず、イベントの企画やギャラリーのディレクション、そしてラーメン屋さんのブランディングまでかなり幅広く仕事をしています。成功したものがあればそれと同じようなものを、と発注されることはありますが、繰り返しでは面白くないですよね。同じようなことをするのは自分も飽きちゃいますし…(笑)。


2020年3月にオープンしたばかりの東京・墨田区にある「KAIKA TOKYO」。 2020年3月にオープンしたばかりの東京・墨田区にある「KAIKA TOKYO」。

2020年3月にオープンしたばかりの東京・墨田区にある「KAIKA TOKYO」。

最近では3月にオープンした東京・墨田区にある「KAIKA TOKYO」というギャラリーのアートストレージを宿泊施設と融合した新しいコンセプトのホテルを手がけました。通常、ストレージにあるアート作品は人の目に触れませんが、このホテルのアートストレージはゲストがストレージを鑑賞して楽しめる工夫をしています。ゲストにもアーティストにもメリットがある空間です。また3年前、ロンドンのジャパンハウスで開催した「燕三条 金属の進化と分化」の展示が評価されて、今秋もまた同じ場所で、岐阜県・飛騨地域の木工の展示をディレクションする予定です。仕事で新しいこと、知らない世界を垣間見られるのは刺激的ですし、とにかく調べものが楽しくて。調べてみると奥が深くてついハマってしまっています(笑)。

山田遊 山田遊

Profile

山田遊 Yu Yamada
method代表
東京都出身。南青山のIDEE SHOPのバイヤーを経て、2007年にmethod(メソッド)を立ち上げ、フリーランスのバイヤーとして活動を始める。21_21 DESIGN SIGHT SHOPなど、さまざまな店のディクレクションを手掛ける。著書に『別冊 Discover Japan 暮らしの専門店』(エイ出版社/ 2013年)、『デザインとセンスで売れるショップ成功のメソッド』(誠文堂新光社/2014)。児童文学作家の神沢利子の孫にあたり、1983年に出版された『ゆうくんとぼうし』のモデルである。

Text by Yoshiko Takahashi
Phorography by ©Nakanoshima Children’s Book Forest
      © method

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