ドメーヌ・タカヒコ・ナナ・ツ・モリ・ブラン・ド・ノワール2014:「いますぐ飲みたい日本ワイン」 vol. 30 柳 忠之

2016.05.25

 

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ブラン・ド・ノワールってなんですか?

赤ワインはなぜ赤いのでしょう?

黒ブドウを潰せば、赤い果汁が出てくるわけではありません。それが証拠に、巨峰の皮を剥いてみると、中から出てくるのは緑色をした果肉ですよね。

じつは黒ブドウの皮に赤い色素が含まれていて、その皮を漬け込むことで初めて赤い果汁が得られるのです。つまり、ブドウを潰してさっさと皮を取り去ってしまうと、果汁の色は白なんです。

これはシャンパンの醸造で応用されています。シャンパーニュ地方の7割のブドウ畑は黒ブドウですが、あそこはロゼ・シャンパンばかりを造っているわけではありませんし、まして赤ワインなど超レア。じつは、黒ブドウを潰したらさっさと皮と果汁とを別々にして白い果汁を残し、それを醸造して通常の白いシャンパンにしているのです。

たいていは黒ブドウの果汁と白ブドウの果汁をブレンドしてしまいますが、稀に黒ブドウのみを用い白いシャンパンを造ることがあります。黒(ノワール)ブドウから造られた白い(ブラン)シャンパンなので、これをブラン・ド・ノワールといいます。

貴腐ブドウ化したピノ・ノワールから出来た白ワイン

さて、本日ご紹介のワインも、ラベルにあるとおりブラン・ド・ノワール。ただし、スパークリングワインではなく、通常のスティルワインです。

手がけたのは北海道余市のカリスマ醸造家、曽我貴彦さん。この方のピノ・ノワールは日本ワインファンがみな喉手で欲しがるほどの逸品で、今やおいそれと手に入れることはできない幻のワインと化してしまいました。

それでこのブラン・ド・ノワールですが、ピノ・ノワールから造られたスティルの白ワインというだけで十分珍品なのに、さらに貴腐ブドウが使われているというのです。貴腐ブドウの説明をここですると長くなるので省きますが、いわゆる干しブドウのように凝縮したブドウです。

色調は輝きのある琥珀色。香りはアプリコットにハチミツ、そして香ばしいオークのニュアンス。味わいは凝縮感に溢れ、辛口とありますがふくよかさも感じられます。爽やかな酸味がバックボーンにあり、ボリューム大きく、かすかにタンニンの渋みも感じられる、骨格のしっかりしたワインに仕上がっています。

世界のどこを探しても類例がなさそうな、独特のキャラクターをもつブラン・ド・ノワール。こういうワインを知るにつけ、日本ワインの未知なる可能性に期待したくなります。

3600円(アサヒヤワインセラーでの税込み価格)/ドメーヌ・タカヒコ 
http://www.takahiko.co.jp/index.html

取材・文/柳 忠之

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