勝沼醸造 アルガブランカ・ヴィニャル・イセハラ2014「いますぐ飲みたい日本ワイン」 vol.18 柳忠之

2016.02.17

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甲州に見つかった香り成分

前回、甲州は香りがニュートラルな品種としたうえで、じつはアロマティックな甲州があることにも言及しました。今回はその話です。

ブドウ品種には香りの強いものと弱いものがあります。例えばマスカットはブドウの状態からあの甘い香りが漂い、ワインに醸造してもその香りが強く残ります。反対にシャスラという品種は、ブドウのままでもワインにしても、さほど特徴的な香りはしません。ところがしばしばグレープフルーツやパッションフルーツの芳香が感じられるソーヴィニヨン・ブラン。この品種はワインだとあれほどプンプン香るのに、ブドウ果汁からはさほど強い香りが出てこないんですね。

なぜかというと、ブドウの果汁中では香らない形で存在し、発酵中、酵母の働きなどで初めて香りが解き放たれる物質が存在するからです。これをアロマプレカーサー、香りの前駆体と呼んでいます。

ソーヴィニヨン・ブランは3MHという前駆体をもっていて、これがグレープフルーツの香り成分です。じつは研究の結果、香りがニュートラルと思われていた甲州にも、ソーヴィニヨン・ブランと同じ前駆体3MHが含まれていることがわかりました。ところがつい最近までいろいろな条件が重なり、ワインに醸造しても香りが現れてこなかったのです。

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