グルメ

銀座にある米屋であって米屋でないAKOMEYA TOKYO:「お米が主役」vol.11 柏木智帆

2016.01.12

 

rd850_akomeya
日常食のお米を“ちょっといいもの”に

東京・銀座にある「AKOMEYA TOKYO」は、お米をメインに据えたセレクトショップ。日常食であるお米のイメージが“ちょっといいもの”に変わるお店です。

AKOMEYAのオープンは、2013年4月。欧米文化を取り入れたライフスタイルの提案をしている会社「サザビーリーグ」が、初めて日本の文化に着目。日本の家庭の食卓を豊かにしようと始めた業態です。

「日本の文化の中で一番いろいろな人に受け入れてもらえるものが食ではないかと。そして、やはり日本の食の中心には、お米があるのです」と話すのは、サザビーリーグAKOMEYA事業部の八木彩さん。「どんなおかずと組み合わせたらごはんが楽しめるか、どんなものが並べば食卓が豊かになるか、どんな器に料理を盛ったらいいか、どんな調理器具でごはんを炊いたらおいしくなるか。食卓を囲む環境もきれいなほうがいよねということで、食・住・衣のライフスタイルをトータルで提案することになったのです」

八木さんによると、店名の「AKOMEYA」には2つの意味が含まれています。1つは、「A KOMEYA(一軒の米屋)」。もう1つは、「A(エイ)」は英語ネイティブ圏で否定の接頭辞を意味するといい、「A KOMEYA(米屋でない)」。つまり、米屋であって米屋でない。お米から派生する文化の広大さを体感させてくれるお店です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA
暮らしのささやかな「ハレ」を見つけに

3階建ての店舗は、ちょっぴり気品のある佇まい。レストラン「KIHACHI」(現在は東京・青山)だった場所を居抜きしたと聞き、納得です。

1階には、日本の食卓を豊かにするためのさまざまな食品を展開。お米の他に、味噌や醤油などの調味料、加工食品、酒、菓子などがそれぞれ多種類に並んでいます。さらに、レストラン「AKOMEYA厨房」も併設。店で扱う商品を実際に味わうことができる、いわば“有料試食”の体験の場です。

お米は、常時20数種類の品種を取り揃え、1キロから店頭精米で量り売りしています。精米度合いは、白米、7分搗き、5分搗き、3分搗き、玄米の5段階。扱うお米は、AKOMEYAが試食をしてみて「おいしい」と思えるものを客目線で選んでいます。中でも、AKOMEYA開店以来の一押しのお米は、山形県「黒澤ファーム」が生産した特別栽培米の「つや姫」という品種。上品な甘みと粘り、さらりとした噛み心地、快い喉越しなどが特徴のお米です。

店頭でのお米の試食や、お試しサイズの3合入りのお米の販売など、お米の味の違いを知り、好みのお米を見つけられる工夫が散りばめられています。

2階には、キッチン道具や器など、食卓を彩る雑貨が充実。伝統工芸や工業製品など、日本の優れた技が光る商品を取り揃えています。並んでいるのは、「古い伝統につながるもの」と「しがらみのない新規のもの」。そして、「手作りの匠の作品」と「高度な工業製品」。見方によっては相反する両者を取り込み、AKOMEYAらしい新たなスタイルを表現した売り場です。

AKOMEYAで扱う全商品の選定条件は、「究極の逸品」「最高の日常使い」「個性的」の3つ。日常生活をちょっと豊かに、ちょっと贅沢に。きっと暮らしのささやかな「ハレ」が見つかります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
高まるお米の魅力 変わるお米への意識

AKOMEYAの3階では、予約制でさまざまなイベントを開催。定期的に開かれる「利きの会」では、さまざまな食材の食べ比べを通して、その違いを楽しみ、自分の好みを発見できます。お米の場合は、品種別や分搗き別、炊飯道具別で味の違いを体験。お酒やご当地ビールなどいわゆる「利き酒」のほか、塩や醤油、味噌といった調味料の食べ比べなど、趣向はさまざまです。

1階、2階でも、年間を通して季節ごとの暮らしや伝統行事をより豊かにする提案をしています。現在は1月31日まで、神奈川県小田原市の薗部産業による「木のうつわ 木の道具」を開催中。食卓に木のあたたかみをもたらす器を取り揃えています。

店がオープンしてから間もなく3年。八木さんは、「お客様のお米に対する関心がだいぶ変わった」と実感しています。「オープン当初は、多くの人が毎日お米を食べているものの、味の違いに意識が向いていなかったと思うのです。『ごはんは、ごはんだよね』と。しかし、お米を購入する際にお米の好みを具体的に伝えてくださるお客様がいたり、お米を結婚式の引き出物や内祝いなどギフトに使っていただいたりするようになっています」。

ひとくちにお米といっても、味、品種、食べ方はさまざま。年々お米の消費が減っているなか、AKOMEYAはお米を中心とした食卓全体からライフスタイル全体までを提案することによって、結果としてお米そのものの魅力を高めているのです。

 

■お問合せ
AKOMEYA TOKYO
住所:東京都中央区銀座2−2−6
http://www.akomeya.jp/
写真提供:AKOMEYA TOKYO(1枚目)

取材・文/柏木智帆

【柏木智帆の〈お米が主役〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/chiho-kashiwagi/

《プロフィール》

柏木智帆

フリーランスライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材活動をする中、生産の現場に立つために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたって千葉県で無農薬米をつくりながらおむすびのケータリング屋を運営。2014年秋からは消費や販売に重点を置くため都内に拠点を移して「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに活動。神奈川新聞契約ライター。「日常茶飯」をテーマにお米とお茶のお取り寄せサイト「和むすび」(http://www.wa-musubi.jp)を運営

 

Area