カルチャー

石川康晴氏が語る「現代アート×ビジネス」が導く未来-Vol.2

2016.11.04

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グループ売上高1千億円以上を誇るアパレル企業「ストライプインターナショナル」の代表取締役社長にして、日本屈指の現代アートコレクターでもある石川康晴氏。彼は何故、自ら財団を設立し、地元・岡山で現代アートの大型国際展を開催するなど、アートに並々ならぬ情熱を注ぐのでしょうか。
Vol.1に続いて、NewsPicksとアマナによるコラボレーションイベント「アートと創造性、アートと経営:石川康晴社長に聞く」で語られた言葉と展望についてレポートします。

「まだ形のないアート作品に投資をする」という発想

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世界の第一線で活躍する実力派アーティストたちを世界から岡山の地に招聘し、食や建築など地元の文化的資産と掛け合わせることで、次世代に向けて新たな価値を紡いでいく試み——「岡山芸術交流 2016」。
Vol.1では、自ら総合プロデューサーを務めるなど、石川康晴氏がこの大型アートイベントに力を注ぐ理由や背景が語られました。前回に引き続き、「NewsPicks」編集長の佐々木紀彦氏と、株式会社アマナによるアート写真メディア「IMA」エディトリアル・ディレクターの太田睦子氏をモデレーターに、石川氏が考える「現代アート×ビジネス」の可能性を掘り下げていきます。

太田睦子:今まさに、日本各地で地域再生のためにアートが使われています。直島など瀬戸内をはじめ、新潟の越後妻有、愛媛の道後温泉など大きな取り組みからより小さなものまで、さまざまな芸術祭やアートのイベントが日本中で百花繚乱に“乱立”している状態です。その状況に対して、「岡山芸術交流」はものすごくハイエンドな作品を持ち込みつつ、果敢に切り込んでいきましたね。

石川康晴:確かに、今や地方各地で芸術祭が乱立しています。問題は、民間企業の積極的な参加や地域振興のための基金による支援だけでなく、そこに自治体や国が関わっていくスキームをどう構築していくか。現状について一言でいえば、ビジネスモデルがないままに開催されているものが多いですね。でも「岡山芸術交流」の場合は、初めての開催ながらこの部分をしっかりできたという手応えがある。だからこそ「この先20年は続けていけるかな」と考えているのです。日本全国、そして世界の大型国際展と比べても、見落とりしない内容になったと思います。

佐々木紀彦:今回の出展作品だけでなく、石川さんご自身がアートを購入される場合も、どちらも今この時代を生きているアーティストによるものがほとんどです。投資をするアーティストの見定め方など、アートに投資する際に見ているポイントはありますか?

石川:例えばアパレルECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの社長、前澤友作さんの場合は、歴史的にも素晴らしいアート作品を日本に残すため、オークションなどのセカンダリーマーケットを通じて、普通では手に入れることのできない50億、60億もの作品を買われています。僕は、こういう方は日本に必要だと思っています。その一方で、まだ作品が完成していない、いわば構想の段階でドネーションする経済人がいてもいい。そしてそれが、文化に対するパトロンの本質的な意味だと思っています。

 

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