カルチャー

「プレミアムな日本映画」 vol.2

年末年始に観たい映画 5選 【ドキドキ編】

2016.12.28

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“時間のある年末年始だから観たい日本映画”をシリーズでお届け

年末年始のお休みももうすぐそこ。久しぶりにまとまった時間が取れる方も多いのではないでしょうか。『プレミアムジャパン』では、そんなときだからこそじっくり堪能したい、のちの作品に大きな影響を与えた“プレミアムな”日本映画を、3回連続でご紹介します。

前回の【笑える編】に続き、今回は【ドキドキ編】。ハラハラドキドキ、アドレナリンが出るのも映画鑑賞の醍醐味です。さて、ライターの鈴木真人さんがおすすめする5作品とは?

 

■『仁義なき戦い』

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昭和21年、広島県呉市の闇市から物語は始まる。白昼に若い女性を暴行しようとするアメリカ兵、縄張りをめぐって衝突するゴロツキども……。終戦から1年、町はまだ無秩序と混沌の中にあった。

『仁義なき戦い』は、実際に広島で起きたヤクザ同士の抗争を描いている。当事者の1人だった美能幸三が書いた手記がベースで、彼をモデルにした広能昌三が主人公だ。魅力的な人物で、菅原文太はこの役をやりたいと自ら志願した。

広能は友人を襲った男を射殺して服役する。出所後は土建屋から暴力団になった山守組に入った。組長の山守義雄は金儲けの才はあるが器の小さい男で、人望は薄い。山守組は勢力を拡大するが、子分たちは血みどろの抗争を始める。裏切りが繰り返され、主導権を握るためには敵の殺害もいとわない。

常に揺れ動くカメラがむき出しの暴力を活写する。リアルな映像がそれまでの様式的な任侠映画を過去のものにした。斬新な映像は海外でも高く評価され、クエンティン・タランティーノらに多大な影響を与えた。

時代と舞台は『この世界の片隅に』のラストと同じである。北條すずが将来へのささやかな希望を抱いた同じ場所で、男たちは謀略にまみれた争いを繰り返していた。
「こんなあの考えちょることは理想よ。夢みたいなもんじゃ。山守の下におって、仁義もクソもあるかい。現実いうもんはのお、おのれが支配せんことにゃ、どうにもならんものよ」
広能の兄貴分である坂井鉄也(松方弘樹)が言い放ったセリフである。

『仁義なき戦い』(1973年)
監督:深作欣二
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