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U Yoshidagura 山廃純米無濾過生原酒:「気になる日本酒」 vol.26 あおい有紀

2016.05.03

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個性的な経験を経て、子供のころからの夢を実現する第6代

今、日本酒業界では世代交代で20代~30代の若手蔵元の台頭により、さまざまなチャレンジを試みる酒蔵が増えています。そのなかでも注目銘柄の一つが「手取川」。1870年(明治3年)創業の石川県白山市に位置する吉田酒造店です。霊峰白山の麓にある手取扇状地の静かな田園地帯にあり、まさに手取川の良質な伏流水を使い、150年近くに渡って酒造りを営んできました。現在は吟醸を中心に特定名称酒のみで3000石の日本酒を、12名の蔵人で造っています。

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第6代となる吉田泰之専務(30)は、東京農業大学卒業。学生時代はみっちり醸造学を学びながら登山やスノーボードなどアウトドアスポーツにはまり、自転車で全国の酒蔵を巡る旅をしたり、アジアでボランティア活動に参加したりと、アクティブな行動派。

「松岡修造のようにヤル気があれば何でも出来る!自分には翼が生えていると思っていました」というところから、卒業後は山形の出羽桜酒造で2年間修行。入社早々に未熟さ、社会の厳しさを知り、「大学まで生えていた翼が一瞬にして羽が抜け、折れてしまいました(笑)」というほどに、酒造りだけでなく社会人として、人間として大切な事を多く学んだといいます。

その後、イギリスで1年間留学し、英語を習得しながら輸入会社でのインターンシップや日本食レストランで酒ソムリエとしても働くという、蔵元では異色の経歴を持ちます。

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現在、帰国して5年が経ちますが、杜氏を目指しながら酒造りと向き合いつつ、海外で得た感性をいかし、蔵全体を客観的に把握。造り全体のレベルアップや海外輸出の安定化、会社の体制やブランディングの見直しなど、丁寧かつスピード感を持って勢力的に推し進めています。

この冬には、蔵人でも難関と言われる国家試験の酒造技能検定1級を習得し、造り手としての技術向上にも余念がありません。「私は跡を継ぎたくて、継ぎたくて、何の疑問もなくこの道に進みました。子供のころから蔵人さん達に遊んでもらい、お米を蒸している時の香り、麹室の香り、仕込み蔵の香りやひんやりした感じ…、蔵の雰囲気が大好きでした。職人の世界に憧れていたこと、また自分にしか出来ないこと、オンリーワンになれることにすごく魅力を感じていました」と。

吉田専務にとって酒造りは天職以外の何ものでもなかったようです。

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