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日本人の精神性が宿る、世界のレクサス(前編)

2021.1.26

レクサスTAKUMI伊藤好章がこだわる「レクサスらしさ」の追求

Photography by ©LEXUS

世界の高級車と認知される「LEXUS(レクサス)」ブランド。トヨタ自動車が圧倒的な快適性と卓越した品質を備え、世界の一流高級車として1989年に北米でデビューさせたLS(日本名:セルシオ)からスタート。日本での展開は2005年からと歴史は浅いが、わずか約30年、世界で評価されるブランドへとのぼりつめた。その背景にあるのは日本人のモノづくりへのこだわりと、「レクサスらしさ」とはなにかを常に追究しつづけたことだという。どこよりも短い時間で「ブランド」を確立できた、と評価されるレクサスは、いま、なにを考えてクルマづくりをしているのだろう。看板車種が改良された機会をとらえて、開発者への取材をおこなった。


“すっきり奥深い”かどうかが、レクサスの走りの決め手になる

 

「クラフツマンシップ」が、レクサスを作りあげる。クラフツマンとは手工業の分野で、卓越した技能を持つ熟練職人を指して使う言葉。工場で作るクルマとは相容れなさそうな概念だ。しかし、然(さ)にあらず。レクサスがグローバルで高い評価を得ているのは、TAKUMIと呼ばれるひとたちがクルマづくりにかかわっているからだという。

 

クルマを好きなひとなら、”味つけ”と聞いてピンとくるだろうか。いちぶのメーカーでは、自社の製品に共通する味つけをすることに余念がない。たとえばドイツのポルシェ。リアエンジンの看板車種「911」から、大きめのSUV「カイエン」にいたるまで、車型にかかわらず、操縦した感覚に近いものを感じる。

 

クルマなんて、どれを運転しても同じじゃないの?と思うかもしれない。四角い箱が4つの車輪にくっついているだけではないか。ところがそれだけではないのが、クルマのおもしろいところ。ひとの手が入って、運転したときの個性が出てくる。だから、これだけの数のメーカーが存在していられるともいえる。


レクサスグランドエキスパート TAKUMIの伊藤好章が運転するのは、レクサスLS。 レクサスグランドエキスパート TAKUMIの伊藤好章が運転するのは、レクサスLS。

レクサスグランドエキスパート TAKUMIの伊藤好章が運転するのは、レクサスLS。

いまのレクサス車も、運転して”これはいいなあ”とけっこう感動するクルマになっている。TAKUMI(匠)とよばれるひとたちがかかわって、「すっきりと奥深い」という目標の下、レクサスならではの操縦感覚を作りあげているからだ。

レクサスの伊藤好章は、そのTAKUMIのひとり。伊藤と、そのチームとで、車両の運動性能を担当している。レクサスには豊田章男マスタードライバーがいて、全体の方向性を決める。TAKUMI(たち)は、どうしたら、そのテイストが実現できるか、クルマづくりを担当するエンジニアとともに、開発にたずさわる。

 

クルマは、車体の設計やサスペンションの設定などで、動きが大きく変わる。どんなふうに動かすと、レクサスならではの「すっきりと奥深い」味が生まれるか。伊藤らは、設計者と連絡をとりあいながら、テストコースを含めたさまざまな道路でクルマを走らせ検証していく。


レクサスTAKUMIである伊藤がすべてのモデルの味付けを行っていく。 レクサスTAKUMIである伊藤がすべてのモデルの味付けを行っていく。

レクサスTAKUMIである伊藤がすべてのモデルの味付けを行っていく。

たとえば、2020年11月5日に、ビッグマイナーチェンジを受けて発表された「レクサスIS」。マイナーチェンジという言葉から想像されるより、はるかに凝った改良が、あらゆるところにほどこされている。じっさいに運転すると、じつに気持ちよくクルマが動く。そこは伊藤のねらいどおり。

「ISでこだわったのは、コンパクトな車体をきびきびと走らせるところです。スポーツセダンのよさを、レクサスなりに表現しようというのが、私たちの目標でした。(レクサスがクルマづくりで目指す)“すっきり奥深い”の“すっきり”とは、ステアリングホイールを切ったときに、車体の動きに遅れがない、応答性が高いことではないかと考えました」。

 


クルマの味付けをすることで、レクサスの一貫性をデザインする

 

実際、2019年からこのかた、レクサス車における操縦しての楽しさは、注目に値するほど、向上している。ラグジュリアスなフラッグシップクーペ「レクサスLC」にはじまり、マイナーチェンジしたクーペ「レクサスRC」、そしてセダン「レクサスIS」と、フラッグシップセダン「レクサスLS」にいたるまで、同様だ。

 

