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四恩醸造クレマチス2015(橙):「いますぐ飲みたい日本ワイン」 vol. 34 柳 忠之

2016.06.22

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このワインの造り手は芸術家?はたまた哲学者?

最近は王冠で打栓したワインも、とくに日本ワインの世界では珍しくないのでちょっとばかし気が緩んでいました。コルクスクリューではなく栓抜きでポンと開けると、ボトルから勢いよく泡が溢れる溢れる。ラベルをよく見れば、「発泡性果実酒」。私としたことが……。

このワインは四恩醸造の「クレマチス」2015(橙)。醸造を担当されているのは、芸術家、はたまた哲学者のような風貌の小林剛士さん。お友達からはツヨポンと呼ばれている御仁です。

4年前の夏に一度だけワイナリーを取材させていただいたことがありますが、同じ年に仕込んだ甲州のワインが、一部は空調の効いたセラーで寝かされており、もう一部はまだ外に置かれたままでした。

「(空調セラーに入ったワインは)秋から春まで外気にさらされ四季のうち3つを経験したけれど、夏を知りません。だから、夏を過ごしたワインも造ってみようと思いました」と、小林さん。なんとも哲学的です。

白桃の香り華やかな、甲州のスパークリング

この発泡性の甲州は瓶内で二次発酵をさせたワインですが、澱抜きをしていないので瓶の中には澱が残ったまま。ラベルの注意書きのとおり、しばらくボトルを立てた状態にして、澱を瓶底に沈めてから開けましょう。それでも若干濁ってますが……。

香りはきれいです。白桃を思わせる甘美なアロマに、酵母由来のイースティなフレーバーが漂います。口に含むと、炭酸ガスがシュワシュワっとアタックし、酵母が果汁の糖分を完全には食いきっていないのでしょうか、ほのかな甘みが後口に残る感じ。相対的に酸味が穏やかなこともあって、最近増えてきた、スパークリングの日本酒にも似た印象を受けました。

「みんなが型にはまったワインばかり造っていたら、日本のワイン産業は終息してしまいます。ぼくがしていることは亜流。否定は覚悟の上でやってますよ」と語っていた小林さん。このワインも型破りな1本でした。

1900円(アサヒヤ・ワインセラーでの税抜き価格)/四恩醸造http://www.4-wine.net/
取材・文/柳 忠之

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら

http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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