「青森県産鴨のラグーのフェットゥチェッレ パルメザンチーズと黒トリュフ」。「青森県産鴨のラグーのフェットゥチェッレ パルメザンチーズと黒トリュフ」。

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グルメ最前線 トップレストランを探訪する

2023.12.16

「ブルガリ ホテル 東京」で味わう世界的シェフ、ニコ・ロミートの限定ディナー

「青森県産鴨のラグーのフェットゥチェッレ パルメザンチーズと黒トリュフ」。




「ブルガリ ホテル 東京」のシグネチャー・レストラン「イル・リストランテ ニコ・ロミート」にて、2023年12月18日(月)から 12月30日(土)まで、ミシュラン三つ星シェフ、ニコ・ロミート監修のフェスティブ・メニューが登場する。華やかなシーズンを彩る特別なディナーコースだ。
今回はそのメニューの試食をする機会があったので、どこよりも早く紹介しておきたい。

 

 

ニコ・ロミートはイタリアのベストシェフ

 

 

ニコ・ロミート氏は、イタリアを代表するシェフだ。イタリア中部のアブルッツォ州出身のロミート氏は、同州にある自身のレストラン「Reale(レアーレ)」でミシュラン3つ星を有する。世界で最も著名なシェフの一人であり、サンペレグリーノが主催する「世界ベスト50レストラン」でも16位にランクインしている。また2014年以来、イタリアの最も権威ある美食ガイド『ガンベロロッソ』によって、ベストイタリアンシェフに挙げられている。






「イル・リストランテ ニコ・ロミート」店内。 「イル・リストランテ ニコ・ロミート」店内。

「イル・リストランテ ニコ・ロミート」店内。




ニコ・ロミート氏。 ニコ・ロミート氏。

ニコ・ロミート氏。



そんな彼は東京を含めて世界の7都市にあるブルガリ ホテルズ & リゾーツのメインダイニングを監修している。東京八重洲にある「イル・リストランテ ニコ・ロミート」の厨房を実際にあずかるシェフはマウロ・アロイシオ氏だが、当店は、最新のミシュラン2024にて、開店8カ月にもかかわらず、1つ星を獲得したばかりだ。

 

 

ポテトクリームと白トリュフの衝撃

 

 

さて、肝心の料理だ。挨拶代わりに出てきたのは、ニコ・ロミートと言えばこれだよとされる、野菜スープ「ベジタブル アブソリュート」である。玉ねぎ、ニンジン、セロリで作るのだが、水は一滴も加えていない。見た目はコンソメのように澄んでいて、野菜の旨味がジワリと口中に染みわたる。微量のシャンパンとオリーブオイルがもたらすわずかな酸味が後を引く。味蕾が覚醒した。





野菜スープ「ベジタブル アブソリュート」。 野菜スープ「ベジタブル アブソリュート」。

野菜スープ「ベジタブル アブソリュート」。






「黒富士卵のポーチドエッグ ポテトクリームと白トリュフ」。 「黒富士卵のポーチドエッグ ポテトクリームと白トリュフ」。

「黒富士卵のポーチドエッグ ポテトクリームと白トリュフ」。






「私の料理は食材に重きを置くことが特徴で、軽さと季節感を大事にしている」とロミート氏本人が語るそのままの姿勢を、最初の一皿目から感じることができる。衝撃を受けたのは「伊勢海老とセロリラブのサラダ」に続く、「黒富士卵のポーチドエッグ ポテトクリームと白トリュフ」だ。
滑らかなポテトだけでも美味しすぎるのだが、イタリアからやってきた最高級の白トリュフの芳香が凄い。そこに標高1100mの放し飼いで育った鶏の濃厚な卵黄を加えるのだ。昇天せよと言わんばかりの大地の恵みのコンビネーションである。Ginori1735の皿に一筋すら残したくなかった。

 

 

次が「青森県産鴨のラグーのフェットゥチェッレ パルメザンチーズと黒トリュフ」。手打ちのフェットゥチェッレは、一般的なフェットチーネよりもやや厚く幅もやや広い。味の深い鴨のラグーに、細く削りだしたイタリア産の黒トリュフが絡み合って、ソースは濃厚極まりない。パスタがなくなってからも、パンですべてをぬぐって食べた。合わせた赤ワインがとてもいいと思ったら、「リドルフィ・ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」だった。