乗り込んで走り出し、ステアリングホイールを切った途端に、いままでとはずいぶんちがう走行感覚に驚くかもしれない。もちろん、サーキットまで走れてしまうLCやRCと、後席にひとを乗せることも多いひとのためのLSとでは、だいぶ走行感覚がちがう。


伊藤はステアリングホイールのフィーリングや各スイッチの配置、操作性、そのすべてにレクサスらしさを追求していく。 伊藤はステアリングホイールのフィーリングや各スイッチの配置、操作性、そのすべてにレクサスらしさを追求していく。

伊藤はステアリングホイールのフィーリングや各スイッチの配置、操作性、そのすべてにレクサスらしさを追求していく。

でも、たとえばLCは足まわりがガチガチに硬められているわけでなく、適度に気持ちよくしなるし、カーブでステアリングホイールを切ったときも、じわっと車体が傾いていくいい感じがある。一方、LSはやたらソフトでなく、しなやか、という言葉が合うような乗り心地。

 

「クルマと“対話”しながら乗っていられるように」というのが、マスタードライバーの思いであり、伊藤らの開発目標なのだそうだ。スポーツクーペでもラグジュアリーセダンでも、味はちがうけれど、ひとりの優秀なシェフが仕上げたような共通性が感じられるのはそのせいだろう。そういえば、ドイツでは、伊藤のような立場にいるひとのことをシェフと呼ぶ。味つけのプロとみたら、通じるものがあるともいえる。


2020年11月にマイナーチェンジを行った新型IS。プラットフォームはそのままだが、外装は大幅に手が加わった。“Agile(俊敏)&Provocative(挑発的)”というデザインコンセプトのもと、よりワイド&ロースタイルとなった。 Photography by 🄫LEXUS 2020年11月にマイナーチェンジを行った新型IS。プラットフォームはそのままだが、外装は大幅に手が加わった。“Agile(俊敏)&Provocative(挑発的)”というデザインコンセプトのもと、よりワイド&ロースタイルとなった。 Photography by 🄫LEXUS

2020年11月にマイナーチェンジを行った新型IS。プラットフォームはそのままだが、外装は大幅に手が加わった。“Agile(俊敏)&Provocative(挑発的)”というデザインコンセプトのもと、よりワイド&ロースタイルとなった。Photography by 🄫LEXUS


2020年11月にマイナーチェンジを受けた新型LSは“人の感性に寄り添った”最新の高度運転支援技術の「Lexus Teammate」(レクサス・ティームメイト)が採用されている。 Lexus Teammateに含まれるAdvanced Drive搭載車は2021年中に発売予定。 Photography by 🄫LEXUS 2020年11月にマイナーチェンジを受けた新型LSは“人の感性に寄り添った”最新の高度運転支援技術の「Lexus Teammate」(レクサス・ティームメイト)が採用されている。 Lexus Teammateに含まれるAdvanced Drive搭載車は2021年中に発売予定。 Photography by 🄫LEXUS

2020年11月にマイナーチェンジを受けた新型LSは“人の感性に寄り添った”最新の高度運転支援技術の「Lexus Teammate」(レクサス・ティームメイト)が採用されている。

Lexus Teammateに含まれるAdvanced Drive搭載車は2021年中に発売予定。

Photography by 🄫LEXUS

伊藤の大事な仕事は、じつはもうひとつある、という。次世代のTAKUMIの養成だ。

 

「クルマの動きをどう読んで、どこを直すべきかをエンジニアに伝えること。それが運動性能のTAKUMIの仕事です」と言うだけあって、たとえばサスペンションの重要な部品であるダンパー。操縦性や乗り心地に大きく作用するこのピストン型のショック吸収装置の設定を決めるのに、テストコースを数えきれないほど周回。ダンパーの調整係に、細かい数字で指示を出しながら、望んだ動きになるよう、縮みと伸びの設定をしてもらう。

 

「考えた通りにクルマが動くようにするためには、クルマの動きをすべて知っている必要があります。ロール(カーブを曲がる際の横方向への傾き)、ピッチ(加減速時の前後方向への傾き)、ヒーブ(横から見た時の上下方向の動き)、この3つにおいて、サスペンションの動きを解析し、スタッフとセッティングに取り組みます。私の後進を育てている最中で、経験が浅いと、ロールの解析に長けていても、ピッチングはいまひとつとか、苦手分野があったりします。それを克服する手助けも、TAKUMIの重要な仕事なんです」。

 

からだの感覚を言葉と数値に置き換え、そこからプロダクトを完成へと導いていく。クラフツマンシップにおいては技能伝統が重要な課題であるとはいえ、上記の話を聞いていると、クルマの分野はウルトラC級(古い)のむずかしさと思えてくる。

 

それを実現しているひとたちがいるレクサス。クルマとは時として総合芸術にたとえられるように、あらゆる知見が詰まっている。それに納得させられるのだ。


Text by Fumio Ogawa
Photography by Atsuki Kawano

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