こだわりから生まれた南部鉄器の「朱肉入れ」

2015.12.24

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天然素材を使った手仕事がつくり出す、本当に心地良いもの

南部鉄器でつくられた朱肉入れ。これは、「ヨーガンレール」「ババグーリ」のデザイナーとして活躍した故ヨーガン・レールさんが自身で使うためにデザインしたものです。

生前、「自然に還らないプラスチックは、地球上にこれ以上必要ありません」と訴え続けたレールさん。ブランドでのものづくりとともに、自身のライフスタイルでも、人や地球にやさしい天然素材や手仕事によるものを大切にしていました。朱肉入れと言えばプラスチック製が一般的な中、この質感や手触り、重み、洗練されたデザイン、すべてがとても貴重です。

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かつて一般に普及していた実用品を変わらずつくり続ける難しさ

南部鉄器のつくり手は「釜定」の宮 伸穂さんです。「釜定」は、明治の末頃に南部鉄瓶専門店として創業しました。当時は実用品として鉄瓶が広く使われていましたが、戦後は需要が激減。2代目は南部鉄器での鍋や釜もつくり始め、独自のデザインや量産の技術を開発したそうです。

3代目の伸穂さんは、量産が市民権を得ていた1970年代に、あえて古い仕事のやり方に回帰しました。量産の工房を切り離し、手仕事に徹したのです。その挑戦はとても大変なものでしたが、昔ながらの伝統を受け継ぐ老舗として今の「釜定」があるのは、そのお陰です。

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合理的じゃないようでいて、理に適った昔ながらのやり方

「釜定」の工房を見学したレールさんは、その在り方に驚いたといいます。たとえば、工房は土間になっていて、クッション性のある土が長時間の立ち仕事をサポート。この土はふるいにかけられ、粒の大きさによって鋳型づくりや補修にも使用。天然の消火剤にもなります。

材料の鉄はリサイクル。壊れた鉄瓶や失敗作も、再度溶かせば新しい南部鉄器となります。そんな環境へのやさしさ、職人の仕事ぶりに、「日本の手仕事の現場にかすかな希望を見るようだ」と語ったレールさん。伝統の中には、理に適った美しい合理性があったのです。

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■お問い合わせ

朱肉入れ 
サイズ:6.2㎝×高さ2㎝
カラー:漆黒、漆茶
1万3000円(税抜き)

http://www.jurgenlehlshop.jp/jp/b_ironware/etc.html

 

ヨーガンレール/ババグーリ
電話:03-3820-8825

 

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