「日本の食材はとても素晴らしいが、オリーブオイル、小麦、トリュフ、パルミジャーノなどは、イタリア産を使っている」とロミート氏は話す。やはり、イタリア料理の骨格をなすそれらの食材は本国のものじゃないと再現性が難しくなるのだろう。確かに、このアブルッツォ州の小麦で作ったパンは、香り高くて水分量が多く、周りはカリカリなのに中身はとても柔らかく、小麦の風味が実に豊かだ。思わず食べ過ぎてしまう。

 

 

2種のデザートはKOパンチの威力

 

 

さて、メインの「仔牛のロースト ポテトのロースト マッシュルーム 白トリュフ」である。イタリア産の仔牛はきめ細やかでしっとりと柔らかく、合わせた白トリュフは料理の美味しさを倍増させていた。実に大団円にふさわしい。ちなみにキノコのローストは、私たちの口に親しいマイタケとシイタケである。この日に出された赤ワインは風味豊かな「グラッタマッコ・ボルゲリ・ソッロ・スペリオーレ」、すべてを説明しなかったが、それぞれのペアリングも見事だった。





仔牛のロースト ポテトのロースト マッシュルーム 白トリュフ」。 仔牛のロースト ポテトのロースト マッシュルーム 白トリュフ」。

仔牛のロースト ポテトのロースト マッシュルーム 白トリュフ」。






ここでひと心地ついていたら、大団円には追撃があった。デザートの「シトラスのセミフレッド」と「ニコ・ロミートパネットーネとチョコレート ヘゼルナッツソース」だ。前者は日本のデコポンを用いたもので、酸味も甘味もこの上ないほどのオレンジキャラメルソースを生み出していた。ワインで夢心地だったのが、両目がハッと見開くほど美味しさが力強い。










「シトラスのセミフレッド」。 「シトラスのセミフレッド」。

「シトラスのセミフレッド」。





「ニコ・ロミートパネットーネとチョコレート ヘゼルナッツソース」。 「ニコ・ロミートパネットーネとチョコレート ヘゼルナッツソース」。

「ニコ・ロミートパネットーネとチョコレート ヘゼルナッツソース」。







後者には、はっきり言って衝撃を受けた。筆者はこれまでイタリアのクリスマス菓子であるパネットーネはフルーツケーキくらいにしか思っていなかったのだが、シェフの名前を冠するだけあって、このパネットーネはとても柔らかく軽いのに味わい深く、人生のベスト1の美味しさだった。薄めの切り出し方が絶妙にいいのである。予想もしないところでKOパンチを食らったようなものである。

 

実際のメニューにはパスタがもう一品ふえる。地上40階に広がる優雅で特別な空間で供される晩餐は、年末を飾るにふさわしい祝宴となるのは間違いないだろう。











■展開日時:2023年12月18日(月)~12月30日(土) ディナータイム
■価格 38,000円 (税・サービス料込)
■予約受付 03-6262-6624 (レストラン予約直通番号/受付時間:10:00 – 19:00)

*上記期間、ディナータイムは27,000円(通常メニュー)および38,000円(フェスティブ・ メニュー)のコース2種を提供。
*12月22~25日のディナータイムは、フェスティブ・メニューのみ。

文:石橋俊澄
Toshizumi Ishibashi

慶應義塾大学大学院文学部フランス文学科修士課程修了後、文藝春秋入社。「週刊文春」、「マルコポーロ」、「文藝春秋」、「ノンフィクション出版部」などを経て、「クレア・トラベラー」、「クレア」、「増刊ムック編集部」で編集長を歴任、最終は編集委員。私財での海外グルメ旅行は数知れず、また、5年間に及ぶ「クレア・トラベラー」時代には、30カ国余で最上の食巡りをする。公私にわたる食体験で衝撃を受けた店を7つ挙げれば、フランス・マントン「ミラズール」、パリ「エピキュール」、スペイン・ジローナ「エル・セジェール・デ・カンロカ」、イタリア・ソレント「トッレ・デル・サラチーノ」、香港「大斑樓」と「アンバー」、東京「セザン」。現在、食・ホテル・旅館から歴史・医療・ビジネスもののエディター兼ライター。

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