気鋭の絵本作家、長田真作さんのお気に入りの銀座夜7時は、「銀座木村家」

Lounge

Tokyo, 7 p.m.

長田真作のGINZA 夜7時

2019.12.26

気鋭の絵本作家が愛する味、「銀座木村家」のあんバターを頬張った日のこと

デビューからわずか4年で手掛けた絵本は30冊以上。気鋭の絵本作家として知られるのが、長田真作さんだ。目的もなく上京した彼が、最初に案内された銀座の街で出会ったのは驚くほどおいしいパンだった。

友人の姉の紹介で
初めて訪れた銀座

「18歳のときのことで記憶があいまいですが」と前置きしたうえで、長田さんは銀座との出会いを語りはじめた。広島・呉の高校を卒業し、上京後、障害児童の学童施設でアルバイトをしていた彼は、バイト先で意気投合した友人の姉の案内で銀座を訪れたと言う。

ずらりと並ぶあんぱんを品定め中の長田さん。 ずらりと並ぶあんぱんを品定め中の長田さん。

ずらりと並ぶあんぱんを品定め中の長田さん。


「あなたたち、東京を知らないでしょう? 私が案内してあげるわよ」。そう誘ってくれたのは女優の満島ひかりさん。長田さんの友人は彼女の弟で、現在は俳優として活躍中の満島真之介さんだったのである。「それが初めての銀座でした。ひかりさんに『お腹空いてない? おいしいパンがあるのよ』と案内してもらったのが銀座木村家でした」。

お目当てのあんバターを購入後は、喫煙具を見にいったり、本を探したりするのが、長田さん流の銀ブラ。 お目当てのあんバターを購入後は、喫煙具を見にいったり、本を探したりするのが、長田さん流の銀ブラ。

お目当てのあんバターを購入後は、喫煙具を見にいったり、本を探したりするのが、長田さん流の銀ブラ。

ときには買ってすぐに
食べてしまう、あんバター

そこで出会ったのが「あんバター」だ。自らを「無類のあんこ好きで、あんパンが大好き」と笑う長田さんが、まず驚いたのは大きさ。さらにバターの柔らかな触感もあいまって、第一印象は衝撃的なおいしさだったと話す。

あんバター。十勝産の粒あんと北海道産のホイップバターをソフトなフランスパンで包んでいる。一つ出来上がるまでに7時間をかけている逸品だ。250円(税込み)。 あんバター。十勝産の粒あんと北海道産のホイップバターをソフトなフランスパンで包んでいる。一つ出来上がるまでに7時間をかけている逸品だ。250円(税込み)。

あんバター。十勝産の粒あんと北海道産のホイップバターをソフトなフランスパンで包んでいる。一つ出来上がるまでに7時間をかけている逸品だ。250円(税込み)。


数々のお店であんバターぱんを試したものの、銀座木村家は(触感が)ソフトで完璧な調和があり、この味を超えるものはいまだ出会えていないのだという。「銀座に来ると確実に買って、その辺を歩きながら食べてしまいます。そんな気楽さもいいんです」。

「知らない間にプレミアムな商品が出ていて、足しげく通わないと置いて行かれます(笑)」と長田さんが注目したのが、大人のあんバター。北海道産ホイップバターとガラムラム酒を使った香り豊かな風味が特徴。280円(税込み) 「知らない間にプレミアムな商品が出ていて、足しげく通わないと置いて行かれます(笑)」と長田さんが注目したのが、大人のあんバター。北海道産ホイップバターとガラムラム酒を使った香り豊かな風味が特徴。280円(税込み)

「知らない間にプレミアムな商品が出ていて、足しげく通わないと置いて行かれます(笑)」と長田さんが注目したのが、大人のあんバター。北海道産ホイップバターとガラムラム酒を使った香り豊かな風味が特徴。280円(税込み)

昭和の文豪たちが愛した
銀座の様子に思いを巡らせる

銀座の街について話を聞くと、その視点が実にユニーク。昔から父親の影響で敬愛していた昭和の文豪たちが、銀座で飲み歩いていた時代の風景に憧れがあるのだ。開高 健、安岡 章太郎、吉行淳之介、太宰 治、安部公房、井伏鱒二など、彼の口から次々に文豪の名があふれてくる。

2階のカフェに来るのははじめて。銀座通りを見渡せる。 2階のカフェに来るのははじめて。銀座通りを見渡せる。

2階のカフェに来るのははじめて。銀座通りを見渡せる。


「銀座に憧れがあるのはその世代の作家の影響。朝まで呑んで筆に血と汗を載せていたように、絵筆に昨日のアルコールを載せて、と理想を描きますが私には無理があります」。しかし、パイプを愛した開高 健を意識して喫煙具の専門店・銀座菊水へ足を運んだり、銀座 蔦屋書店(GINZA SIX内にある)で海外の文芸に触れたりと、自分だけの銀座の楽しみ方もあるのだとか。

2階の喫茶はコーヒーがおいしいとのこと。写真はあんぱんセット 1050円(ドリンク付/税込み)。 2階の喫茶はコーヒーがおいしいとのこと。写真はあんぱんセット 1050円(ドリンク付/税込み)。

2階の喫茶はコーヒーがおいしいとのこと。写真はあんぱんセット 1050円(ドリンク付/税込み)。

現在は来春に発売を準備している新刊『ほんとうの星』『そらごとの月』の準備に忙しい。内容は文学、哲学、アートなど、様々な要素を含んでいるように感じられた。とにかく一口には説明できない感覚なのだ。そんな長田さんだけに、これからも昭和の文豪に憧れながら自分だけの銀座の楽しみをこれからも見つけてくれるに違いない。

長田真作 Shinsaku Nagata
絵本作家
1989年、広島県呉市生まれ。地元の高校を卒業後、上京。偶然見つけた張り紙で障害児童の学童施設でアルバイトを経験。2016年、絵本作家としてデビューする。『かみをきってよ』(岩崎書店)、『タツノオトシゴ』(PHP研究所)、『光と闇と ルフィとエースとサボの物語』(集英社)、『みずがあった』(現代企画室)、『もうひとつのせかい』(現代企画室)『ぼくのこと』(方丈社)など著書多数。また、小沢健二のテレビ番組用人形劇や公式ライフグッズを手掛けるほか、伊勢丹とのコラボレーションなど幅広い活動を行う。
https://www.nagata-shinsaku.com/

◆最新刊『ほんとうの星』『そらごとの月』2020年3月14日発売予定
絵本の既成概念を打ち破る創作で活躍する長田真作さんの最新刊『ほんとうの星』、『そらごとの月』が303BOOKSより2020年3月14日発売予定(予定価格は各1800円+税)。この新刊では独創的なアニメーションを駆使した映像や、著名人との対談など、一般的な絵本にはないプロモーションも展開し、目が離せない。

最新刊『ほんとうの星』『そらごとの月』 最新刊『ほんとうの星』『そらごとの月』

◆銀座木村家 Ginza Kimuraya
創業明治2年を誇る銀座の老舗。こちらで販売されているもののほとんどを、ビル上階にある工場が焼き上げている。最近は外国人観光客にも人気が高い。

 

東京都中央区銀座4-5-7
1F ベーカリー/10:00~21:00、2F 喫茶/10:00~21:00(LO 20:00)
定休日:無休(大晦日・元旦を除く)
03-3561-0091
http://www.ginzakimuraya.jp/

Text by Tsuyoshi Kawata
Photography by Tatsuya Ozawa (Studio Mug)
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