奥出雲ワイン・シャルドネ2014:「いますぐ飲みたい日本ワイン」 vol. 36 柳 忠之

2016.07.06

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3〜4年セラーに忘れていたシャルドネが、ムルソーに変身!?

中国地方のワインをご紹介するのは初めてですね。今回は島根県にある奥出雲葡萄園のシャルドネです。

このワイナリーの母体は、地元の木次乳業。「牛乳屋さんがなぜワイン?」と不思議に思われるかもしれませんが、木次乳業のポリシーは「食の安全」と「地産地消」。ワイン造りもその延長線というわけです。

したがって設立当初は無農薬の有機栽培を目指しましたが、湿潤な気候には抗えず、現在は必要な時に最低限の農薬を用いる減農薬栽培をとっているそうです。

じつはこのワイナリーを10年ちょっと前に訪ねたことがあります。ちょうど、樽熟成を施したシャルドネが国産ワインコンクール(現日本ワインコンクール)で銀賞を初受賞した年でした。

そのワインを試飲させていただくと少々生っぽい樽香が気になったものの、隣県出身の家内にも飲ませてあげようと、一本購入して帰りました。ところがセラーに入れたまま忘れてしまい、「そういえばあのシャルドネ……」と思い出したのは、3〜4年ほど経った頃でしょうか。

樽香が目立つワインは、元の果実が力不足で熟成に耐えられないことが多く、あまり期待せずに開けました。ところが……。こりゃまるでムルソーではないですか。あの生木っぽい樽香は、焦がしバターのような香ばしいフレーバーに変わっており、ワイン自体の筋肉も増した印象を持ちました。

10年の進化か? より果実香が前面に

先日、ワインショップのリストにこのワインを見つけ、久しぶりに試してみることにしました。ヴィンテージは2014年です。

現在、奥出雲では樽をまったく使っていない「シャルドネ・アンウッディッド」、樽熟成を施した「シャルドネ」、発酵から樽を用いる「シャルドネ樽発酵」と、3種類のシャルドネを造っているようです。今回、試飲したのは真ん中の樽熟成もの。10年ちょい前に購入したあのシャルドネと同じ造りです。

いやはや、10年の進歩でしょうか。あの目立った樽香はどこへやら。ほんのりバニラのフレーバーが漂う程度で、メロンやピーチといった果実香が前面に出ています。一方、口に含むと、香りのインパクトに比べて味の線はやや細めですが、それがいい意味で日本海側の奥ゆかしさ、慎ましさを表しているような感じがしますね。

バランスよく仕上がった奥出雲のシャルドネ。今すぐでも美味しく楽しめますが、数年寝かせたら、これも大化けするのかもしれません。

 

3240円(税込)/奥出雲葡萄園
http://www.okuizumo.com/

取材・文/柳 忠之

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